【Part30】ラストリード展開!
「で、どうするんだ。あのままじゃ俺ら撃たれるぞ。このまま止まってたら捕まるぞ」
「なら、アイツには悪いが、ここは無理矢理にでも突破する!」
アクセルを何度も踏み、タイヤを回転させ、パッシングをして合図を送る。
ウルフは退く気配はなく、手の甲のボタンを押して、円盤状の電磁シールドを展開した。
「なんか出したぞ!?」
「見掛け倒しだ! 逃げるに決まってる!」
飛んできた電磁シールドのブーメランは、車体のど真ん中を切り裂いて行き、助手席と運転席の間を綺麗に通って、車を真っ二つへと割った。
「ぐわっ!」
「真っ二つ!?」
「飛び降りろ!!」
切れた車体は傾いて、切れた部分からは火が噴き、二人は荷物を持って飛び降りて脱出した。
裂かれた二つの車体はウルフの真横を通り過ぎて、ガードレールにぶつかって大爆発を起こした。ブーメランはウルフの腕に戻り、再び手の甲に装着された。
地面に転がり二人は爆発した車を呆然と見つめた。
東児は真っ先に怒りを星夜に向けた。
「おい!何が避けるだよ!車を真っ二つにされたじゃんか!」
「予想は未来とは違うんだからしょうがないだろ!」
「車壊れちゃったじゃんかよ!」
「喧嘩してる場合じゃねぇよ!周り見ろ!」
星夜の言葉に周りを見渡すと、そこに車が星夜らの前に止まり、銃を持った傭兵達が二人を囲む。
ウルフも二人の前に現れて、銃口を向けて来た。
「降参するか、死ぬかだ」
その言葉に東児が強気な姿勢で反論した。
「殺す事は出来ないはずだ! 俺らは大切な実験材料だ。上から殺す事は止められてるだろ!」
ウルフが銃を下ろした。と思った瞬間、懐にしまっていたナイフで取り出して東児の頬を浅く切った。
切られた跡には赤い血の線が入った。
「正解だ。殺すなとは言われたが、怪我をさせるなとは言われてない」
「ちっ、話が通じない奴め!」
「我々はお前達が欲しくなんぞない。欲しいのその刻印の力だけだ。手足や目が無くなっても生きていれば実験材料になる」
サイコパスと言いたい東児だが、それを自信に満ち溢れている星夜の手によって止められた。
「怪我しても捕まえろって命令なんだろ。捕まえて見せろよ。俺達は刻印を持った馬鹿共だぜ。ガキの予想もつかない発想と行動なんぞ、大人には分かるまい!」
「ふん。ガキには嫌な思い出があるんでね。だから、手加減はしない」
「なら、なおさらやる気が湧いてきた」
と星夜の手の甲が光り出し、臨戦態勢に入った。同じように東児も刻印を発動した。
複数のヘリが2人を囲み、光で照らされる。
このまま2人で突撃して戦う気だ。敵はウルフに数十人の傭兵に武装ヘリ。
自分達の刻印は自分らが一番理解している。だが、これだけの戦闘のプロ相手に刻印だけで太刀打ちできるのか?機械の刻印で、ヘリはどうとでもなる。それに東児の糸の刻印で銃を奪う事も出来る。だが、ウルフをどう対処するかの問題がある。他の奴らとは一味違う。
二人がこの場を抜ける作戦を考えていると、車を走らせてきた方向から、一台の車のライトが見えた。
その時、ウルフに連絡が入った。
「どうした?あの車が?撃っても構わん」
「どうやら、役者は揃ったようだな!」
星夜は確信した。とうとう来たと。
車、いや軽トラックは速度を落とす事なく、こちらに迫ってきた。それにしても、その速度は軽トラックでは出せないほど速く、200キロは軽く超えている速度だろう。
ヘリが銃口を向け、向かってくる軽トラックに機関銃を放った。すると、軽トラックが走りながら、ゆっくりと飛行機の離陸のように宙に浮き始めた。
「宙に浮いた!?」
宙に浮いた軽トラック。撃ち出された弾を華麗に避けて星夜らへと距離を詰めた。その光景はまるで、空を飛ぶ白馬のようだ。
傭兵らが撃とうと銃を向けた時、星夜と東児は無言で行動を合致させて、二人は一斉に動き出した。
「行くぞ!」
東児が傭兵らに向けて糸を放ち、足を縛り上げて倒し、星夜は不意打ちにウルフに体当たりを喰らわして何メートルか飛ばした。
軽トラックが二人の真上を通過した時、窓から蓮と秋が顔を覗かせた。
「遅れてごめん!」
「二人共、飛び乗って!」
東児が糸を放ち、車に巻き付かせた。これで軽トラに引っ張られて、この場から脱出が出来る。
そして星夜にも向けても糸を放ち、手に巻きつき、東児が引っ張った。
「させるか!」
ところが、倒れたウルフが咄嗟にナイフを投げ飛ばし、糸を切り離し、星夜はその場に倒れ落ちた。
「星夜!!」
「お前らは先に逃げろ!俺はこいつらを倒す!」
蓮は無言で承諾して、軽トラは地面に着地して、そのまま爆走して逃げていった。
それを複数のヘリが追尾していった。
残された星夜は、ウルフと東児が糸を切り落とし立ち上がった何十人もの傭兵に囲まれた状況に陥る。ヘリも一台空に待機しており、絶体絶命な状況ながらも、諦めた顔は見せなかった。
「お前ら!俺は強いぞ。強すぎて、驚くぜ! パワー解放だ!」
刻印の力を発動すると、傭兵達の全ての車が突然揺れ始め、またウルフのバイクも揺れ始めた。
すると、勝手に分解されていき、金属片や配線や細かなパーツらが宙を飛び星夜の身体中に引っ付き、機械のスーツが形成されていく。
「ちっ!」
ウルフが星夜に銃を撃つも、星夜の周りにはバリアが貼られて銃弾を跳ね返した。
その間も徐々に形成されていき、気づくと星夜は三メートルを超える巨大でカッコいいロボットへと変わった。
星夜はドローンへと指を指して言い放った。
「このスーツの名はラストリゾート!詳しい事は調べてくれ」
この形成シーンはドローンでも一部始終写されており、多く視聴者を驚愕させた。
ウルフは気を引き締めて、腰からビームソードを取り出した。
「やる気だな。なら!」
右腕を上げると機械の中から、ウルフの何倍も太いビームソードが姿を表し、ウルフらに突きつけてドヤ顔で言う。
「ビームソードもある!」
「そうでなくっちゃ困る」




