表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ショートショート4月~

お届け物語

作者: たかさば
掲載日:2020/04/16

ピンポーン!


お届け物語ですよ!


僕に届いたのは、どんな物語だろう。


喜び勇んで玄関に行ったら、ショベルカーが待ち構えていた。


思わず立ちすくむ僕の頭の上に、ショベルカーにたんまりすくわれたお届け物語が降り注ぐ。


確かに、お渡ししましたよ。


これは、ものすごいインパクトと衝撃だ。


頭にガツンと来た。


まだ頭の上が物語だらけだ。


これは、しばらく忘れられないな。





ピンポーン!


お届け物語ですよ!


僕に届いたのは、どんな物語だろう。


喜び勇んで玄関に行ったら、自転車のお兄さんがいた。


にっこり微笑むお兄さんから、ひとつの物語を受け取った。


確かに、お渡ししましたよ。


ほのかに心に残る優しいやり取り。


丁寧で心のこもった印象。


心に残る、物語だ。





ピンポーン!


お届け物語ですよ!


僕に届いたのは、どんな物語だろう。


喜び勇んで玄関にいったら、騒がしい集団だった。


騒がしく物語を押し付けてくる。


これも、アレも、それも、どれも。


だから、それで、あれは、そして。


確かに、お渡ししましたよ。


僕は受け取るなり、玄関横に、放置した。


こんなに渡されてもねえ。


これは、僕には不要な、物語だ。




ピンポーン!


お届け物語ですよ!


僕に届いたのは、どんな物語だろう。


喜び勇んで玄関にいったら、血濡れの女性だった。


血なまぐさい物語を、血濡れのまま、渡された。


確かに、お渡ししましたよ。


僕は恐る恐る受け取った。


恐る恐る確認すると、中からすばらしい物語が出てきた。


いつの間にか血は消えて、美しい物語が、僕の手に残った。


この感動は、忘れない。





今日のお届け物語は、以上です。


また、あなたに喜んでもらえるようなお届け物語を、ご用意いたしますね。


どうぞご期待下さいませ。





お届け物語を、毎日受け取りながら、僕は思案する。


僕はどういう物語を、お届けできるのかな。


一人ひとりに確実に届けたい物語。


大人数に、一気に届けたい物語。


軽い物語。


重い物語。


届け方にも気をつけないとね。


礼儀を持って、失礼のないように、そっと渡したいと願う。



願っているけれども。



いつまで経っても、僕のお届け物語は、完成しない。


誰かに届けるためには。


まず、物語を、完成させねば。


完成、させねば・・・。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ