【Part40】決着
四人は何を言わずに作戦準備を始めた。
秋が時間稼ぎの為にクマの元へと走り出して、戦闘を始めた。
「私が出来るだけ時間を稼ぐから、みんなはさっさと準備して!」
空を飛ぼうとするクマの羽を掴んで投げ飛ばし、反撃するクマの攻撃を受け止めた。
東児は糸を放って、刻印石に糸を縛りつけた。
「よし!準備OKだな!!」
「あぁ、今度こそぶっ潰すぞ!」
星夜は両手を広げると、手の甲の機の文字が光り輝き始めた。
すると、工場に止めてある何台もあるショベルカーやタンクカーら全てが宙に浮かび、車のパーツが綺麗に分解されて行き、基盤や配線など、細かなパーツらが星夜の元へと飛んで行く。
腕にパーツが引っ付いていき、機械の腕が形成され胴体、足と順に機械の鎧が作られていく。
「さぁ、最終決戦仕様だ!」
「やってやろうさ!」
身体中に機械を纏い、再びロボットのような金属の鎧を身に纏った。
目元が光り、身体中から白い煙が吹き出していた。身体の動きも良好。機動力、パワー全てが完璧に仕上がっている。
「これはいいパワーだ。行けるぞ!」
「準備OK?」
「あぁ!」
星夜は飛び上がって、蓮の手のひらに発生している小さな竜巻の上に乗り、タイミングを見計らう。
東児は力一杯石を引っ張り上げて、ハンマー投げの要領で体を激しく回転させて徐々に石が宙に浮いていく。
秋はクマとの戦闘を続けており、クマの気を引き続けていた。
「秋、飛ばすから気絶するほどの大きな一発を頼むぞ!!」
「がってん!!」
秋の戦闘意欲が増していき、戦闘は熾烈を極めた。
「東児!!いつでも投げろ!」
「あぁ!!」
回転している東児の周りからは風が巻き起こるほどの回転力を見せていた。その回転の最中でも、クマを的確に捉えていた。
「飛んで行け!!」
東児は糸を解き、遠心力により宙に浮いていた石はクマの元へと飛んでいった。
放たれた事を目視した星夜はすかさず蓮へと合図を送る。
「蓮!!頼むぞ!!」
「言わずもがな!!」
蓮は手のひらの竜巻の威力を一気に跳ね上げて、浮いている星夜を更に上に浮かせた。
星夜も身体の至る所の装甲を開けて、そこからエンジンに噴出し始め、蓮はそれを確認すると大きく腕を振りかぶって風の勢いに身を任せて星夜に風を当てながら投げ飛ばした。
「うおぉぉぉぉぉぉ!!」
風を纏ったパワーは凄まじい速度を出し、星夜自身のアーマーから噴出されたジェットエンジンも一斉に噴射して、超スピードで飛んでいく。
「秋!危ないから離れろ!」
「くたばれぇぇぇ!!」
星夜の飛来を確認した秋。羽を羽ばたかせて、飛ぼうとするクマに地面に押さえるためにも、身体全体の力を込めた、
その瞬間に手の甲の刻印の文字が一瞬だけ赤く光った。その光った状態で、クマに大振りのアッパーカットを決めた。
その一撃はクマの脳に大きなダメージを与えて、地面に倒れて、その場に膝をついた。
「行け!!星夜!!」
秋は咄嗟にその場から離れて、蓮は更に送り込む風を強くし、速度はどんどん増していく。
星夜の身体に力が入り込むと、落ちている部品らが更に吸い寄せられていって、星夜が突き出す拳へと装着されていき、次第に巨大な腕に姿を変えていった。
クマが立ち上がり、星夜らへと顔を向けた。だが、目の前から石が飛んでおり、避けることも間に合わずして直撃して岩壁へと激突した。
「ぐっ、ぐがァァァァァァ!!」
激しい衝撃を受けたものの、それでもなお意識があるクマは石を退かそうとした。
「くたばれェェェ!!」
飛んできた星夜がフルスイングして石を殴り押した。
クマは押されていき、星夜は身体からジェットエンジンを最大限に噴射して押し込んだ。
「く、くぐぐ!!」
エンジンから激しく火が吹き荒れ、装甲もパワーに耐え切れず剝がれ始めてr、オーバーヒートを起こそうとしている。
だが、星夜は分かっていながら最後のチャンスだと思って止まる事なく押し込んだ。
「あのままじゃ、爆発するぞ!!」
「星夜は分かっててやってるはずだ。ここで必ず仕留めると」
クマも押し返すも秋からもらった一撃が致命傷となったのか、その力は微々たるものである。
星夜の押し込みにクマは力負けして、身体は壁と石に挟まれて圧迫されていく。石は徐々にひびが入り、亀裂が広がっていく。
星夜の機械の腕にも亀裂が入り、能力にも限界が見え始めていった。
「あと少しだけだ!!耐えろぉぉぉ!!」
「私もぉぉぉ!!」
「!?」
後ろから秋が助走を掛けて走ってきて、高く飛び上がって石に殴りかかった。
その目と手の甲の"拳"の文字からは赤いオーラが放たれており、拳が当たった瞬間に巨大な衝撃音と大きなヒビが入った。
ぶつけた衝撃で、拳がベキッと折れた感触があったが、それでもお構いなしで押し込んだ。
「ぐぬぬぬ!!」
「やってやれェェェ!!」
二人は限界を感じながらも拳を突き出したまま石を押し込んだ。
亀裂が全体にまで広がり、中心より石が割れた。
その時──
「!?」
石から強大な衝撃波が放たれ、周りの木はもちろん、その場にいた星夜と秋はその衝撃波にぶっ飛ばされて何十メートルも飛ばされた。
「うわぁ!」
「きゃあ!」
遠くにいる東児らが見ていると、目に止まらぬ速さで木に何かが突き刺さる音が聞こえた。
「何!?」
「これは、石!?」
東児が抜き取るとそれは小石が木にめり込んでおり、石から放たれた衝撃波の威力がうかがえた。
割れた石から黒い円形の空間の穴が生み出され、草や木、岩までもが黒い穴に吸い込まれて行き、闇に消え去っていく。
「くっ、うわっ!!」
飛ばされて起き上がった星夜と秋は、凄まじい勢いで引っ張られて行く。
「星夜、秋!!何かに掴まれ!!」
「んな事分かってるよ!!」
二人から遠く離れている東児と蓮は気にしがみつき、何とか耐えていた。
引っ張られていく星夜と秋は地面に指を食い込ませるほどの力で握りしめて、その場に耐えた。
星夜の装甲も剥がれて、殆どが穴へと吸い込まれて行った。
「あれは風なんかじゃないの!?」
「分かんないよ!ブラックホールじゃないのか!!どの道吸い込まれたら一巻の終わりのようか気がする!!」
二人が必死に耐えている中、穴の近くで倒れているクマも徐々に引っ張られていき、必死に地面にしがみつくも、あまりにも穴に近いために、身体が少しだけ穴へと吸い込まれていく。
「ぐがぁぁぁ!!」
抵抗し続けたものの、抵抗虚しく最後は耳の奥に響くような叫び声をあげて、ブラックホールに吸い込まれて行った。
それを見た星夜と秋は何処へ消えたかも分からない恐怖を感じた。
「吸い込まれた!?」
「や、やっぱりブラックホールよ!!吸い込まれたら、どうなるの!?」
「無の空間に──って、うわっ!」
星夜が掴んでいる付近の地盤が崩れて、手が離れてしまった。
宙に浮いてしまい、他に掴む物が無くなり、勢いよくブラックホールへと飛んでいく。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
吸い込まれると覚悟したその時、東児の糸が星夜の手に絡みついた。星夜が顔を上げると、遠くの木に自分の体を糸で木に巻きつけた状態の東児が糸を放っていた。
「離すか!!」
「サンキュー東児!!ありがとう!」
蓮も東児の元に合流して、東児の糸を掴んで引っ張り上げていく。
「絶対に離すなよ!!みんな!!」
「離すもんか!!」
蓮は東児の身体を押さえて、空間に引っ張られないように必死に耐えた。
それでも、吸い込みの力が凄まじく東児が巻き付いている木が持ち上がろうとしていた。
「早く消えやがれ!!」
「もう持たない……木が!」
二人は力を込めてその場に踏み込み、何とか耐えていた。
だが、時間が経つにつれて徐々に穴は小さくなっていき、それに伴って吸い込む力も弱まっていく。
「弱まっていくぞ」
ゆっくりと穴は小さくなっていき、穴は閉じてその場には何も無くなった。




