【Part39】悪巧みNovaの結束力はマジ最強!
蓮が竜巻をクマの足元に投げ飛ばして、クマを中心として竜巻が発生し、砂や草木を撒き散らして視界を奪い、竜巻に閉じ込めた。
視界が悪い竜巻の中へと、秋と星夜が竜巻の中に飛び込んだ。クマの目の前に強襲するように現れた。
「おらぁ!!」
「はぁ!!」
二人は息のあったように拳をフルスイングして顔面ごと身体を殴り飛ばした。
竜巻から飛び出たクマは木に激突し、立ち上がろうとすると前方より二本の木が真っ直ぐと飛んできて顔面と腹部に突き刺さるかの如く、深く顔と身体にめり込んでいた。
コンビネーションバッチリな攻撃が決まり、敵にダメージを与える事に成功した。
だが、誰もが思っていた。この程度じゃあ奴を倒す事は出来ないと。
その証拠にクマの手がプルプルと痙攣しており、呼吸もまだしている。これはすぐに回復して立ち上がる。
「次の手は?」
「さぁて、それが問題だ。これ以上ダメージを与える事が出来る方法が皆あるか?」
東児の問いに焦りの顔で皆んなに問いかける星夜。
その問いに秋が拳を鳴らしながら前に立ち、強気な表情でクマに指差した。
「やるなら徹底的に。攻撃あるのみよ!」
といきなり走り出して、クマの顔にめり込んだままで空を向いている木に飛び蹴りを放った。衝撃音と共にクマの顔は更にめり込み、ぶつかった木に亀裂が入る。
秋は顔にめり込んだ木を持ち上げて野球バットのように両手で持ち上げて天に掲げた。
「何する気だ?」
「さぁね?」
男子三人は何をするのだろうかと考えながら、秋の行動を見守る。
秋は躊躇いもなく木をフルスイングし、クマを顔面を殴り、力強く押し込んで身体ごと遠くにぶっ飛ばした。
また木に激突すると、秋はまたもや走り出してクマの顔面に飛び蹴りを喰らわした。
「この!この!アタシの顔を傷つけやがって!!このこの!!」
怒声を上げながら、何度も何度もクマの顔面を蹴った。自分の顔が大事だったのだろう。我を忘れているのかと思うくらい全力で蹴り続けた。
三人はそんな様を見せられてドン引きしていた。
「怖いなぁ女って」
「あぁ、怒らせたら一溜りもないね」
「それにしても、秋の傷。直ってないか?」
「ん?」
星夜の言葉に蓮が、秋を見ると微かに引っ掻かれた頬の傷が薄くなっているように見えた。
気のせいかもしれないが、滲み出ていた血が引いて、擦り傷程度にまで治っている。
「確かにそんな気もするような……」
「奴の刻印の力が関係しているかもな」
ふむふむと頷きながら話す二人に、東児が釘を刺す。
「呑気に話してる場合か二人とも!さっさと俺らも加担するぞ」
「分かったよ!」
東児の叱責に二人は走り出して、東児も加えて三人は秋へと加勢する。
「このこのこの!」
未だに怒り続けている秋が蹴り続けていると、突然クマが目覚め、蹴ってきた秋の足を受け止めて、そのまま掴み上げた。
「うそっ!」
「があぁぁぁ!!」
雄叫びを上げて秋を東児らへと投げ飛ばした。
星夜と蓮の上を秋が飛んで行き、咄嗟に東児が糸で巻きつけてキャッチした。
「大丈夫か?」
「とんでもパワーだわ、ありゃ」
「あぁ、まったくだ」
星夜らは一気に接近して、星夜は真正面から殴りかかり、クマが翼を羽ばたかせて飛ぼうとした所を、東児の糸が抑えた。
動きが止まった事で、星夜の拳が顔面に叩き込まれ、片膝を地につけたクマ。暴れて糸を千切ろうとするクマに糸を更に強く身体に食い込ませて、動きを抑制した。
そこには背後から蓮がクマの背中に手のひらで作り上げた小さな竜巻を背中にぶつけて直線上に吹き飛ばした。
「はぁぁぁぁ!!」
直線上にいる秋は、飛んでくるクマに対して腕を横に大振りしてクマの首にラリアットを食らわせて、体重を加えて地面に叩きつけた。
「どりゃぁぁぁ!!」
クマはぐったりと倒れて、今度こそ倒したかと全員がクマを取り囲んだ。
「今度こそ倒したか?」
「手応えはあったけど──」
と言った瞬間にクマがまた起き上がり、声を荒げた。
咄嗟に全員が距離を取り、そのタフに驚きを隠させなかった。
「くっ、何てタフな野郎だ!!あれだけの攻撃を喰らってもまだ立つなんてよ」
「さっきから、どんだけ攻撃を喰らって立ち上がって来る……」
「これじゃあ刻印の価値が無くなっちゃうな」
「それで見逃してくれるのなら有難いもんだけどね」
だが、クマの様子がおかしくなってきた。
「あいつの様子が!」
クマは痛々しい雄叫びをあげると、身体を球体のように丸めてうずくまり始めた。
巨木ほど太い腕が更に膨張し、身体はティラノサウルスのように毛が抜けて硬くゴツゴツとした鱗の皮膚に変貌を遂げた。もはや獣と言うよりは魔物のような姿へと変わり果ててしまった。
これは星夜らも唖然として、声が震えていた。
「更に、更に大きくなったぞ……あれはもう何だよ」
「巨大化の影響で理性が追いついていない」
蓮の声に我に戻った星夜はすぐに落ち着きを取り戻して蓮に聞く。
「蓮には何に見える。あれは」
「元が普通の人間なのならば、刻印とは違う何か変異薬。例えば、前のようなクマの容姿になる代わりにとんでもない力を手に入れる事ができると、したら?」
「んなもんが……って刻印がある時点でそんな事言っても意味ないか」
「いや、意味はある。逆に考えれば、人間にあれだけの技術力が出せるようになった事だよ」
蓮の言葉に秋が問いかける。
「でも、あれじゃ失敗じゃないの?」
「確かに側から見れば失敗だろうけど、あれが改良されて行き、あの姿で理性を保つ事が出来るようになれば、それこそ刻印に匹敵する。いや、それを超える脅威となる。変異薬が世の紛争地帯や戦争に投与されたら、とんでもない事になる」
「何としても止めなきゃだね」
そこで星夜が一歩前に出て、作戦を立案する。
「あの刻印石をぶつけろ。俺を後ろから俺が殴り込む。奴を刻印石で押しつぶす。気絶させるんだ。そしたら一目散に逃げる!」
「そんな作戦で大丈夫なのか?」
「秋でも破壊出来ない石だ。相当な硬さだ。あんな一撃を喰らったら一溜りもない!と俺は思うのだが、どうかな?」
と自信満々に全員に問う。
全員腕を組んで悩むも、後ろから聞こえてくるクマの咆哮で考えている暇はないと、全員止むを得ず頷いた。
「やるしかないな。それを」
「行き当たりばったりだけど、それしかないな」




