【Part1】変な能力を手に入れたら、普段の生活が変わったw
次の日──彼らの高校は戦いが起きた麓の高校とは別である為、普段通り登校していた。
先に学校に到着して椅子に座っている東児と蓮。普段通りに喋ってはいるが、お互いに手袋を付けて話していた。
「昨日の事で周り大変な事になっているらしいな」
「変な宗教団体はいるわ、変な能力を持つ奴らが戦うは、各地で大爆発起きるわ。この世の終わりのようだよ」
「それに手袋付けないと大変だぜ。昨日だって寝てる間ずっと手が光っているし、朝起きたら手元に色んなもんが置いてあったし、めちゃくちゃだ」
「僕だって朝起きたら、部屋が散らかってたんだよ。綺麗に揃えた本が全て棚から転がり落ちてた。これもこの変な力が関係しているんだろうけど、困ったもんだよ」
「全くだよ。特にあの二人は変なことに巻き込まれてるんだろうな。
昨日の事で心身共に疲れているものの、二人は別に気にする事なく話している。その時、ドアが凄まじい音と共に力強く開き、秋が焦りの表情を見せて教室に入ってきた。
だが、それよりも開けた衝撃でドアがぶっ壊れてしまったのだが秋はそれどころではないのか、真っ先に二人の元に走っていた。
「秋、お前!?」
「どうしよう蓮、東児!」
「何だよその怪力は!?」
「分からないよ!」
そう言って力任せに東児の机を叩くと、机は真っ二つに割れてしまった。
「うわぁ!?」
「コップは握ったら割れるし、ドアノブを外しちゃうし、鉄柱も破壊しちゃうし、どうしよ!」
「やはりお前のあの能力の影響を受けたってわけか。まぁ案の定って感じだな。とにかく黙れ。周りから変な目で見られる」
「う、うん……」
「それと手の甲は隠しておけ。光っていると、周りが気にするだろ」
「そ、そっか」
秋は周りが注目しているのを見て、咄嗟に手の甲を隠して窓際へと移動して何食わぬ顔で口笛を吹き始めた。
より怪しまれる行動に全員より注目し、二人も頭を抱えた。
「これじゃあ、余計怪しまれるよ」
「全くだ」
それから何分かが経ち、秋は二人の周りをうろちょろし始めた。
その反面、東児は落ち着いて星哉を待ち、蓮は昨日の事件の事をスマホで調べていた。
「星夜まだなの?もうすぐでチャイムなっちゃうよ」
「あいつもきっと能力で困ったんだろ。すぐに来るさ。気楽に待とうぜ」
「むしろ何で東児も練も落ち着いてるの?こんな事になってるってのに!」
「だって、起きた事はしょうがないだろ。受け入れろ」
「んにしても──」
と、その時東児が教室に突っ込んで来た。髪は整えていないし、制服は着ているもののシャツは何故かパジャマのままだった。
「大変だ、大変だ!たいへんだぁぁぁ!!」
「どいつもこいつもうるさいなぁ!何があったんだよ星夜!それにその格好!」
「そんな事より、これを見てくれ!」
「お前もあの能力で困ってるのか?聞き飽きたわ!」
「そうだけど、違うんだよ!これ見ろ!」
突きつけてきたのは綺麗なスマホであった。
何のこっちゃか分からず、全員唖然した。
「お?新しいスマホを自慢しに来たか?」
「違う違う昨日壊したスマホだよ!治っちまったんだよ!!この能力でよ!!」
「はっ?ちょっと一旦教室出るぞ」
東児は全員を連れて屋上前のドアに集結して、星夜はスマホを見せてきた。それは画面の汚れ一つ付いていない新品のようなスマホだった。
「どう見ても新品のスマホじゃんか」
「違うんだよ馬鹿!言ってるだろ昨日のスマホだって!能力で直ったんだよ!!」
片方の手のひらにスマホを置き、スマホの上に手をかざした。すると星夜の手の甲が光り出して"機"の文字が浮かび始めた。
そしてスマホはゆっくりと両手のひらの間に浮いた。
「うおっ?すごい……マジックか?」
「マジックじゃねぇよ。触って見ろ」
秋や蓮が手を入れてマジックを疑うも、糸も無ければ何の仕掛けもなかった。
東児もこの状況に冷静に分析しようとする。
「どうやって治したんだ?」
「なら見てろよ皆。これがカラクリだ」
力を込めるとスマホのパーツが一つ一つ外れていき、それぞれ宙に浮く。細かいパーツまでも分解されていき、全てのパーツが細かく取り外された。
「マジかよ」
「昨日どうやってか直せないかなとスマホを触ってたら、突然スマホが今みたいに分解して、父さんの部屋から父さんが以前使っていた同じ機種のスマホが飛んできて、そのスマホまで分解して壊れた部分のパーツを取り替え始めたんだ。そして汚れなども落としてまるで金ピカな新品になったんだ」
「マジかよ!」
「マジマジ本マジ。そして一つ分かった。この浮かび上がった文字が俺らの能力なんだよ!!」
「マジかよ!?」
「自分の手を見ろ。俺の文字は"機"。能力は機械に強くなる?って能力か?」
全員それぞれの腕を見て、憶測する。
「俺は"糸"。つまり糸が出るって訳か」
「僕は"風"風を出せるって事かな?」
「だからアタシは拳の力がつよくなりすぎたって事?」
「つまりみんなこの能力が無意識に発動したんだな」
東児の言う通り全員が無意識に能力が発動して色んな事が発生したと言う訳だ。
まさかと思い全員力を入れようとすると、とっさに星夜が止めに入る。
「ちょい待ちちょい待ち!こんなところで使ったら学校ぶっ壊れるかも知れないぞ!一旦放課後まで待て。なるべくみんな身体を力むようなするな。俺は起きて軽く背伸びしたら、家中のテレビが突然ついて、エアコンも急に吹いたりと大変だったんだ。下手な事はやめとけよ」
「あまり深く考えずにいつも通りに学校生活を送れって事ね」
「そうゆう事だ。簡単だよ?」
「簡単……かもね」
蓮はその言葉を受け取り、全員が顔を見合って承諾した。
だが、現実はうまく行く事はなかった。
東児は授業中に落とした消しゴムを拾おうと手を伸ばすと、指と爪の間から無数の薄い糸がゆっくりと出てきて、消しゴムに巻きつくとゆっくりと東児の手元に戻った。
「あえ!?」
蓮は廊下を歩いている時に躓いて転びそうになった時、危ないと思い無意識に両手を地面に突きつけた。その時、廊下全体に強風が吹き荒れて、窓全体が激しく揺れた。それに蓮自身も地面に一歩手前で宙に浮いていた。みんな窓を注視していた為に誰も気づいていなかったのが幸いだった。
「あわわ……危なかった」
秋も何かと大変でチョークを触れれば粉々になり、消しゴムで文字を消そうとすると机が抉れて消しゴムの米粒くらいの小ささまでまた擦り減ってしまった。
幸い後ろの席だった為にバレる事はなかったが、隣に座っていた星夜の顔からは冷や汗が止まらなかった。
「お、おい。バカ!力みすぎだ」
「んなこと言ったって無理だよ。これでも抑えてるんだから」
「どいつもこいつもバカばっかだよ」




