【Part36】100対5の決戦!
「本当にすまん!!」
「謝る前にこの状況の打破を考えてよ!!」
「それが今のショックウェーブだったんだよ!」
「その結果これなの!?」
二人は銃声に負けない程大きな声で言い合うと、蓮からヘッドフォン越しに話に割り込んで来た。
『言い争ってる場合じゃないよ!自分達の刻印を信じて戦うんだ。銃弾の一発くらい受ける覚悟で!』
「よく言えるよ、そんな事!」
『だって僕はついさっき受けたから』
冷静な声で言われて二人は怒りがスッと収まった。
「そっか、俺らは刻印使いだ!」
「恐れる事なんてないわよ!」
秋は一度深く息を吸い、力強く声を張り上げて息を吐いた。
「ハッッッ!!」
勇ましきビリっと来る声に銃声が一気に止んだ。
何か起きたんじゃないかと全員が思ったからだろう。このタイミングが吉と、二人は気を集中させて目の前の敵を倒す事だけを考えて、一斉に塀から飛び出した。
秋が足早に先陣を切った。
「はぁ!」
銃弾の流れを反抗するように、的確に避けながら真っ直ぐと突っ込み、傭兵をぶっ飛ばし、地面を殴って衝撃波を起こして周りの敵を吹き飛ばす。
距離を置いた場所にも傭兵が秋に銃を乱射するが、秋は装着している機械の腕を突き出して銃を弾きながら歩んだ。
「ひ、ひぃ!」
それでも後退しながら銃を乱射するが、秋は止まる事なく進んで目の前に到達して銃を曲げると、傭兵は怖気付いて腰を抜かした。
秋はニヤリと笑いながら片手で持ち上げて、遠くに投げ飛ばした。
そして次の標的目掛けて飛び込んで、敵の支柱に飛び込んで一気に傭兵達の顎を殴り、胴体を蹴り、銃をぶっ壊して暴れ回った。
「俺も!」
星夜も手を突き出して、傭兵らが乗ってきた車のパーツを寄せ集め、体に装着していった。
「そぉらよ!」
ウルフとの戦いと同じで、アーマーへと変形させて、銃撃を受け流しながら近づき、大きく手を振り払って一気に敵を薙ぎ倒して行く。
何処を防弾性に優れた車のパーツな為、撃たれてもダメージは受けず、両腕を上げて指先から小さな赤いボタンを発射してボタンが体に引っ付くと、ボタンが青くなると衝撃波が発生して数センチほど身体を浮かせた後に、傭兵達を意識を失って地面に倒れた。
「はぁ!」
「くそ!」
秋の背後から迫り、銃を撃とうとして傭兵らだが、背中のバックパックがパカっと開き、針が付いた配線が何本も飛び出して傭兵らの腕に刺さって電撃が放たれた。
そして呆気なく気絶してぶっ倒れた。その後、配線は全てバックパックに戻った。
この機能が知らなかった秋は驚きの半面、思わぬ要素に嬉しさを表した。
「わお!背中も守ってくれるなら人いらずね」
「今度は作動して良かったな!」
「そうね!全く!」
まだまだ敵が湧いて来て、やれやれと二人は増える敵相手に突撃した。
*
同じタイミングで東児と蓮はホテル内に侵入して来た傭兵らの相手をしていた。
東児はホテル内に糸を張り、3階に侵入してくる敵を縛りつけ、蓮が体力の温存をしつつ、敵の位置を三人に教えていた。秋と星夜が地上で戦って敵の気を引いているものの、それでも隙を見て傭兵達は刻印石を狙って大量に押し寄せていた。
東児達も応戦するものの、敵の量が多く、敵の4階侵入を幾度となく許してしまう。
「東児!左のドアから一人来るよ!」
「分かった!」
とドアへと目を向け、糸を放って侵入して来た傭兵を縛り上げだ。
「東児!もう更に四人!二方向より二人ずつ!」
「まだくるか!しつこい!」
落ちてる大きめの壁の瓦礫を糸に絡ませて、一方の傭兵らの姿が見えた瞬間に投げ飛ばし、敵に当てて気絶させた。
更にもう一方から敵が現れて銃を撃つ。東児は先程投げた瓦礫を自分の身体の前に引き寄せて盾にした。
そのまま激しい銃撃を防ぎながら、敵に一気に近づき一人を瓦礫のタックルで壁に叩きつけて倒した。もう一人が更に銃撃を繰り出すも東児は瓦礫の盾で防ぎながら向こうにいる敵の顔面の位置を予測し、瓦礫を殴り貫いて、敵の顔面を一撃でノックアウトさせた。
「とりあえず片付いたか」
「まだだよ。外が」
外を見ると、未だに敵を一蹴している星夜らがいた。
だが、東児がある物を目にして二人に声がけをする。
「お前ら!敵が何か持ってるから気をつけろ!」
「……はぁ?」
何も気づいていない二人だが、少し遠くにいる敵が肩に乗せた物で東児の言葉を理解した。
「ろ、ロケラン!?」
「殺す気満々じゃん!!」
敵はロケットランチャーを担いでおり、星夜らを標的として定めていた。
二人が対処しようとした時にはもう遅く、ロケットランチャーが撃ち放たれた。
二人に迫ったロケット弾だが、それは眼前で煙を出しながら止まった。
「おっ?」
「お前ら、さっさと退け!」
星夜の前に糸が複数に垂らされており、ロケット弾を糸が巻き付いて食い止めていた。
それはもちろん、上の階から東児が糸で食い止めていた。
「ナイス東児!」
「ゲームオーバーはまだ早いぞ!リスタートは出来ないだぞ」
と呑気に言いながらも東児の両腕ががプルプルと震え、必死に掴んでいるのが分かる。
そんな必死な東児のことなんて梅雨知らず、呑気に応援する二人。
「かっこいいぞ!!」
「凄い!」
抑えているだけでも十分力を使っているのに、呑気な二人を見て、怒りを沸々煮えたぎって怒りを含めたパワーを込めた。
「うぉぉぉりゃあああ!」
真上に腕を力一杯振り上げて、ロケット弾を上空に投げ飛ばした。何百メートルも飛んでいくと、眩い閃光と共に大爆発を起こし、辺り一帯を爆風で揺れた。
「危ねぇ!!一発アウトだったよ!」
「呑気なことしてないで、さっさと倒せ!!」
「分かったわよ!」
次弾を装填している傭兵達に、秋が機械の腕を思いっきり正拳突きをした。
秋のパンチ力と比例して前方に強烈な衝撃波を放なたれ、車もろとも傭兵達を吹き飛ばして敵を今度こそ一掃した。
綺麗さっぱり消えたことに手で額の汗を拭う秋に、一言東児がツッコむ。
「そんな力あるなら、もっと最初からそれ使えよ!」
「たった今浮かんだ技なんだからしょうがないでしょうに」
「でも、どうにかして片付いたようね……この人達どうするの?」
倒れて気絶している傭兵達。彼らをどうするのか気になる秋に、星夜は傭兵らが乗って来たと思われる車の残骸を掻き集めながら冷静に答える。
「さぁね。映画でもよく放置されるだろ。放置が一番」
「映画の七不思議ね。あんま映画見ないけど」
戦いが終わったと思い、東児と蓮は安心してその場に座り込んだ。
星夜は休む事なく機械を作る為に車などの残骸を漁り始めた。秋は屋上までジャンプして景色を眺めながら背伸びをしている時、突然蓮が何かの接近を察知した。
「このスピード、何か来る!」
秋もその接近に気付き、草を掻き分ける音が徐々に近づいて来た。その音のする方に目を凝らしたその時──
「うがぁぁぁ!」
「!?」
百メートル向こうの草むらから先程高速道路に放置したクマが大ジャンプし、秋の体をがっしりと掴んだ。
秋は突然の襲撃に対応できず、クマに身体を掴まれたまま、そのまま真っ直ぐ闇夜の森の中へと消えて行った。
星夜と東児が気づいた時には、木をへし折られる音だけが遠ざかって行った。
「秋!!」
「あの野郎、来やがったか!」
星夜は予測した。
今の戦闘で銃撃やロケットランチャーなど、火器での銃声や爆発音などでこちらに気が向いてしまったのだろうと。
そうこう考えていると東児が腕を引っ張り、秋を追う事を進言する。
「急いで追うぞ!」
「おう!最後の最後で、こんな面倒ごとを!」




