【Part38】究極生物降臨!?
背中に突起物が二つ盛り上がり、その部分から白い羽が身体の中より生えて来たのだ。
クマの顔の骨格そのものも変わり、ライオンのような顔つきになり、顔の大きさも一回り大きくなった。手と足の爪も伸び、筋肉もさらに膨らみ、頭からは2本のまでも生えて来た。
「え、え??」
様々な部分が別の動物へと変わって行き、より不気味な姿になる様を見て秋は思わず口に手を当てた。
「な、何なの?キメラ!?」
身体全体が巨大化して四メートルは優に超える獣と言うよりは魔獣のような悍ましい姿へと変貌を遂げた。
クマは荒い息を何度も吐露し、身体の変化が慣れるの待った。
秋は少しクマの異様な姿に目を取られていたが、自分の頬を叩いて無理やり我に戻った。
「ッ!! 少し大きくなったって!!」
秋はクマに再び距離を詰めて攻撃を仕掛ける。
だが、それよりも早くクマは攻撃を放ち、秋は身体に大きな衝撃が走り、一直線にぶっ飛ばされた。
「きゃぁぁぁ!!」
森の中へと飛ばされ、木と木の間を抜けて行き、一本の木に頭をぶつけて地面に突っ伏せた。
身体をすぐに起こして立ち上がると、目の前に石を持った全員で持ち上げている星夜ら三人が不思議そうな顔で秋を見つめていた。
「秋?戻って来たのか?」
「みんな遅いよ全く……ぶっ飛ばされて来たの。あのクマと言うよりキメラに」
「キメラ?合成魔獣って奴?」
「そ、そんなところかも……」
よく分かっていない星夜だったが、蓮が突然上を見上げた。
「上!」
「なっ!?」
全員を覆い被さるような大きな影が真上から現れた。クマがここまで追撃に来たのだ。
羽の生えた生物なのは分かるが、これは怪獣!?とまで思ってしまった。
全員が唖然としていると、クマが垂直に下降して来た。
それでも、何かよく理解していない星夜に東児が一足早く声をあげた。
「みんな避けろ!!」
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
クマが大振りな一撃を放って来た。刻印石を持ったままの星夜らは慌てて逃げて、ギリギリ避けた。
クマの一撃は地面を深く抉り取り、全員冷や汗を流して逃げながら作戦会議をする。
「見るたびに大きくなってないか?アイツ!」
「進化の速度が早すぎるよ。あんな急激な進化じゃ、身体が慣れる前に身体がぶっ壊れるよ!」
「ぶっ壊れるの待つか?」
「待ってる間に僕らがぶっ壊されるよ。奴さんは引く気なんて1%も無さそうだし」
クマがこちらを見つめて、唸り声を上げている。
明らかに狙っている。こちらに来る。命を刈り取るなんてもんじゃない。命を弄ぶのかもしれない。想像はしたくないけど。逃げても無駄だろうなと三人は感じた。
すると、運んでいる三人の盾になるように秋がクマに立ちはだかった。
「まだ、アタシとの決着ついてないわよ」
「がぁぁぁぁぁぁ!!」
クマの素早い大振り。秋は避けようと足を引こうとした。その時、足の痛みに突然襲われて、ワンテンポ遅れてしまった。
それでも何とか避ける事出来たが、クマの一撃は秋の肩を掠った。掠ったと言っても、肩に爪痕が出来て大量の血が滲み出していた。
「いッ!!早くみんな逃げて!!」
今までこんなダメージを受けた事のない秋は、本当にやばい戦闘を行っている事をようやく気づき始めたが、何故だが身体が暖かくなり、痛みがすぐに感じなくなり、戦闘意欲がどんどん増していった。
「まだぁ!!」
秋は軽快なステップを踏みながら、反撃をするがクマに大きなダメージは入らず、攻撃を避ける事が多くなっていく。
先程までのクマがこんにゃくのように柔らかかったが、今のクマはまさに岩、触った事がないダイヤモンドのように硬い。殴るたびにこんなにも痛いなんて、初めてだ。
秋は防戦一方になる事はないが、着実に追い込まれていく。身体中に擦り傷が徐々に増え、服から血が滲み出してきた。
「硬すぎるんだよ!あんた!!時間稼がせろ!!」
と反撃の拳を振り上げた。
だが、その攻撃はクマには当たらず空かしてしまった。
隙が出来て、クマの反撃が繰り出される。あの爪を直に喰らったら死ぬ。振り下ろされる爪がゆっくりと迫ってきた。
死を覚悟したその時、クマの顔面に真横に飛んできた大木が激突して怯んで弱々しい唸り声を上げて、その場に倒れて大木の下敷きとなった。
「秋!大丈夫か!」
この木を投げたのは間違いないと振り向くと刻印が発動している東児と星夜らが戻ってきていた。
「逃げろって言ったじゃん!」
「ダチ一人置いて逃げるなんざ、出来るわけないだろ。捕まる時はみんな一緒だ。だけど、ここではない」
星夜の頼もしい一言と共に秋の前に立つ。蓮も東児も前に出て、
クマは大木を退かして立ち上がり、四人に雄叫びをあげる。
だが、誰一人としてビビる事なく、クマを睨みつけた。
「刻印の力を見せるぞ!」
「おう!!」
星夜の声で全員が刻印を発動した。
星夜はバックパック手を突っ込むと機械の部品が勝手に構築されていき、手を取り出すと機械の腕を装着していた。
蓮は両手に小さな竜巻を生み出し、投げ飛ばす構えを取る。
東児は両手から解き放った糸で周りの木を2本抜き取り、自分の前に出した。
秋も嬉しくなって立ち上がり、拳を握りしめて走る構えを取った。
「ラスボス戦の始まりだね」
「決着を付けないと逃げれない。これぞゲームのお約束!」
蓮と秋も汗一つ掻かず、焦りの顔を見えず、やる気に満ちていた。二人共怪我をしているが、そんな事今はお構いなし。今だけは怪我を忘れて闘争心の方が優っている。
星夜も余裕そうな顔だった。誰一人恐怖した顔をしてないことに東児だけは不安に感じた。負けたらどうなるかなんて想像は出来ない。と言うよりもしたくない。
三人共まるで負けると思ってないよりも、負けるビジョンを見ていないようだ。だからこそ、こんなにも笑っているんだろう。チームの息が揃わない限り、勝てないだろう。
三人を見ていると、全員が全員を信じているように見える。誰一人欠けては成り立たないこのメンバーに自分も混ざる。それで最強のチームが完成するんだ。
「不安だけど、このパーティでしかここにはたどり着けなかった。最悪で最強のパーティだ!!」
東児は微笑み、戦う覚悟を決めた。もう後戻りはしない。コイツらに全てを託すと、心に決めた。
「怖いものなんて何もない。捕まって研究材料にされたんだ」
「俺は武器人間にビームを撃たれて死ぬかと思った」
東児の言葉に星夜が続き、秋も蓮も続いて言う。
「アタシもさっき肩引っ掻かれて血が止まらないわよ」
「僕も肩、さっき撃たれた」
全員が死ぬ思いをした。だからこそ、今は結束力が半端ない。誰にも負けない結束力が自分達にはある。今なら勝てる。
クマが雄叫びを上げて空を飛び、こちらに一直線に飛んできた。
「クリアするぞ皆んな!速攻で倒して逃げるぞ!!」
「「「おう!!」」」
「悪巧みの新星達よ!行くぞぉぉぉ!!」
四人は同時に走り出した。
今ここに悪巧みNovaの最後の戦いが始まった。




