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刻印戦記-Crimsonuniverse  作者: ワサオ
1-②悪だくみNova-
39/77

【Part17】再開宣言

 

「クリーンフォックスという確証が欲しいんでしょ?」

「あぁ、そうだが。監視カメラやら防犯カメラでは捜索は難しいぜ」

「星夜は至る場所の監視カメラを調べていたんなら、もっと調べる範囲を増やすんだ」

「増やすって?」

「僕達"悪巧みNova"の活動範囲だよ」

「活動範囲?」


 その言葉に秋が人差し指を立てて言う。


「動画サイトとSNSだ!」

「その通り、動画サイトや配信サイト、またはSNSにて六道山付近で活動したり、動画を撮った人達の動画を漁るんだ。ここ最近の」

「で、それを見てどうすんの?」

「つまりだ。そこから怪しい車を発見するんだ。流石にそこまでの削除は範囲的には難しいはず」


 そうは言ってもそこそこに無理がある作戦に星夜は苦言を言う。


「でも、そんなに都合よく写ってるかね?」

「昔の未解決事件の謎は証拠はあっても、情報が目撃情報だけだ。だけど、現代はSNSや動画などの映像や写真から事件が解決に近づいた事だってある。現代の若者の力を見せてやるんだ」

「……お前の考える作戦なら、やってみる価値はある。と言っても怪しい車って何だろうな?」

「トラックか、車か。ヘリならプロペラ音で、もっと情報が出るはずだから、車やトラックをメインに探そう」

「それでも、かなり骨の折れる作業だぞ……それで見つからなかったら……」


 いい案だと思うが、これは地道な作業で不確定情報頼りになってしまう。そうなると、より捜索が難航を極めてしまう。

 秋もひたすらに考えたが考えが浮かばず、思わず愚痴る。


「……手詰まりってやつかなぁ」

「こうゆう時、東児はどう考えるだろうな……」

「一番良い案を出してくれそうなんだけどなぁ」


 と全員が落胆していたその時、突然星夜のスマホの通知が鳴った。


「ん?母さんか?」


 スマホを確認するとメッセージが書いてあり、送り主の名は東児の名が書かれていた。


「東児!?」

「はぁ?」


 慌てふためく星夜は慌てて、困惑している二人にスマホ画面を突きつけた。


「東児からメッセージが届いてんだよ!」

「何でよ?」

「それは俺のセリフだ!」

「落ち着いて星夜!とりあえずメッセージを読もう」

「そ、そうだな」


 スマホを確認して、送られてきたメッセージを確認した。

 その内容は、おれはいまあさまやまのくりんふおつくすのけんきゆうしよにいる やつらはおれをつかまえておれらかつかうちからのこくいんのけんきゆうをしている おまえやあきやれんのちからであさまやまのあのいしをはかいしてくれ やつらにはれたらたいへんなことになる それこそこのちからをもつたやつらかせんそうをおこす

 おまえのことたからおれをたすけようとしているかもしれない おれはらいしゅうのもくようひのせろしにむりやりたつしゆつする このすまほにはたいしなしようほうかある おまえのちからをかりてあはいたあくしをこうひようしよう あんひかんにんのためにまいにちれんらくをいれるからおまえらからはれんらくするな せいやたのむそ

 と書いてあった。ひらがなで濁点も小文字もない為、読みづらかった。


「な、何だ?暗号か?」

「六道山のクリーンフォックスの研究所……これは東児からのメッセージだ!どうゆう状況かはわからないけど、何としても僕達に送ったんだ」


 そうして三人でひらがなで書かれた文章の解読を進めた。


「俺は今、六道山のクリーンフォックスの研究所にいる。奴らは俺を捕まえて俺らが使う力、刻印の研究をしている。お前や秋や蓮の力で六道山のあの石を破壊してくれ。奴らにバレたら大変な事になる。それこそこの力を持った奴らが戦争を起こす。お前の事だから俺を助けようとしているかもしれない。俺は来週の木曜日の0時に無理やり脱出をする。このスマホには大事な情報がある。お前の力を借りて暴いて悪事を公表しよう。安否確認の為に毎日連絡を入れるから、お前らからは連絡を入れるな。頼むぞ星夜」

「これってやっぱり東児が送った……」

「そのようだ。にしても無茶言ってくれるぜ。来週にぶっつけ本番だと。やっぱりあいつの方が俺らよりも上のようだな」

「でも、敵の作戦かもしれないよ」


 蓮の言う通り、敵が東児から没収したスマホを使って偽った連絡を入れた可能性も十分にあり得る。蓮はそれを危惧して物申す


「それなら、それで罠にハマるまでだ。罠にハマってでも助ける。俺はこの文章を東児が書いて送ったと信じる。奴の書き方は俺らが一番知っているだろ」

「それも、そうだけど……」

「なら、明日にでも準備を始めるぞ。学校にも行こう。周りの目が冷ややかやでもいつも通り行くぞ!」


 やる気を出す星夜。

 だが、秋はずっと驚きを隠せない顔をしていた。


「本当に東児捕まっていたんだ……」

「え?」


 再び静寂に包まれる一同。

 そして星夜に情報を送った東児。その方法とは──


 *


 星夜に連絡を入れた東児。

 それまでの数日の生活は何とも退屈なものであった。朝昼晩と上手くもない飯を食わされ、朝は血液を取られ、心音を測られ、更にはウルフと言う覆面を被った男が色々と話を聞かされた。暴力などは受けなかったが、毎日のように星夜らの事や刻印の情報を聞き出そうとしている。

 だが、基本的には放置気味。やる事もないので、糸を放ち研究所内を調べた。施設の構造を把握し、ここは地下三階の研究施設。生物実験などもしているし、資料室のような場所には顧客のようなリストや輸出している国の名前などが載っていた。刻印を所持しているのは東児達四人と六道山での二人の高校生の計六人。そしてこの施設にはメガネを掛けた白衣の男は将生(まさき)。ウルフという傭兵はいるが名前までは判明せず、更には東児を襲ったクマの姿はなかった。

 そして星夜への連絡は通気口を伝ってここに連れてこられた時に投げ飛ばしたスマホの元まで行き、糸を操って何とか文章を打ち込んで送った。

 そんな星夜へと送った次の日もウルフが話を聞きにくる。


「お前にまた質問だ。お前のその能力は一体何だ」

「何度でも言うが、答えたら褒美でも貰えるのかよ。こっちは夏休み前なんだよ。早く家に返せ!」

「貴様も分かるだろ。何故こうやって拘束しているか。何故血を取られているか」

「さぁね。お前らが俺の熱狂的なファンだからか」

「こんな状況だろうとも、ジョークを言える余裕があるか。良い根性だ。今はその力についての答えを知りたい」


 そう言って腰から拳銃を抜き取って銃口を額に突きつけた。


「こちとら簡単な護衛任務だったのに、変なガキが乱入して任務が台無し。俺の信用ガタ落ちだ」

「そりゃあ俺らのようなしょんべん臭いガキに逃げられたんだから、お前は幼稚園の先生以下って事だろ」

「言ってくれな全くよ。それにしても銃を突きつけられても恐怖はしないか」

「当たり前だ。今の俺はお前らにとって重要な存在だと分かる。理由の一つして、お前らがこの力を知りたがっている。すなわちその能力をまだ理解するには程遠く、俺くらいしかこの能力を聞く奴がいない。毎日色々身体調べてるんだ。いやでも重要視されているのが分かる。だからアンタ俺を殺せない。殺したらアンタの首も簡単に吹き飛ばされてしまう。それにもしアンタが銃を使おうをしたなら、俺の能力でどうにかして食い止めて見せる自信がある。その手をへし折る事くらい余裕なんだよ」


 ドヤ顔で言う東児にウルフはため息を吐き、銃を放ち部屋から出ようとする。


「自分の置かれた状況をよく分かってるな坊主。貴様の価値は下手をすれば核兵器と並ぶ価値とも言われている。それほどのパワーと言うことを自覚しておけ」


 ドアノブを捻ろうとした瞬間、ウルフは手慣れた手つきで腰に手を伸ばして銃を取り出し、そのまま躊躇いもなく銃を東児めがけて撃ち放った。

 いきなりの銃撃に部屋の外から白衣の男将生が慌てて入ってきた。


「う、ウルフさん!?」


 顔面蒼白な男に対して、ウルフは至って冷静な態度で銃腰に戻した。


「その能力は便利だな。弾丸を眼前で止めやがった」


 東児は咄嗟に刻印を発動して弾丸を糸でぐるぐる巻きにして眼前寸前で食い止めていた。だが、その糸は透明のように見えるほど細く、まるで弾が空中で止まっているように見える。

 東児も焦っているのか、額から汗がダラダラ流れ落ちていた。


「あ、危ないじゃんか!」

「ふん、発動まで初動の速度は相当な速さだな。それにこの糸。近くでじっくりと見ないと分からんな」

「そうゆう問題じゃねぇよ!」


 糸は目視での確認は難しく、チラリと光の反射で糸の一部が光るぐらいで簡単に発見は出来ない。ウルフは糸を触れ、よく凝視するがすぐに東児は糸を戻した。


「人様に触れさせるほど、良いもんじゃねぇよ」

「また良い情報が分かった。じゃあな」

「おい!」


 そう言って部屋から出て行くウルフと困り果てた顔で追いかける将生。


「変な行動はやめて下さいよ」

「ふん、新たな情報が分かっただけでも感謝しろ」

「そうですけど、見て下さい、心音が普段よりも激しいんですよ。精神的に追い詰めると何しでかすか分からないんですから」


 そう言って将生は部屋の心音図を見せると激しくグラフが揺れ動いていた。

 それを見てウルフは少し黙り込んでから部屋を出て行った。


「ちゃんと見張っとけよ。大事な商売道具になるやもしれん人間だ」

「ウルフさんに言われたく無いですよ。また変な行動起こさないで下さいね」

「分かったよ」


 やれやれと呆れたように言いい、ドアが閉まり部屋には静寂が広がった。


「ふぅ、最悪な日だ全く」


 こんなところ早く脱出したいから星夜には一週間以内とは言ったが、ハッキリ言ってここの連中がどれほど自分をここに置くかは何も分かっちゃいないし、何するかも分からない。

 大勢の職員の話を盗み聞きしたが、どの職員も何も分かっていないのだ。自分がどうなるかは多分一番上の役職しか知らないのだろう。

 その為にも大急ぎで準備をする事を祈るしかないのだ。助かりたい気持ちもあるし、クリーンフォックスの悪事を捌くためにも。


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