【Part26】悲報!現在、傭兵に追われてるw
星夜らの車は旋回し、すぐに研究所内から逃げ出した。
それからすぐにウルフが到達し、糸で縛られた傭兵らを救助する。
「大丈夫か、お前ら」
「はい、何とか無事に」
「なら、動ける奴らを総動員する。奴らを捕獲しろ!」
「おう!」
ウルフの指令に部下達は慣れた動きで車に乗り込み、一斉に星夜らを追う。ウルフが車に乗ろうとした時、突然研究所内が真っ暗になった。
「なっ!?」
*
車内──
「何とか研究所内の監視カメラを切る事に成功して良かったぜ」
「作戦通りじゃなかったのか?」
「まぁ、ぶっつけ本番って奴だな。あの場で咄嗟に浮かんだ策でさ。とにかく監視カメラの電源を切れって思い続けたら何とか出来た。」
「それでカメラ切ってシャッター開けた訳か」
「あぁ。それ以外変な事してないはず」
作戦はともかく逃げることに成功した東児。運転する星夜に素朴な疑問をぶつける。
「でも、逃げれたのはいいが、敵は間違いなく追ってくる。策はあるのか?またぶっつけ本番とは言わんよな」
「策は十分にある。この日の為にしっかりと考えて来たから任せとけって」
「不安だけど、お前を信じる他ないだろうな……」
「戦艦に乗った気分になれって」
「……」
と笑いながら言う星夜に、また涙が出て思わず笑みが溢れてしまった。
正直言えば恐怖しかなかった。職員達は自分を海外に連れて行くつもりだった。英語は分かるが、慣れない土地に、誰かもわからない人間に何かをされる程の恐怖なんてない。
だけど、友人達は見捨てずにここまで来てくれた。命を顧みずに。それが本当に嬉しかったのだ。
「ところで今も生配信してるのか?」
「あぁ、さっきからずっとだ。お前の顔出ししちゃったけど、いいだろ」
「あぁ、バレる覚悟だからな」
「それに、敵さんのお出ましだし、視聴者に状況説明するぞ」
「え?」
星夜に言葉に後ろを向くと、無数の同じ車が背後から現れて、星夜の後を追う。
明らかに距離を詰めて来て、自分達を狙っているのが丸わかりだった。
「おいおい」
「落ち着け落ち着け。二人で視聴者に説明するから息整えろ」
「……分かったよ」
東児は一度息を吐いて落ち着き、星夜はダッシュボードに貼り付けている生放送中のスマホを取り、東児へと投げ渡した。
そして東児が自分と星夜の顔を映すと、星夜は顔色を変えて喋り始める。
「みんな!俺らは逃げも隠れもしない!ここからは顔出し配信だ!名前だって公開してやる!俺は星夜、隣は東児!さっきも行ったが、友人の東児がクリーンフォックスに囚われてたった今脱出した!見てわかる通り、後ろから怪しい車に追われてる最中だ!」
星夜は指で指示をして、東児はスマホを後ろに向ける。大量の車が押し寄せている光景を視聴者に見せつけた。
再び自分達にカメラを向けて東児は語り出す。
「星夜の言う通り、俺はクリーンフォックスに囚われていた。その時の内部映像はSNSや各動画サイトに投稿されているはずだ。生体実験や武器製造など怪しい点を全て記録しておいた!」
「これが本当なら奴らは偽善者だ!自然を愛してなんかない、ただ武器商人だ!」
「俺もあの力、いや刻印の力を研究する為に実験材料にされる所だった。俺が脱出した事で俺らを追いかけて殺そうとしている!」
「と撃って来ることはないだろ。日本だぜここ──」
と星夜が余裕をかましていたら、一発の弾丸が星夜の席側のミラーを貫いた。
「ひえっ!」
「撃って来たじゃんか!」
「銃刀法違反だぞコラぁ!!ってか今の見たかお前ら!撃ってきたぞ!!銃弾だぜ!ほらカメラ!」
カメラに映された銃痕。そして星夜が運転しながら窓から身を乗り出して、抗議しようとすると相手側も同じく、何十人もの傭兵達が窓から身を乗り出して銃を構えていた。
「マジかよ!」
「撃たれるぞ!!」
咄嗟に身体を車に戻して、撃たれる寸前に塗装もされていない森の中の道へと飛び込んだ。
木が入り乱れて斜面な道を、暗闇の中で走っている。80キロを帰る速度の中で降っており、気にぶつかったらほぼ即死だろう。そんな死と死の隙間の中を走る東児は死を覚悟しながら激しく怒りを露わにした。
「本当にそんなコントローラーで大丈夫なのか!バカ!」
「俺だってゲームを長年やってんだ!!少しは期待しやがれ!!」
巧みな操作で掻い潜りながら山を下って行く。星夜は狂ったように
「あはははは!!ははは!!ひい!死にそうなのに何てワクワクすんだ!!ははは!」
「バカバカ!!ほんとにバカだお前は!!」
「皆さん画面酔いにはご注意を!!」
そのまま車は林道を抜けて麓の道路までショートカットに成功した。
「おっし!逃げ切った!」
「うぷ、吐きそ……」
激しく揺れ動いた車内では東児の顔がげっそりと青くなっており、すぐに窓を開けて中身をダムの放流のように吐き捨てた。
「おいおいゲロはBANされるぞ。カメラから外して吐けよ!」
「んなこと……うっ」
「止まってる暇はないんだぞ。このまま走るぞ!ほれ上みろ!」
吐き終えた東児が空を見上げると、森の奥から無数のヘリが現れて、二人の車を追いかけ始めた。
「ちっ、市街地に入ろうとしてんのに追いかけてくんのか!?」
「あちらさんは本気で捕まえようとしてるな。それに……」
ヘリを見ると下部に機関銃が装着されているのが確認出来た。ヘリが動きながら、銃口もしっかりと動いて星夜の車に標的を定めており、明らかに攻撃する気を見せている。
「機関銃まで!?」
「あんな物まで持ってたのかよ! 日本の管理どうなってんだよ!」
「このまま市街地に入って撃ってきたら」
「こんな時のために、作戦はまだある!」
カメラに向けて言う星夜の自信満々な表情に、暗雲立ち込める東児であった。
*
その頃、蓮達は刻印石の載せ終えてすぐにでも発進しようとしていた。
「星夜らは森を抜けたようだね」
「敵もそっちに集中してるようだし、安心して発進出来るわね」
「人の風も感じないし、周りに人や車はいないよ。これなら行ける──いや、待って」
「どうしたの?」
蓮が何か動く風を察知したのか目を瞑り耳を立てて、音と風の流れを感じ取る。
ガサガサガサ!と、小動物のような軽く草を踏む感じでもなく、大人のような慎重に草を掻き分けて迫ってきてる感じでもない。
まるで獰猛な猪が猪突猛進し、荒苦しい息を吐きながら木を薙ぎ払うかのような進撃をしている。
そして蓮は感じた。動物でもなく、人間でない。まるで巨人だ。蓮の不安となるモノは二人の目の前に飛び込んで来た。
「ぐがぁぁぁ!!」
「なんだコイツは!?」
二人の目の前に現れたのは狼男のような二足歩行で全身毛むくじゃら。熊のような爪と顔、そして大柄な体型で2メートルは優に超える今にも破けそうなズボンを履いたクマ男だった。
口から涎を垂らしているクマ男が言葉を発した。
「オンナ、オマエヲコロス」




