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刻印戦記-Crimsonuniverse  作者: ワサオ
1-②悪だくみNova-
27/77

【Part5】我々の裏側

 

 表の生活に苦戦する中、オンラインインタビューのお陰もあり、ネットニュースで話題となっていき登録者数が激増して行く悪だくみNova。

 若者を中心とし人気を博し、再生数は鰻登りであった。

 批判コメントなども多くあり、オワコンだの一発屋と言われるなどあるがそれでも人気は高まって行った。人気になればネットニュースに乗り、更に人気が出る。それの繰り返しである日の生配信する時には、その日の同時接続数が世界一位にまでに成長した。

 のだが──

 能力を手に入れて、一ヶ月以上が経っていた。

 動画は相変わらず人気なのだが、流石に能力に頼りすぎたのか飽きただの、昔の企画やってほしいなど批判コメントが徐々に増え始めていた。

 そのせいもあってコメント同士での喧嘩も多くなり、更に批判を浴びる事となった。


「くそっ!似たような奴らが増えやがって!しかも、どれも雑なCGばっかりだ!」

「言っただろ。いつかは飽きられる。まだ再生数はあるが、このままじゃ良くいる一発屋だ。まっ、稼げただけでもめっけもんだ」

「小遣いとしては良いかもしれんが、せっかくノリに乗ってきた状況で引くなんて出来る訳ないだろ。俺らの目的は人気者になる事。夢はテレビに出て、有名人と仲良くなる!」

「下心丸見えじゃんかよ」

「うるせぇな。それでもやるんだ。今、SNSでやってほしい事を募集している途中だ。当分はリクエスト方式で行く」

「変な方向に行くに決まってるよ……」


 そう言って東児の再三の忠告を無視して、一週間前から設置していたSNSのリクエストボックスを覗いた。


「いじめっ子を見つけて倒すか」

「下手な行動は特定されるぞ」

「……それもそうだな。変な宗教団体潜入。面白そうだけど微妙だな」

「そういうのって裏が危険と言う話はよく聞くぞ」

「危険か、それにこの能力あんまし映えないだろうし。ん?クリーンフォックス?」

「クリーンフォックス?」


 東児も分からず、星夜は蓮にリクエスト画面を見せる。


「クリーンフォックスの裏を調べろ?クリーンフォックスって何?」

「クリーンフォックスって確か世界各国に拠点を置く自然保護団体だったはず。自然あふれる山や土地を買い取って、そこを自然保護地区として密猟などを厳しく取り締まり、動物や植物の保護や研究をする世界的に支持されている組織だよ」

「へぇ、そんな組織が何の裏があるんだ?」

「ちょっと待って調べるから」


 蓮がパソコンで色々と調べ始めた。


「ええっと、あぁなるほどね」

「一体何なんだ?裏って?」

「クリーンフォックス──表面はさっき言った通りの自然保護団体。でも、裏では買い取った土地や山などに武器製造工場を作っている噂みたい。噂だと日本国内にも存在するみたい」

「武器工場?日本で?」

「山の権利を買って、自然保護区と言って人の侵入を制限させて工場を作るって事だね」


 蓮は調べていくと、更に情報が出てきた。


「……六道山に工場があるって噂も。クリーンフォックスは自然保護の名目で、4年前に六道山の一部の土地の権利を買った。一部の情報だと、夜中に複数のトラックが山道を通って何処かへと向かったみたい」

「怪しいなぁ。これは面白そうだ」

「……港の場所やトラックが出てくる場所までしっかり書いてある……」

「そこまで詳しく書いてあると逆に信じたくなっちまうな」

「マジで……?誘われてるんじゃないか?危険な奴らに」

「そんだけの情報通が居るんだろ。世の中広いもんだねぇ」


 星夜は拳を振り上げて立ち上がり、蓮のパソコンに指差した。

 その姿に全員が固まってしまった。


「やるしかねぇよな!悪事を裁く!それが新生悪だくみNovaよ!」

「……お前本気で言ってるのか?例え、本当だろうともかなりの危険が伴うぞ。それにいつから俺らは暴露系の配信者になったんだよ?」

「今からだよ。次は新しい企画。誰もが出来ない真実を暴く事だ!タイトルは"噂は本当?クリーンフォックスは本当に慈善企業なのか?"だ!」

「落ちぶれる配信者の末路だぜ」

「なんとでも言え。俺らは配信者の頂点に立つ!」

「……お前は何でそんなに……」


 東児の言葉に耳を傾けず、星夜は今の成功を願っている。でも、それだけではダメだと思うが、今の星夜には伝わないと思った東児はこれ以上何も言わなかった。


 *


 帰り道──蓮は星夜とドローンの調整の為にもう少し残ると言った。東児は秋を呼んで、近くの公園でブランコを漕ぎながら東児が問う。


「秋、お前は何とも思わないのか。この状況」

「能力が手に入った事?」

「あぁ。能力が手に入って良いこと尽くめだ。学園生活も前より楽しいし、動画や配信もどんどん成功していき、能力もどんどん慣れてきた。嬉しいけど……」

「?」

「この能力が何なのか、考えたか?」


 東児の真剣な顔な秋は戸惑いながらもブランコを漕ぐのをやめて答えた。


「……確かに私だってこの能力が何だか最初は考えたよ。でも、星夜の押しに負けて、配信とかもどんどんやっていく内に考えるのを忘れていた。それに楽しいのよね。星夜も蓮も喜ぶし、視聴者のみんなも楽しくなって私はこれが続けばいいなって思った。でも、東児はそうじゃないの?」

「俺も小遣い稼ぎ程度やったさ。好き勝手に色々とやって見る人たちが喜んだ。毎回皆んなで楽しい企画を考えて、実験のように撮ったりして、成功したり失敗したりもした。それがとても楽しかった。でも、この能力を手に入れたからの星夜は能力に頼りっぱなしだ。視聴者もより過激なものを望み、星夜をあの企画へと後押しさせた」


 秋は言葉が詰まり、咄嗟に話題を変えた。


「この力って本当に何だろうね……」

「俺にもはっきりとは分からん。分かる事はあの六道山の事件で話題になった学生二人も俺達と同じ、手の甲に文字が浮かび上がっていた。事件後にネットで調べたけど、情報は全部削除されていた。やはり政府は何か隠しているのかもしれない。だからこそ、これ以上公に動くのは嫌なんだよ」

「星夜がそれに気づけば、変わるかもしれないわね」

「アイツが気付けばな。俺は両親や家族、そしてお前達全員に迷惑をかけたくない」


 真剣に悩んでいる東児。

 それは秋にも十分に伝わった。それでも秋には一つだけ思いが合った。ブランコから降りて東児の前に立つ。


「こんな生活でも私は楽しいよ」

「え?」

「東児はこの能力が危険に伴うと思ってるんでしょ?でも私は違う。だってこんな体験、世界で私達だけだよ。高校生らしく色々な事をやりたいと思っていたけど、こんな刺激的な出来事は他の誰にも出来ない。私達だけの体験よ。それにこの能力が死ぬまであるかも分からない。ずっと続くかもしれないし、明日急に使えなくなるかもしれない」

「それはそうだけど……」

「だったら今を楽しむしかないわよ!生きていて危険は付きもの。政府なり危険な奴らに目をつけられたら逃げれば良い。目をつけられるまで楽しむべきよ!高校生は一生に一度だもん。進学や就職したらみんな会えなくなるかもしれないから、私は思い出を優先したい。星夜も蓮も言葉には出さないけど、同じ事を思っているはず」

「まぁ、アイツは昔から皆んなのためにと言って、何でもかんでも盛り上がる事をして人を楽しませていた。その性格が今も変わらないのは嬉しいさ。でも、それとこれは別だ」


 東児は考えた。危険を選ぶか、思い出を選ぶか。


「……今回はやってやる。これ以上何を言っても星夜が無理するなら、俺は抜ける。人が大金を掴むと全て変わってしまう。そんなのな嫌だ。変わるのは歳だけで十分だ。今回の配信でお金を手に入れても俺は貰わない」

「でも、今は少しでも星夜を信じよう。これを気に何か変わるかもしれないし」

「……あんまし良い予感はしないけどな。目の色が変わって、俺とは別の方向を見ているよ。今の星夜は」

「そうかなぁ」


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