1.二人の少年の死
いつも通りに学校は終わった。僕は部活はやってないから、グランドで部活に精を出している生徒達を眺めながら、帰路へと着く。
校門を出ようとすると、一人のユニフォームを着たサッカー部の生徒が駆け寄ってきた。
「鷹斗!サッカーの練習に付き合ってくれないか!」
「ごめん!今日は雑誌の発売日ですぐに読みたいから、来週の月曜日以降ならいいよ!」
「なら、月曜日に頼む!お前がいると、全体的に練習が捗るんだわ!」
「OK!僕で良ければね」
友達に別れを告げて僕は校門を抜けた。
僕は別にサッカー部でもないし、サッカーをした経験もそこまでない。でも、昔から何故かサッカーが得意で、先生からも注目を浴びていた。自分はスポーツをするタイプじゃないから、勧誘も断り、今では帰宅部だ。
でも、友達の頼みで時よりサッカー部の練習の手伝いをしている。僕で良ければいつでも手伝うよ。金曜日以外は。
街中の歩道を歩きながら、小走りで家へと急ぐ。
部活もしてなければ、特別なこともしてない。でも毎日は楽しい。学校生活を満喫して、今みたいに雑誌の今週号を楽しみにして、笑顔が溢れそうな自分が好きだ。
僕は普通に生きて行き、普通な高校生を送れるはずだった──だが、それは一瞬で変わるものだった。
「!?」
突然道路側から大きなクラクション音が鳴り響いた。誰かが悪い運転でもしてるかと思い、ふと道路を覗くとそこには小学生低学年らしき少年が道路に飛び出たサッカーボールを拾おうとして、道路へと出ていた。更に少年の目の前には大型トラックが接近しており、速度的に間に合わない状況になっていた。
だが僕は──
「危ない!!」
僕の足は無意識に動き、ガードレールを飛び越えて道路へと飛び出した。
トラックも慌ててブレーキを引いて激しいスリップ音が鳴り響いた。
一瞬のような出来事だったが、まるでスローモーションのように感じた。トラックと少年が接触するまでの距離が徐々に詰める中、僕の足は今までにない感覚で走っていた。
そして──僕は少年を胸に抱きしめて、当たる事が確定しているトラックに背を向けた。無駄だろうが、この子だけでも助かれば……
*
いつも通り退屈な学校が終わった。散々授業中寝たが、今は全然眠い。聞いているだけで、まるで子守唄を聴いているように眠気を誘って寝てしまう。まぁ、元から授業を受ける気はないけどな。
グランドでは、将来何の役に立つのか分からない部活をやっている奴らが必死にやっている。無駄な努力を……
休み時間──
「早く菓子買ってこいよ。何でもいいからよ」
「は、はい……」
俺は気の弱い生徒を使ってパシリをさせていた。少し大声出せば、ビビって簡単に従ってくれる。簡単なもんだ。従わなければ腹でも一発殴れば従う。良い駒だ。雑魚はこれだから好きなんだよ。
理科の先公や国語の先公は気の弱い奴だから思いっきり寝れるし、サボれる。楽なもんだぜ。
「また、お前はサボったのか!何度言えば──!」
「はいはい」
「聞いているのか!」
「はいはい聞いてます。すいませんでした」
体育教師に呼ばれてこっぴどく叱られた。でも、はいはい言えば何とかなる。めんどくさいけど、こいつは柔道の顧問でもあるため、逃げようにも逃げれないので渋々一時間以上叱られた。
そしてその日の帰り、国語の補修があるらしいがそんなの無視して俺は帰る。宿題も出ているが、さっきのパシリ野郎に任せてあるから自由の身だ。と言ってもやる事がないので、俺は帰るために駅に行く。
そして人混みを無理やり通り、ホームの前方に立った。
人混みは嫌いだが、これだけはどうする事も出来ない。だが、他人に席を取られるのは嫌だ。だから、無理矢理にでも先頭に立ち、座れる席を取る。ババアに座らせろアピールされるが、そんなもんは音楽聞いてガン無視する。
電車がホームへと入った。その時──
「えっ?」
何かに押された。俺は簡単に態勢を崩して、ホームから落下した。スローモーションのようだった。動いている奴らが全員ゆっくり動いていた。
そして猛スピードで迫る電車が徐々に俺の顔面へと迫って来た……
*
僕は斎賀鷹斗──
俺は端義劉生──
僕はあの日──
俺はあの日──
学校の帰り道、車に轢かれそうな子供を助けようとして──
学校から帰る時、駅のホームから毎日虐めていた奴に突き落とされて──
車に轢かれて──
電車に撥ねられて──
死んだ。
死んだ。




