【Part34】行き着いた先は?
トンネルを抜けた星夜。山に囲まれた高速道路ながら、山の向こう激しい光が発光しているのが見える。
遠くからなのに、はっきりと分かった。まるで映画の宇宙船が着陸したようなワンシーンが頭によぎった。
でも、あの発光が蓮達なのだろうと咄嗟に分かった。
「あそこにみんなが!」
と速度を更に上げて、道を進んでいく。
そして何分か走ると、山の1箇所から激しい光の発光とガードレールに蓮が寄りかかっているのを発見した。
星夜はバイクを止めて蓮の元に駆け寄る。
「蓮!大丈夫か!?」
「来ると分かってたよ。風の刻印で。少しだけ骨がやられたけど、あのクマが秋達の元に向かっている」
「何!?クマ!?」
「東児からの情報で、人がクマになったって奴だよ」
蓮が指した方向を見ると、クマが山の中を突っ切って、木が薙ぎ倒されている光景が暗闇ながらも見えた。
「おいおい、やばいぞアレ」
「石の位置が微動だにしてない所を見ると、二人は戦う気でいるのかもしれない……」
「それはなおさらヤバいじゃんか」
*
東児達が悩んでいるところに星夜からの電話がかかって来た。
「星夜か!?」
『東児、秋!そのまま山登って逃げろ!クマは俺が何とか気を引きつける!山を越えろ!』
「お前到着したのか?」
『あぁ!俺の作戦が功をなす訳だ!』
電話を強引に切られて、どうするか一瞬で悩んだが、二人で顔を見合い、星夜の言葉を信じて歩み出し、東児も秋と並んで石を持ち上げた。
「信じるかリーダーを」
「だね」
二人は息を合わせて歩み進める中、クマが猛スピードで接近して来る。だが、二人は背を向けたままだった。
星夜なら、やってくれると信じているから。
接近してくるクマの足が突然止まった。
耳が後ろに向き、頭の中に響くほどの金属の擦り切れる音が聞こえ始めた。
人間には聞こえない音に気づけば身体も振り向き、刻印石の事よりも苛立ちが立ち、音が気になり、刻印石から離れて星夜らがいる高速道路へと一気にジャンプした。
「ウガァァァァ!」
道路に着地して、苛立ちながらもその音の正体を必死に探る。
それは先程破壊したパトカー内部から聞こえてきた。クマが雄叫びを上げながらジャンプしてそのパトカーを潰した。車の座席に小さなラジカセのような機械が置いてあり、そこから流されていた。
クマが車に爪を立てて突き、機械を破壊して耳に響く音を止めた。だが、同じ音が別の場所から複数に響き渡り、クマが更に怒りを増して機械を下がって破壊していく。
その間に星夜と蓮は東児達と合流を果たし、星夜も石を持ち上げるのを手伝う。
「星夜、蓮も無事に来れたんだな!」
「でも、感動の再会は後だ。早く逃げないと、クマとの涙の再会するぞ」
「そ、そうだな。でも、何をしたんだ?」
「クマが機械な音波を流す機械を何個も配置した。それで時間を稼いでいる。破壊された車とかトラックがあったから多く作れた。廃材はリサイクルしないとな」
「相変わらず考えが早い奴だ」
「蓮もアイディアを出してくれたおかげだ。それに秋や東児らが奴の情報を教えてくれたお陰でもある。みんなのお陰って事だよ」
そうやって話していると、気づけば石の発光が止まり、蓮が指摘した。
「発光が治った?」
「……よし、原因が分からんが一気に山を越えるぞ!」
全員でやる気を出して、怪我しながらも蓮も石を手伝った。
クマが音波の元に向かっている間に、時間を掛けて星夜らは山を超えた。
その山を降りていくと、道路を発見した。
「廃道か?」
そこは廃道であり、道路の亀裂からは草が生え、ボロボロに錆びたガードレール。明らかに使われておらず、人気も全く感じない。
その周りにはもう使われていない寂れた観光地跡が複数残っていた。
「そのようだね。多分高速道路の影響で使われなくなった道路だろうね。人気もない。人の流れもない。壊すなら今がベストタイミングだ」
「そうだな。秋、壊してくれるか。壊して粉々にして土にでも埋めよう」
と星夜が秋に道を譲ると、秋は自信満々な顔で前に出てきた。
「よし来た!」
「頼んだぞ!面倒ごとはもう勘弁だからな」
秋は息を整え、拳を見つめて刻印が発動しているのを一度確認する。
一撃で決めると拳を強く握り、息を長く吸う。
まるで達人の演舞を見る前のような感覚なのか、星夜らもただ静かに見つめるだけしかできなかった。
「オラぁぁぁ!!」
砲丸投げのように身体を曲げ、勢いよく拳を振り、全力の一撃を刻印石に叩き込んだ。
ミシッ! とひび割れる音が響いた。
だが、石は割れていなかった。そのひび割れる音は、拳の衝撃が石を超えて地面にぶつかり、大きな亀裂が走った音だった。
それに秋の腕に激しい痺れと痛みも走った。
「か、硬……全然割れない……」
びくともしない石に三人の男子は困り果てた。
「これは困ったな。秋のパワーなら何とか破壊出来るとおもったのだが」
「やっぱり地面に埋めた方がいいんじゃないか?敵も追ってこない事だし──」
その時、蓮が何かに反応して、星夜に駆け寄り突き飛ばした。
「危ない!」
一瞬の出来事で、星夜は何が起きたか理解出来ず、突き飛ばされて尻餅をつくと、一発の弾丸が飛来し蓮の肩に貫通した。
「ぐわっ!」
「蓮!みんな石を背に隠れろ!」
銃撃された。それも遠くからか?まさか、もう敵が山にいるのか?と考えるがそんな時ではない。
星夜の咄嗟に叫び、全員が石の裏に隠れて星夜も蓮を担いで石の裏に滑り込んだ。
「蓮!大丈夫か」
「うん。君が大丈夫でよかった」
蓮は目に止まらぬ速度の銃撃が迫る風の抵抗を直前にて感知して、狙われていた星夜を庇ったのだ。
「敵はもうこの付近にいるって事!?」
「そのようだ。徹底的に追い詰める気だろうな。バカな配信者らが特定される気分がよく分かるぜ」
「そんな事よりも、この状況を突破しないと」
秋の言葉にどうするか悩む星夜。
敵は狙撃出来る範囲内にいる。それに蓮は怪我をしている。かなり切羽詰まった状況の中、またも蓮が口を開いた。
「待って。足音がする……それも何百という数が」
「え?」
「敵が近づいてきてる」
蓮だけが分かるこの状況の中での敵の数。
近づいてくる敵ん前に星夜はまたも、ここからどうするか。を突きつけられた。咄嗟に出た答えは──
「……あの廃ホテルに行くぞ!」
「でも、敵に位置バレてるんだよ!隠れたって──」
「それでも行くんだ。勝負は時の運だ!逃げ場がないなら、逃げ場を作るまでだ!」




