【Part32】危機脱出!!からの……
気絶したまま立ち上がり、右腕を払うと鉄網やテザー銃のワイヤーを切り裂き、左腕のビーム砲からビームを空に放つ。
「くっ!」
明らかに気絶した状態で動く星夜を見て動揺した傭兵達が星夜に銃を向けると、星夜が両腕を思いっきり広げた。
すると、星夜の身体から衝撃波が放たれて、ウルフを含む傭兵らが一気に弾き飛ばされた。
「はぁ……はぁ……あの世に通電するとこだった……」
星夜の目が元に戻り、意識も戻った。
だが、尋常じゃない量の汗が流れ、息が荒くなる。
「化け物め……」
「あぁ、そちらさんこそ高校生相手にここまでやるのは、鬼だぜ。悪魔だぜ」
「刻印を持つやつに高校生もクソもあるか」
ウルフはビームソードを取り出して、星夜に飛び掛かる。
星夜は攻撃を避けて、逆にビームソードを振り返して、ウルフのビームソードを破壊した。
「ちぃ!」
ウルフが再び電撃を浴びた右手で攻撃を仕掛けるも、突然星夜の背後から飛んできた複数の車のパーツがウルフの右手に集まり、手を球体状に変えて無と化した。
その動揺を見せた隙に星夜はウルフを蹴り飛ばして、壁に叩きつけた。そして左腕に光の粒子を集めてエネルギーを貯めて、低出力の状態でレーザーを放った。
「痛かったらごめんよ!」
「!」
レーザーを放つ事に気づいたウルフは咄嗟にシールドを展開し、ビームを受け止めた。
星夜は無意識に身体全体に装着されている機械や落ちている機械をビーム砲に取り込み、徐々に大きなビーム砲へと姿を形成していく。
大きくなるに連れてビーム砲の威力が高まり、ウルフも押されて壁にヒビが入っていく。
「くっ……! うわぁぁぁぁぁぁ!!」
ウルフは星夜の手から放たれたレーザーに押され続けて、シールドの限界を迎えた途端に大爆発を起こして、壁を貫通して、なす術もなく海の彼方へと飛んでいった。
ウルフの姿が見えなくなるまで待つと、ようやく安堵した。
「ふぅ……やれやれ」
周りの傭兵らも気絶しており、全員を倒すことに成功した。
確認後、すぐに東児に連絡を入れた。東児が電話に出た途端、耳にキーンと来るほど大きなサイレンの音が頭の中に響き、スマホを耳から離した。
「東児か!?何だそのサイレンの音!」
「クリーンフォックスから逃げたと思ったら、今度は警察に追われてるんだよ!誰かが通報したんだよ!アンチだろうさ!」
「あんちきしょうめ!」
お互いに大声で話し合い、何とか声を聞き取れる状態である。
星夜が怒りを表すと東児は現状を聞く。
「そっちはもう用事は済んだのか?」
「奴さんは海の彼方に飛んでった!何とかそっちに向かう!」
「あぁ、逐一連絡入れるよ!そっちも警察が来るだろうからすぐに来いよ」
「分かった!」
電話を切り、辺りを見渡してウルフのバイクを見つけた。
免許も持ってなければ、運転したこともない。バイクはコントローラーで操作できる訳もない。困った星夜だが、指先から無数の配線を出してバイクの内部へと繋げた。
「機械は機械だが、これも自動運転出来るはずだ」
するとバイクのエンジンがかかり、何とか動かせそうになる。
そして生配信しているドローンを思い出して、ドローンを見て指す。
「アンチ共!通報したって無駄だ!俺は捕まらんぞ!今すぐ仲間を助けに行く!」
星夜は表情を落ち着かせて、冷静に語った。
「でも、ここからは俺らの運命を決める戦いだ。事が終わったら語ってやるから。待っててくれよ」
と言って困惑しているコメントを無視して配信を終了した。
星夜がバイクのハンドルを握り、動くように脳内で指示するとバイクのペダルが勝手に踏まれて猛スピードで発進した。ドローンも追いかけて、東児らの元へと向かった。
*
その頃、星夜から離れて静岡県に入っていた。
クリーンフォックスからは逃げ切れたものの、インターチェンジの入口に待機していたパトカーが東児達を追いかけていた。
「くっ!こっちの気持ちも知らずに!」
「二人共前!」
秋が前方に指差す。そこにはパトカーが何台も待ち構えており、道を塞いでいた。
背後からもパトカーが迫っており、八方塞がりな状態となる。
「どっちでもいいから運転交代してくれ!また空飛ぶよ!」
蓮は東児と運転を交代して、風の刻印で空に浮いてパトカーから逃げようと考え、風の刻印を発動しようとした。
だが、その時反対車線から何かが迫る肌寒い感覚が蓮を襲い、反対車線へと目を向けた。
「!?」
荒々しい息遣い。猛獣の匂い。まさかと思った。
真横から飛び出て来たのは先程、秋が殴り飛ばしたクマであり、クマは飛び出てくると迷いもなく蓮の車にタックルした。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
車は横半分以上が凹んで衝撃で宙を浮き、激しく空中で回転しながら壁に衝突した。
蓮は外へと投げ出されるも綺麗に着地したが、刻印石は紐が外れて道路のど真ん中に落ちて地面を揺らした。
クマはピンピンとした状態で、目を光らせながら刻印石を無視して蓮達の元に迫る。
「フゥ!!フゥゥゥ!」
蓮は戦う気で刻印を発動した。
「ところがどっこい!」
「え!?」
秋の声と共に車のドアが蹴飛ばされ、ドアがクマの元に飛んでいく。クマは軽く弾き飛し、地面に突き刺さった。
「大丈夫なの!?二人共!」
「もちよ!東児もね」
東児も頭から血を流しながらも出て来た。
「敵さんだいぶんお怒りのようだけど」
「軽トラ破壊され、逃げ手段失ったアタシらもお怒りよ」
そう言っていると追っていた警察らが到着し、前後の警察らが集結して秋達を囲み、声をあげる。
「全員、その場に止まるんだ!武器を持ってる可能性がある。慎重に対応する」
パトカーから警察達が降りて、秋達の周りを取り囲んだ。
警察にすら戦う気を見せる秋に東児は警告する。
「秋も蓮も警察には絶対に手を出すなよ!危険性があるとして撃たれるかもよ」
「それより理性と知性がある僕達よりも、凶暴性しかないあれを何とかして欲しいもんだけどね」
パトカーのライトがクマを照らした。その姿を見て警察官の動きが止まったのだ。化け物を見てしまった恐怖からか、もしくは現実か幻か分からなくなったからだろう。




