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刻印戦記-Crimsonuniverse  作者: ワサオ
1-②悪だくみNova-
36/77

【Part14】事件が発生しました。

 

 ゲームセンターから家へと帰った星夜。帰路でも東児から連絡が来ないかずっとスマホを見つめていた。

 家へ着き、ベッドに直行して寝転がった。テレビの前に置いてあるリモコンに手をかざして、刻印の力で手に引き寄せてテレビの電源を付けた。

 好きなバラエティ番組を見るも内容は入って来ず、面白いシーンでも笑みが浮かばなかった。

 そんな時──


「星夜、ちょっと良いかしら?」

「ん?」


 母がドアをノックして、星夜が返事をするとドアを開けて入ってきた。


「東児君のお母さんから電話よ」

「ん?こんな遅くに?」


 母から電話を渡されて電話に出た。

 そこで東児の母に言われた事は──


「……東児が、帰ってない!?俺も電話を何回もしたのですが、一度も出なくて……はい、分かりました。アイツが行きそうな場所を探します!」


 電話を切ると即座に飛び上がり、支度を始めた。

 その慌ただしく、平常心ではない星夜に母も心配そうに聞く。


「何処行くの?」

「東児がまだ帰ってないんだ。ちょっと付近を探すから。少しだけだから、すぐ戻ってくるよ」

「……わかったわ」


 母は不安そうな顔だったが、それを了諾した。

 星夜は分厚い手袋も持っていき、家から飛び出して東児が行きそうな場所を探し始めた。

 すぐに向かったのは近くの公園だった。星夜が小学生の頃から、何となく公園に行くと東児がかなりの確率でブランコで一人、遊んでいる事が多かった。それは中学、高校でも同じだった。その可能性から公園へと直行したのだが──


「な、何だ!?」


 公園の前に到着した星夜は、目の前の光景に足が自然と止まった。パトカーが何台も止まっており、警察官らが何名もいた。公園の周りには黄色の侵入禁止テープが張り巡らされており、厳重警戒のような状態であった。

 何があったと近くの警察官に話しかけようとしたが──


「何があったんです──!?」


 星夜の言葉が止まった。それは公園内にいる人物に見覚えがあったからだ。それは2週間前に学校で話した木田と言う男だった。あの人がいるという事は何か良からぬ事が起きたに違いないと、真っ先に考えた。

 木田は星夜の存在に気づき、こちらに近づいてきた。


「やぁ、久しぶりかな?星夜君」

「木田さん……だったですね」

「奇遇だね、君がここにいるなんて」

「……何があったんですか?ここで」


 聞くと木田は周りの警察官ら全員にヒソヒソと話をし始めた。全員頷くと木田は星夜を手招きして、テープの向こうへと呼び寄せた。


「こっちにおいで。特別だよ」

「……」


 手招きされて、言われるがままに木田の後をついて行く。

 嫌な予感がするが、星夜は心を落ち着かせてテープの奥へと入っていく。だが、入った瞬間に足が止まり、眼前の光景に目を疑った


「公園がボロボロに。何があったんだ……」

「付近の住民の話によると制服を着た高校生くらいの男の子と2mはある大男と揉め事があったと言っていた。揉め事にしては普通とは思えない光景だけどねぇ」


 ジャングルジムがぐしゃぐしゃにされ、太い木がへし折られている。電柱も真っ二つに割れている。公園中央には巨大な穴が空いている。


「まるで超能力者か何かが暴れたような感じだなぁ」


 そう言って木田は星矢を見つめるも、その顔は懐疑的な表情であった。

 星夜もムキになって答える。


「まさか、それが東児がやったとでも言うんですか」

「そうとは言ってないさ。でもタイミングが良い事に先程、加賀理東児君のお母さんから連絡が来てね。息子が帰ってきてないと」

「……」

「だから、警察としては関連性があると見て捜索しているんだよ。丁度いいから君にも話を聞かせてもらおうか。最近の東児君の事や、今日の彼の行動について」

「くっ……!!」


 星夜は顔を背けて木田の問いを無視して走り出し、公園から逃げた。

 木田は追おうとはせず、じっと走り去っていく星夜を見つめた。そんな木田に有が近づき、星夜を放っておいた事を問う。


「話を聞かなくていいのですか?あの少年に」

「うん。今の彼には無理だろうね。僕らも動きづらい立場だから、今は突発的な行動はやめて欲しいけどね」

「でも、この状況……かなり危険な予感が」

「もし本当に誘拐された、となれば他国に刻印の存在や力が渡ってしまう。それだけは何としても阻止したいがね」

「はい。上はまだ、事の重大さを分かっていない。もしも起きたらじゃなくて、本当に起きたらを考えないといけないんですから」


 *


 星夜は一人ひたすらに走った。東児が誘拐された可能性があると分かり、焦りから意味もなく走り続けた。

 何分も走り、公園からかなり離れた所で疲れて一度足を止めた。頭の整理が追いつかないままに蓮へと電話を入れた。


「れ、蓮……」

「息が荒いぞ?どうしたんだ?」

「……俺の嫌な予想だが、お願いだから聞いてくれ」

「落ち着け、落ち着いてよ。何言ってるか分かんないよ!とにかく呼吸してからゆっくり」

「すまない、一度聞いてくれ──」


 星夜は蓮に公園で見たものや木田が言っていた事などを全て話した。


「そ、そんな……まさか本当に捕まった……の」

「……連絡が付かないし、公園の状況を見ると誰かに襲撃を受けた可能性が高い。そして捕まった……としか」

「だからと言って、僕らではどうする事も……」

「そう……だよな。警察も動いてくれている。それにあの力もあるんだ。アイツなら危機を乗り越えられるはずだな。そうに違いない。すまなかった蓮、こんな時間に」

「僕も正直言って心配だよ。でも、実害が起きた今、星夜もこの時間は出歩かない方が良いよ。多分東児も一人でいる時に、襲撃された可能性も捨てきれない」

「分かった、もう帰るわ。また明日な」

「うん」


 星夜は電話を切った。蓮の声は落ち着いてはいたが、絶対に心配で、心も身体が落ち着かないのは星夜と同じだろう。でも蓮の言う通り、今一人で行動するのは危険であると、すぐに帰路に着いた。

 星夜は心苦しくなり、今更ながら後悔していた。本当に実害が起きるなんて考えてもいなかった。と言うより、こんなにも近くに、特定までしてくるなんて、考えが甘過ぎた。

 星夜は足を止めて、電柱を思いっきり殴った。刻印が無意識に発動し、拳がどんどん電柱にめり込んでいく。


「クソ、クソっ!なんでこんな事に!!」


 東児は忠告していた。だけど、大丈夫だろうと軽い気持ち話を退けた。

 だが、この結果が全てだ。何か起こしても、配信者達のように謝れば良い。そんな感覚だった。でも皆んなそうやって問題を起こしているんだ。

 でも、これは違う。本当にダメなやつだ。自分の責任で、自分が無知で傲慢なばかりに。友を、親友達を危険な目に合わせた。

 星夜はずっと自分を責め続けた。だが、星夜は拳を止め、決断した。


「俺が何としても見つけてやる……ケジメを付ける」


 歯を食いしばり、目を見開いたその顔からは星夜が今までに見せた事のない表情であった。


 *


 時を同じくして、とある場所──


「……」


 目が覚めた東児だが、何か椅子のような物に座らされて、両手を背中に回された状態で手錠のような物で縛られて身動きが取れない状況。

 更にそこは激しく身体が揺れており、聞こえるのはエンジン音のみ。それに視界は真っ暗。頭がキツさがあるところから何かで布か何かで目隠しされている。背中には車の座席のような反発性を感じるシートの感触。両脇から感じる生暖かい温度。

 そこは車の中だろう。それに後部座席で男達に囲まれた状況であると考えた。

 あの時に気絶されられて、自分は何処かに運ばれているのだろうと咄嗟に理解した。つまり誘拐されたと。

 頭がズキズキと痛み、身体の節々も痛む。


「……」


 東児は暴れる事はせず、冷静な手の甲を座席にギュッと引っ付けて光がバレないように刻印を発動した。糸をゆっくりと伸ばし、目に巻かれた布を少しばかりずらし、片目だけ出した。車の中には両脇に二人、運転手と助手席にもいる。両脇の二人は銃を持ち、助手席の男も銃を持っていた。刻印を使えば銃を奪って、男達を縛りあげれば逃げる事は出来る。だが、この車の前方に車が走っている。それにルームミラーからも見えるが後ろにも車が走っている。無理矢理逃げても掴むのがオチだろう。そう悟った東児は慌てて様子を見せずに、目元の布を戻した。

 そして両脇に座る傭兵の足。そして両脇の二人の背中から糸を伸ばして、座席の下から運転手と助手席に座る傭兵らの足に糸へと触れさせ、彼らの心の声を聞く。


『腹減った』

『眠い……早く切り上げて帰りたい』


 両脇の二人は愚痴のような心の声が聞き、何とも言えない気分になり、前の二人の心の声も聞く。


『こんな事してウルフさんに怒られないかな』

『刻印って力を持つ少年と言っても普通の少年だよな。この少年をどうするんだろうか』


 男の心の声が言っている"刻印"、"ウルフ"など気になるワードが聞こえて気になる。だが、それよりもこの車の行き先が気にかかる。

 その後何分か車が走っていると、道が突然ボコボコと道路から外れた砂利道に入った。そこから更に進み、車は突然止まった。

 到着したのかと緊張し、身体が強張っていると、運転手が車の窓を開けて、誰かと会話をしている。


「最重要人物を連れて来た。入れてくれるか」

「分かった、今開ける」


 二人の会話から、やはり何処かへと連れて行かれているのが確定した。

 そして運転手が確認を取ると、シャッターが開く音と共に車は進み出して、東児はその場所へと入っていくのだった。


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