かわいい顔って、どんな顔
かわいい顔ってどんな顔、かわいい顔ってどんな顔。
あほなのろけと思わずに、そんなことを念じてお絵描き歌でもつまみながらお読みください。
かわいい顔って、どんな顔。きょうは、右斜めから書いてみようか。
十日夜の月。
半月よりも幾分ぷっくりしたお月様を横に、それをおでこにしたら、左右にバランス良く、アーモンドよりも厚くうずらの卵よりも薄い眼を両方に置いて、その真ん中にまん丸を、満月よりももう少しうるんだ十六夜の瞳をいれてあげて。そのあと、眉間が見えてくるその真ん中から、アルファベットの大文字の「エル」を、少し上向きの配置に気を付けて加えてあげる。そうそう、あんまり上に向けると、書き加えない鼻の穴が見えてくるから気を付けて。
おでこに使った十日夜と同じ大きさの月を縦にしたら、少し太ったアーモンドの右目と上向いたエルの鼻に近づけて、添えていく。いっしょに、真一文字の横棒ひとつで拵えた口も一緒にね。いまはお喋りしてないけど、開いたら少しだけ高い声が聞きたいのなら、思ってる長さよりも少し短く。
右手でほっぺの十日夜、左で紅さす前の唇をゆっくりゆっくり持ち寄っていけば、だんだんに見えてくるでしょう。日曜の朝から隣のリビングでジャックニコルソンがだんだんにだんだんに壊れていく顔のアップに、うわあぁぁ、うわあぁぁの声を出している人の顔が。
いつまでも童顔なのは、口元を鼻の下に近づけて、その短くなった分だけで丸顔のせいなのか。
あとの眉毛と髪形は、なんでもいいでしょう。セミロングにショートボブ、ポニーテールにツインテールだって、まだまだいけますよ、おくさま。