表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
刻印戦記-Crimsonuniverse  作者: ワサオ
1-①紅と黒
17/77

17.二つの刻印


 僕らが山を登っていると、突然街の方から爆発音と共に激しい揺れと爆風が襲いかかって来た。


「何だ今の音は!?」

「鷹斗、学校が!」


 激しい揺れと、爆発音の正体。それは学校が大爆発をした事であった。更には麓側からは銃声などまでが聞こえてきて、焦りが生まれてきた。


「今の爆発は?まさか……」

「劉生君の仕業だ。急がないと!被害が!」


 僕は全速力で駆け上がり、山の上にある公園へと向かった。

 その最中も至る所で爆発が発生し、人の被害が起きているの確実だ。だけど立ち止まっては行けない。僕は感情を殺して、ひたすらに山を駆け上がっていった。

 そして山の上にある公園に到達すると、電波塔がとても眩しかった。


「ん? ヘリ?」


 空を見上げると複数の報道ヘリが電波塔を照らしていた。


「何なのあれ?」

「こんな時に、ニュースなんか報道している場合じゃないだろ!逃げろ!!!」


 どのヘリにもカメラマンとレポーターが乗っており、こんな危険な状況な中、平然とニュースを生放送していた。

『ただ今、電波塔の上にいるとされる少年がいます。先程から起きている爆発と何か関係があるのでしょうか? 麓側には銃声が聞こえたと言う話もあります。距離を取りながらこのままもう少し、様子を見ようと思います』

「早くそこから離れて下さい! 危険です!」


 僕は大声で呼びかけるもプロペラ音で聞こえるわけもなく、電波塔の周りを旋回したがら撮影を続けた。


「真紀は遠くにいてくれ。もしもの時は頼むぞ」

「分かった。がんばってね、鷹斗」

「出来る限り、説得をしてみせるさ」


 真紀は一旦遠くへと離れて隠れる事にした。

 そして、すぐにでも劉生君から離そうと、電波塔の上へと声を上げた。


「劉生君……いや、劉生!」


 劉生は公園の電波塔の上に平然と立っており、周りを飛んでいるヘリを静かに見つめていた。

 僕の声に気づいた劉生は、僕の方へと向き、不適に笑いながら宙に浮いたままゆっくりと僕の前に降りて来た。刻印を発動して、警戒態勢に入った。


「やっと来たか鷹斗」

「君を、止めに来た」

「止めに来た……か。一度、刻印を解いて喋ろうや。俺も解くからよ」


 劉生は刻印を一度解き、僕の周りを歩き始めた。

 一応、刻印を解いた。警戒はしながら、いつでも刻印を発動出来る状態で話を聞くことにした。


「俺は一度、駅のホームで翔吾に押されて轢かれそうになった。多分その時に、刻印を手に入れた」

「僕は車に轢かれそうになった子を助けて、自分が轢かれて瀕死になった。その時に刻印をが発現したと思う」

「どの道運命だったってワケだな。これじゃあ俺の方が悪って訳だなぁ。一つ聞くが俺って必要悪か? 何もない世界からいきなり飛び出す悪より、何か希望が潰えた時に現れる絶対的な力を持つ悪」

「悪は悪でも、貴様は生粋の悪だ!」

「ふん。俺は昔から親からも先公からもバカだのアホだの糞だのって散々言われ続けていた。ねじ曲がった性格になり、周りの奴からも変な奴だと、陰で罵られて、冷たい目で見られ続けた。そんな生き方をした奴がどうなるか、お前にはわかるか?」

「……僕には分からないさ」

「俺みたいな奴さ。お前のような誰からも好かれて、先生からもいい子いい子されるいい人生とは違う。でも、俺は生まれてから最悪な人生だとは思った事はない。生きてるだけで幸せだと思えるほど、いい人生じゃないからな。だけど、今はいい人生だ。この力があるし、この力で親も殺した」


 その言葉は僕を凍らせた。


「親を殺した……だと?」

「あぁ、とても嫌な気分だった。肉を貫く感触はこの力でしか味わえないからな」

「何故、そんなことを簡単に出来るんだ。自分の親だろ!」

「貴様に言う必要なんてない。俺を不必要を言ったから、俺も親を不要だと思っただけだ」

「だからと言って、自分の親を……」

「良いんじゃねぇのか? 俺が手に入れた力であり、そんな法律ないだろ」

「当たり前だろ、こんな非現実な事が起きるなんて想定されてない。それにその刻印を悪しき事に利用する君を僕は許さない」

「めんどくせえ奴だな。悪だの悪だのって、そうやって正義を振りかざして、何になるんだ? 教えてくれよ偽善野郎、俺によぉ!」

「僕は全ての物事に正義なんて考えたことなんてない! 人を助け、助けれる事が普通だと思ってやってきた事だ。何か行動を起こそうとする度に正義だと考えている方がよっぽど偽善だ!」

「言ってくれるじゃんか。なら、そんなお前は今から起きる事をどう対処する?」

「?」


 劉生がヘリに手を突き出すと、周りを飛んでいるヘリが突然動きを止め、プロペラまでもが止まった。だが、空中に浮かんでいるまま動きを止めたのだ。

 ヘリに乗っているカメラマンやレポーターなどは何が起きたか分からず、オドオドとしていた。


「な、何が起きたの?」

「ヘリの動きが……!」


 僕は嫌な予感がした。背筋が凍るような感覚が僕を襲いかかった。


「辞めろ劉生!」


 僕は咄嗟に炎の刻印を発動して、劉生へと飛びかかった。その瞬間に、地面から無数の触手が湧いて来て、僕の両手両足を縛り上げた。

 触手を千切ろうと炎の刻印を発動するも、強く身体に巻き付き、動く事が出来なかった。目の前で起きようとしていることに、何も出来ず、僕は歯を食いばって怒りを抑える事しか出来なかった。

 だが、劉生は僕を見て嘲笑い、ヘリに向けて力を込めた。


「楽しんでくれよ。この最高の時間を」

「辞めるんだ……それ以上は」

「悪は悪らしく道を踏み外すもんだ。他人の命なんて、今の俺にとっては埃よりも軽いんだよ」

「人の道を外したら、もう二度と人には戻れないぞ!!」

「俺らはもう普通の人間じゃねぇよ」


 劉生が手を街の方へと振り払うと、二つのヘリは風に煽られるように市街地へと飛んで行った。

 その時、僕はヘリに乗っている人達と目が合った。手を伸ばしながら、助けてと口の動きで言っているのが分かった。


「辞めろぉぉぉ!」


 僕の叫びも虚しく、ヘリは別々の建物に衝突して大爆発を起こした。二箇所から火災が発生し、赤く炎が燃え上がった。

 僕は空いた口が塞がらなかった。僕は守れなかった。彼らを、誰も守れなかった。


「あ、そ、そんな……」

「ふ、ふふ。そんな力が有っても、守れないモノは守れないんだよ」

「お前が何をしたか分かっているのか! 人を……殺したんだぞ! 罪悪感というのはないのかぁ!」

「悪い人間は悪いとは思っちゃいない。初めて悪事をした時に、その概念は何処か心の奥に閉ざされたからだ。俺はもう、殺しには慣れたって訳だよ」

「ふざけんな、ふざけるなぁ!」


 僕は激昂して触手を千切ろうとした時、突如して草むらから丸い筒状の物が複数個僕らの前の転がって来た。


「何だ?」


 劉生は気づいていなかったが、それは閃光手榴弾であり、僕は咄嗟に目を瞑った。

 手榴弾から眩い閃光が一面を覆い、視界が遮られた。目を瞑っていて何が起きているか分からない中、草むらから人が飛び出る音と共に、無数の銃声が劉生の方から響き渡り、僕はすぐにしゃがみ込んだ。

 この手際の良さ、SAT部隊が劉生を仕留めに掛かったのだろう。

 銃弾が飛び交い、自分に当たらないか心配だったが、それよりも劉生の方が気になってしょうがなった。

 閃光も収まり、銃声も鳴り止んだ。僕は静かに目を開けて、劉生がいたとされる場所を見た。

 そこには劉生ただ一人だけ立っており、SAT部隊は全員倒れていた。


「おいおい、特殊な部隊も刻印にかかればこんなにも雑魚いんだなぁ。ちょっと残念だったな」

「嘘だろ……」

「邪魔だから、魂なき者は消えるんだ」


 劉生が刻印の力を発動して、遺体を宙に浮かせて一箇所に集めて、テレポートさせた。


「何処へやった!」

「山の麓だ。つまり民衆に日本最強の部隊の醜態を晒させただけさ。日本最強の部隊が無惨にも死んでいたら、国民はどう思う? 信じていたものが、目の前で崩れていく絶望はなんとも気分が良い」


 怒りで無意識に拳を強く握りしめていた。僕を噴出しそうな感情を必死に抑えた。


「それで満足か、殺しを楽しんだ満足したか?」

「満足か〜。こんな雑魚な獲物じゃ満足なんてしねぇよなぁ。獲物はより大きく、より強くなくては行けないんだよねぇ」

「なら、僕は君を……止める!」


 僕は刻印の力を噴出して、赤いオーラを全開にして真っ直ぐ特攻した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ