【Part9】逃走中!!
秋が挑発すると、男は再び声を荒げて大きく拳を振り上げて殴りかかって来た。
自分の顔よりも大きな拳ながら秋は逃げず、拳を真正面から余裕の表情をして片手で受け止めた。
「!?」
男が再び攻撃しようと腕を戻すそうとすると秋がしっかり握っている為、離す事が出来ない。
男は左腕で殴りかかるももう片方も受け止められてしまった。
「私みたいなキュートな女の子に攻撃受け止められてどんな気分?」
「うがぁぁぁ!!殺す!!」
「……だよね。なら、あたしも手加減なしで行くわよ!」
秋は力強く握りしめて、男をいとも簡単に持ち上げ、横に回り始めた。勢いよく回り、秋は目一杯の力を解き放って男を投げ飛ばした。
「うらぁぁぁ!!」
「!?」
投げ飛ばされた男はコンテナにぶつかり、大きく凹みをつけた。
決着がついたと思ったが、すぐな男は立ち上がり耳に響く声を再び上げて秋に勇猛果敢に突撃して来た。
今度は逆に男が秋を捕まえようと両腕を広げて、掴みかかる。
「よっと!!」
秋はジャンプして避けて男の背後に立った。そして男が振り向いた瞬間に、頬に回し蹴りを食らわせた。
刻印の力でかなりの衝撃が襲い掛かったが男はその場に踏ん張る。
「嘘でしょ!?」
「うがぁぁぁ!!」
男はすぐに拳を振り上げて殴りかかる。だが、秋は首を横に傾けて拳を避け、男の胴体の死角に潜り込んだ。そして拳を引いて、勢いよく胴体に拳を一撃叩き込んだ。
「おらぁぁぁ!!」
「グガッ!!?」
激しい衝撃と共に男はくの字になって飛んでいき、再びコンテナに衝突して、ぐったりと倒れた。
「今度こそ倒れたかしら……予想以上に暴れ回っちゃったけど、大丈夫かしら……」
秋は追手が来ない事を確認して、再びコンテナに飛び乗って逃亡を再開した。
*
ウルフは一気に距離を詰めて星夜へと、無数の攻撃を繰り出した。鉄パイプで応戦するも、あっという間に切り落とされた。
「くっ!」
「はっ!」
ウルフは更に攻撃の速度を上げ、星夜は避けながら後ろへと後退して行くと、背中にコンテナがぶつかり後退出来なくなった。
ウルフはビームソードを喉元に突きつけた。
「これでも答えは変わらんか。それに、そのダサいマスクを外すのも嫌か」
「アンタに言われたくないね」
「ふっ」
ウルフがニヤリと笑った。その時、いきなりビームソードで突き、星夜は咄嗟に身体を伏せて避けた。ビームソードはコンテナに突き刺さり、突き刺さったまま下に振り下ろし、またも星夜は横に転がり、ギリギリで避けた。
ビームソードはコンテナを削り取り、振り下ろした跡が残った。
「こ、殺す気か!」
「避けると思ったまでだ。死にたくなければ、捕まってもらう」
「嫌だね!」
「なら、仕方ない」
ビームソードを引き、懐から先程とは違う拳銃を取り出して躊躇いもなく撃ち放った。
「くっ!」
星夜は瞬間的に避けたが弾は頬を掠り、頬に赤い線が引かれた。
ウルフは更に攻撃を仕掛けようとした。だが、星夜が咄嗟にウルフへと体当たりを食らわして、お互いに態勢が崩れた。
星夜は膝をついた状態で、壊れたドローンに手をかざすと、ドローンが分解され、近くにあるフォークリフトも分解され、部品らが星夜の右腕へと集まり出した。
「こ、こんな能力もあんのかよ!?」
星夜自身もドローンを引き寄せようとしただけなのに、何故フォークリフトまで分解されたのか理解出来なかった。
部品らは腕に引っ付くと皮膚から無数の配線が伸びて、部品らと繋ぎ合わさり、何かを形成し始めた。
「……これは」
形成されたのは巨木並みに大きな機械の腕。しっかりと形成されており、鉄板が皮膚のようになっており、腕の隙間からは青色の光が点滅していた。
手を閉じたり開いたりして、可動が出来るか確認する。
いきなりこの能力を使えて驚いたのか、腕に見惚れて星夜は苦笑した。
「は、はは……凄えや」
「ちっ、夢でも見てるみたいだぜ」
「俺だって一緒さ」
ウルフは立ち上がり、銃を撃ち放つ。
だが、星夜が腕を盾にすると透明なバリアが星夜を包み込み、銃弾を別方向へと跳ね飛ばした。
「くっ、ふざけた能力だ」
ウルフはビームソードを再び出して星夜へと飛びかかる。
星夜はバリアを解き、拳を握りしめた。ウルフが正面まで接近し、ビームソードを振り下ろした。対して星夜は拳を振り上げ、機械の拳にビールソードの側面が当たるが、一部だけ機械の中にめり込むも星夜の身体に届く前に星夜の拳がビームソードごと力任せに押し上げてウルフの顔面を殴り飛ばした。
「ぐふっあ!!」
殴られたウルフは円を描くように高く飛んでいき、海へと落ちて行った。
星夜は数秒ほど海を見つめて、上がって来ない事を確認して走り去っていく。
「今はおさらばだ!」
そのままコンテナに飛び乗り、埠頭出入り口まで逃げる。
逃げる最中、コンテナから飛び出した武器の事が頭から離れなかった。
「あれって……銃だよな……」
端に到着し、コンテナから飛び降りると丁度秋がおり、うまい具合に合流を果たした。
「あ、星夜!?大丈夫だった?」
「あぁ、死ぬかと思ったけどな。お前は?」
「アタシも大丈夫。この拳で大男ぶっ飛ばしちゃった!」
「そりゃあよかった。さっさと逃げよう」
「うん」
二人はハイタッチを交わして走り出し、出入り口へと向かおうとした。
「待て!」
その時、二人を囲むように外国人の屈強な傭兵達が取り囲み、車も数台止まりそこからも傭兵が降りてきた。銃やナイフなどは持っていないが、懐に忍ばせているであろう武器に手を伸ばしていつでも攻撃出来る態勢を取りながら、じりじりと迫る。
「日本の大規模な港でこんな武装している奴らがいるって、物騒な世の中になったなぁ!」
「ねぇ、コイツらやっちゃう?」
「やるしかねぇだろ!」
二人はやる気に満ちており、闘おうと走り出そうとした時──
「二人共何かにしがみつけ!」
「!?」
と出入り口から聞こえてきた搾り取った大声。二人には馴染みのある声。もちろん蓮だった。
風の刻印の力を解き放ち、両手に小さな竜巻を生み出して、それを勢いよく地面に押し付けた。
「秋!!」
「え?」
星夜は咄嗟に秋の手を掴み、星夜自身は近くの鉄柱にしがみついた。
その瞬間、蓮の手から強風が吹き荒れ、その場にいた傭兵や車などが2・3メートルほど宙に吹き飛ばされた。鉄柱にしがみついていた星夜らは必死に吹き飛ばされるのを耐えた。
風が治まり、地面に車と傭兵が落下して、落ちた車がブザーを鳴らすなど、より騒ぎが大事になり始めていく。
「助かったぜ!!」
「早く行こう!二人共!」
港の外の人々も騒ぎに気づき出すなど、星夜は事の重大さに気づき、周りの傭兵らも倒れているので、隠れるように港から脱出した。
*
10分過ぎた頃、クマによって海から引き上げられたウルフ。
「すまん、助かった」
「ダイジョウブ……か」
ウルフは水に濡れたマスクを外し、地面に投げ捨てた。それにスマホも濡れており、使い物にならなくなっていた、
その顔は30代前半のような顔をした男で、金色の髪色をした白人男性だった。
「あぁ、かなり痛かったが……その身体の傷、お前もやられたようだな」
「うぅ!!マケタぁぁぁ!!」
「落ち着けクマ。奴の正体を暴ける証拠は十分にある。また戦えるチャンスはあるさ」
「ふぅ!!ふうぅぅぅ!!」
クマは地面を何度も殴り、ウルフも気を紛らわそうとタバコを懐から取り出す。だが、ライターもタバコも濡れて使い物にならなかった。
「ちっ、タバコが湿気っちまったぜ」
ウルフは湿気ったタバコを投げ捨てた。
苛立っているところに傭兵の一人がスマホを持ってきた。
「ウルフさん、電話が」
「分かった」
ウルフは渡されたスマホを取り、電話に出る。
「すまない、謎の力を持つガキに逃げられた。嘘だと?なら、後で映像を送る。それ見てから文句を言え」
「ドウシタ?」
「地図が送られて来た。そこに行くぞ」
「?」
そう言ってウルフとクマは送られた地図の場所へと向かった。




