エピローグ
あれから一ヶ月ほどが経った。今回の事件は表面上は突発的な大規模な火事として扱われたが、はっきり言ってそんな嘘が国民にバレるのは時間の問題だろう。少しとはいえ、劉生がテレビに映っていたんだから。そらにスマホでネットに上げている人達もいるんだし。
だけど、街には多大なる規模に渡って被害を出してしまった。大勢の死傷者を出し、家を失った人も大勢出してしまった。
だがら、僕は少しでも罪を償えるのならと、退院してすぐに戦いで傷ついた街の修復を手伝っていた。真紀にはまだ休んでいろと言われたが僕の戦いで傷ついた街だから、まだ完治してないとはいえ、休まずにはいられなかった。
今日も僕は学校の瓦礫をどかしながら復興作業を進めていた。真紀も心配だからって常に近くにいてくれた。
「本当に大丈夫なの?」
「まだ足が少しばかり痛いけど、支障はないさ」
「無理はしないでよ! 本当はまだ自宅待機なんだから」
「そうだけど、身体がムズムズして、何かしてないと落ち着かなくて」
何時間か作業をして、椅子に座って休憩した。
二人でお茶を飲みながら、空を眺めていた。とても綺麗な晴天で僕が見たかった光景であった。平和な象徴であり、暖かな空気と風が髪を揺らした。
今回の戦いを経て、とある事を思った。
「この世界に刻印は僕や劉生、それなあの男だけだったのだろうか」
「まだ今としたなら……どうなるんだろう」
「その時はまた、戦いが始まるのかもしれない。更なる戦いが……」
この戦いは始まりなのか? それとも終わりなのか? 僕は終わりだと言う事を信じたい。もし始まりとするならば、この世界は新たなる時代が始まるのかもしれない。刻印という名の人類を救う、または崩壊へと導く力との共存する時が来るのだろうか。
そんな考えをしながら僕は自分の手を見つめて、普通の人間であり、人としての一線を超えた自分自身に問いかけた。
僕はこの世界にとって正しき存在であり続けれるのであろうか。また、今までのような生活が送れるのであろうか。
この世界の刻印戦記はまだ続くだろう。
二人の少年の戦いは、鷹斗の勝利となり、劉生はこの世から消え去った。
少年はもう二度と戦う事はないだろうと安堵しているが、またいつか戦うべき日が来るかもしれない。そんな気持ちを両立しながら生きていく事になる。
目覚めていない刻印がまだ、存在するだろう。目覚めた時、それは新たなる刻印の戦いが始まるのだろう。
人里離れた山奥にある巨大なお寺──豪太郎が寺の中に入ると、暗闇に包まられている部屋の奥から若い女性の声が聞こえてきた。
「久しぶりの街はどうだった?高校生気分に戻れた?」
「まぁまぁだな。でも、この歳で高校生は無理があったよ」
「ふっ、私も制服着たかったなぁ……それはさておき、目的の子に会えた?」
「会えたよ。彼ならあの刻印を使いこなせるかもしれんな。まだまだ未熟な面が多いがな。だが、決断して闇の刻印を倒した」
その事を話すと女性は腕を組みながら豪太郎の前に出て来た。豪太郎と歳が離れていないほどの年齢で、綺麗な赤色の花の髪飾りを付けた美しい巫女であった。彼女は悩みながら周りを円を描きながら歩いた。
「──で、取り敢えずは安心かもしれないけど、また何かあったらお願いね。兄さん」
「その言葉は、俺がこの刻印を使いこなせるようになった言ってくれよ凛花」
豪太郎は光り輝く自分の手の甲を見つめた。
そこには描かれていた"龍"の文字が──
刻印戦記-紅と黒 Fin
To the next story──




