【Part29】因縁のアイツが現れた!
「おい!高速道路って言っても、車両がいっぱい走ってるぞ!」
「そんなもんは想定済みだって。俺の刻印は機械を操れる。高速道路をガラ空きに出来るのなんて簡単なもんさ」
「まさか、さっきと同じのを」
疑心暗鬼になる東児に対して、星夜は指をパチンと鳴らした。
「あぁ、ビンゴだ。またもはっちゃけさせてもらうぜ!星夜君の第二のマジック!はぁぁぁ!」
とマイク切ってるのを忘れて、演技臭く言い、再び刻印を発動した。
高速道路を走る車──のんびりと走っていると突然カーナビから
『この先事故見分に為、通行止めとなっています。交通ルートを変更してください』
と高速を降りるようにルート変更の指示が表示された。
また、道路の電光掲示板には"この先事故見分の為、次のインターチェンジを降りてくださいの文字が表示された。
その文面は様々なサービスエリアにも表示された。
更にはインターチェンジの入り口にて、全ての入り口が封鎖された。
つまりは、あらゆる高速道路の入り口が封鎖され、道路やPAらの電光掲示板に、工事のため今いる高速道路を降りるように指示する表示がされた。何も知らずに見たドライバー達は本当の事だと思い、各地の車やトラックがどんどん高速から降りていく。
「これで俺ら高速に乗るころには車一台も走っちゃいない状態だ。道路の管制センターとかは今頃てんやわんやだろうけどな」
「俺が捕まっている間にとんでもない技覚えたな星夜。とんでも量を──」
その時、星夜の電話が鳴り、東児が代わりに出た。
「どうした?」
『東児か!?僕達敵に見つかって逃げてる途中なんだ!どうせ高速に向かってるだろ?』
声は蓮であり、東児は嬉しくもありながら追われている状況に複雑な心境になっていた。
「そうだけど……」
『何処かで合流できるか?』
「星夜、どうする?」
東児が星夜に問い、スマホを近づけた。
星夜はスマホを取り、少し悩んだ後に答えた。
「あっちには刻印二人に刻印石か……とにかく、俺らの元に来い! 作戦通りにな。大方の敵は俺達で引きつける!」
『分かった! 無事でいてよ!』
「お互い様!!」
電話を切り、すぐにマイクをオンにして視聴者に向けて喋り出す。
「東児と作戦会議してたわ。このまま答え合わせと行くぞ! 俺達は東名高速道路に乗って逃げる! 敵さん達、お出でよ!」
走っていると高速道路入り口を見つけた。
先程の刻印の使用した事で、人は一切おず、ETCの入口もぶっ壊して、目的の場所目掛けて走って行く。
*
その頃、車を見失ったウルフらはヘリからの連絡を待ちながら、星夜らの配信を確認しながら追っていた。
「あのガキ共め、高速道路に行きやがって……」
追跡のヘリからの連絡が入った。そこには、"逃走車は高速道路へと入った模様"と"何故か高速道路には逃走車両以外対向車すら走っていない"と報告があった。
それと蓮達の事も報告されて、依然追っていると連絡が入った。
「分かった。引き続けて追ってくれ」
電話を切ると無線から別の車両全域に通達させた。
「捕獲対象に容赦は要らん。怪我をさせてでも徹底的に追い詰めるぞ。武器使用の許可も出す!死なない程度に捕まえろ。俺は後続のヘリで追う。他県の部隊にも援軍要請しろ!」
ウルフは車から降りると、全車一斉に走り出して、星夜らの後を追う。
ヘリの到着を待つ間、再び電話が掛かってきた。
「どうした?」
ウルフが電話の内容を聞くと、冷や汗が流れた。
まるで、何かの危険を知らされたように。
「ちっ、クマの奴め! 人員が余ってるなら、取り押さえるんだ!」
ウルフは即座に連絡を回して、到着してヘリに乗って星夜らを追う。
*
それから1時間が経ち、星夜らは高速道路に乗って自動運転に切り替えて、ドローンを車の上部に貼り付けて、周りを監視させている。
ゆっくりとした速度で走る中、星夜は視聴者のコメントを適当に返していた。しかも楽しそうに。
「ははっ、なるほどぉ。でも、俺らはそう簡単に捕まらんぞぉ〜。何たって、この力があるんだからな」
「よく呑気に配信出来るなぁ。こんな時に」
こんな状況だろうと、いつものノリで配信し続ける星夜の態度に気掛かりになる東児。
それでも星夜は表情を変えずに答える。
「こんな時だからこそ、笑うんだよ。不安こそが、最大の弱点。不安に思えば、奴らはより強固な手段に出るだろう。でも、俺らがずっと元気な姿を見せれば、敵の士気も揺らぐもんよ!はっはっは!」
「それを今言ったら、敵にもバレるだろ」
的を得たツッコミに星夜は更に声高らかに笑った。
「はっはっは!!バレて結構!」
余裕そうに言っていると、東児が外の様子に気づいた。
「おい、星夜!追手が来たぞ!」
通り過ぎたインターチェンジの入り口から複数の同じ車種の車が入って来た。
明らかに迷い込んだ車じゃなく、見覚えのある傭兵達が乗っている車だった。
「敵さんが来たな!予想より早く追いついたか」
敵をミラーで確認すると自動運転から手動に変えて、一気に速度を上げて距離を離した。
星夜はウキウキした様子しているが、東児は追いついた敵の事を推測した。
「いや、クリーンフォックスは日本各地に支部がある。それで、近くの部隊をこちらに寄越した可能性があるな」
「なるへそ。どの道、追いついたようなもんだ」
車は星夜らを追うように追いかけて来ており、明らかに捕獲する気満々だった。
「このまま逃げるのか?」
「あぁ。エンジン全開で行くぞ!蓮達の為にも、ここで時間を稼ぐ──」
と更に速度を上げようとした瞬間、突然パリン!と貫く音と共にフロントガラスが割れ、ヒビで前方が見えなくなった。
「何だ!?」
東児がフロントガラスを目視すると、2箇所に丸い穴が空いており、銃で狙撃された事を察知した。
星夜と東児が目を閉じて、ひび割れたガラスを蹴り割り、ライトをハイビームにして確認した。
「銃撃!?」
「分からん!」
ハイビームで確認すると、そこには一台のバイクと狼の被り物をした男が居た。手には銃が握られており、窓を撃ったのはこの男で間違い無いだろう。
「あいつまさか」
星夜はあの男に見覚えがある。
「知っているのか?」
「あぁ、港の時のやつだ。俺がぶっ飛ばした奴だ」
「俺もぶっ飛ばしたぜ、研究所でな」
「なら、余裕だな」
と二人で高笑いしながら言い合う。




