報復
公園
「彩香・・・」
誰かが私の名前を呼んだ?
きっと幻聴よね・・・。
「彩香・・・!」
やっぱり聞こえる・・・。
振り向くとそこには・・・、
「翔・・・」
どうして、ここに?
「お前学校行ってないだろ。クラスのやつに聞いたよ」
翔が、私のクラスに?どうして・・・。
「名前は何て言ったかな・・・。佐島、佐島聡美って奴」
あぁ・・・、サトちゃんか。
「何もしてやれなくて・・・、ごめんな」
「それは、気づけなかった事?気づいていたら何か出来たって言うの?」
自分でも思うくらい卑しき感情。翔は何も悪くないのに。どうしてこんな事を
・・・。
「何があったのかことくらい知ってるさ」
「そう・・・。サトちゃんが言ったんだ・・・」
どうして翔にそんなことを・・・。
あれ?私は翔に知ってほしいと思っていたんじゃ・・・。
知ってほしいのか、知ってほしくないのか・・・、自分でも良くわからない。
「まさか。詳しいことを聞いただけで、気づいていたさ。・・・彩香」
じゃぁ・・・、じゃぁ、どうして・・・。
どうして、気づいていながら何も言ってくれないの。
気づいていながら・・・、どうして・・・!!
「彩・・・」
「うるさい!」
翔の伸ばしてきた手を払いのけた。
「どうして・・・?どうして、知っていて何もしてくれないの・・・?どうしてよ・・・!?私のことはどうでも良いの!?」
翔は何も悪くない。翔に当たる何て・・・、八つ当たりだ・・・。
もういやだ、こんな自分・・・。
「ごめん・・・。翔は何も悪くない・・・。ごめん・・・」
不意に泣き出してしまった。
あぁ・・・、恥ずかしいところを見せてしまった。でも、今は構わず泣いてい
たかった。
「彩香・・・、ごめん・・・」
手を差し伸べてくる翔、
「何かしてやりたかったけど、何か出来る自信が無かったんだ・・・」
そのまま手を後ろに回して、
「ずっと前から気づいていたのに・・・、庇ったりしたら俺も報復を受けるん
じゃないかって・・・」
そっと、優しく、抱きしめてきた。
「そんな報復を恐れて何も・・・」
普段の私なら絶対に真っ赤な顔をして、動揺してたと思う。
でも、今はそんな翔の行動が私をとても落ち着かせた。
「これからは俺たちが報復をする番だ」
「どういうこと?」
私たちが報復をする?そんなの無理に決まってる。
「同志を集めて、皆で仕返しをするんだ」
「仕返し・・・」
「あぁ」
「この生活から解放・・・」
「あぁ」
「本当に、出来ると思ってるの?」
正直、信じられない。
「出来るさ」
「根拠は?」
「えぇと・・・」
ほら、すぐ詰まる。
「いつも向こう側は数人に対して、こちらは一人だ。だったらこっちは向こう
の人数を上回ればいいんだろ?」
なんて単純・・・。
「そんな連中は全国人何万人も居てるんだ。簡単に集まるさ」
単純だけど、出来そうな・・・。
でも、どうせなら・・・。
「うん、判った。どちらにしても、このままって言うのはイヤだ」
出来るところまでやろう。
「あぁ。さぁ、こんなところで座ってないで、学校に・・・、いや、サボるか
」
「そうだね」
それにしても、天気が悪い。
雨が降りそう。
「雨が降りそうだし、どこか行くか」
「そうね」
天気は悪いけど、折角気分が晴れてきたって言うのに・・・。
「やっと、見つけた」
「てめぇ・・・」
何でこんな時にこいつがやって来るんだ。
「さっきはよくもやってくれたな」
「うるさい。お前が勝手に追いかけてきて、息切れして、挙句、人を見失った
んだろ?」
「うっせぇ!お前こそ学校を飛び出したかと思ったら女と公園で会いやがって
!」
「それがどうした」
「お前の所為で俺は先輩に怒られたんだよ!」
どうでも良いよ。
それにしてもこいつ・・・。
「なぁ、お前、あの先輩らとつるんでて楽しいか?」
「あぁ?た、楽しいに決まってるだろ!」
やはり、どもった。
「お前、本当はあいつらから抜け出したいとか思ってるんだじゃ無いのか?」
俺、もしかしたら他の奴らもこいつからされることは無くなるかも・・・。
「うるせぇ!」
「ッテェ!」
クソッ・・・。普通いきなり殴るか。
「翔ッ!」
「こっちに来るな!」
彩香に巻き添えを食らわすわけには・・・。
「お前に、何がわかるんだ!」
こいつ、何を口走って・・・。
「俺が好きで人をいじめてるように見えるのか!」
いってぇ・・・。でもな・・・、
「でもな・・・、あぁ、見えるさ!お前が好きで人をいじめてるようにな!」
「ふざけるな!人を好きでいじめてるわけあるかぁ!」
良かった・・・。これが聞けたら後はこっちのもんだ。
これは・・・、雨か・・・。
ついに雨が降ってきやがった。
「俺だって、脅されて、人をいじめさせられてるんだよ!」
「だからって・・・、俺に当たるなぁ!」
「っつ・・・」
「お前の所為で、どれだけの人数が苦しんでると思ってるんだ!」
許せない。例えはさせられていたとしても、許せるわけが無い!
「お前が、あいつらの言うことを聞いていた所為で、一体何人の人が・・・!
」
「ィッテー・・・。わっかんねぇよ!そんなこと!」
わからないだと?
「わかってるだろ!お前が、お前が今されてることと同じだろうが!お前もあ
いつらにいじめられてるんだろ!お前もよくわかってるんだじゃ無いのか!」
「・・・・・・」
ッテェ・・・。やっと殴るのを止めてくれた。
「そうさ・・・。俺が良くわかってる・・・。でも・・・、俺に何が出来るっ
て言うんだ!」
あっぶね・・・!
「確かに俺はあいつらを恐れていろいろやったさ!俺に選択肢があったとでも
言うのか!?」
「その選択肢!作ってやるよ!」
「なに・・・?」
「あいつらに報復する!」
「報復・・・?」
「そうさ。何人も同志を集めて、全員で仕返しをするんだよ」
「そんなこと・・・。そんなことが、出来ると思ってるのか!?お前はあいつ
らを知らないからそんな事を言える!夢見てんじゃねぇ!」
「ッ・・・!」
腹が・・・。
「所詮お前らみたいなのが何人集まったところで・・・、報復なんざ、出来る
訳がねぇ!」
頭が・・・、重い・・・。
「うる・・・せぇ・・・!やってみるのが怖いだけだろ・・・。一人で何でも
かんでも背負い込みやがって・・・」
「・・・・・・」
無言で殴るなよ・・・。腕が・・・。
「ハァ・・・。ハァ・・・。だから・・・、俺たちの・・・元へ・・・来い!
あんな奴らにいつまでも付き合う必要はねぇ!こっちへ・・・、一歩踏み出せ!
」
息が・・・。クソッ・・・。あともう少し意識が持てば・・・。
「今日は、この辺にしといてやらぁ・・・」
待てよ・・・。待てって・・・。ここで返事も聞かずに逃がすわけには・・・
。
「じゃぁな。彩香・・・だっけ?そいつの看病しといてやってくれ。勢いに乗
ってやり過ぎてしまったからな」
「え?うん・・・。わかった」
意識が持たねぇ・・・。
頭がいてぇ・・・。ここは・・・?
「あ、起きた?翔」
「彩・・・香・・・?」
「そうだよ。すっかり良い天気になったねぇ」
天気?さっきまで曇っていたのに・・・。
そういえば・・・。
「アッ!あの野郎は!?」
「え、どこか行ったよ?何かあまり怖い人じゃない感じになってた」
怖くなかった・・・?
そうか・・・。良かった・・・。
ところで・・・、これは・・・。
「って、膝枕?」
「うん」
・・・・・・・・・。
「どうしたの?」
「なんでもねぇ・・・。もう少しこのまま居てて良いか?」
「うん。勿論」
どうせ、体もうまく動かないしな・・・。
「今、何時ごろだ?」
「今5時ごろだね」
・・・・・・・・・・・・・・・。
「5時!?」
「あ、そんな急に起きたら・・・」
「イッテェ!!」
「寝てなさい」
「はい・・・」
「5時って事は、ずっと俺寝てたのか」
「うん、さっきので随分と疲れたんだね」
「みたいだな」
それにしても、周りには人っ子一人居ないな。
普通公園でこの時間って言ったら小さい子供や親子連れが遊びに来てるものじ
ゃないのか?
その事を言ってみると・・・、
「元々は居たよ?でも、何か・・・、私たちに気を使ってかココを離れてた・
・・」
「・・・そうか」
恥ずかしいー・・・。
でも、今は大した事じゃない。
今はとても・・・、
「清々しいな・・・」
「うん、そうだね」
すみません、激しく遅れてしまいました。
言い訳としては、学業 (あまりしてないけど)やクラブ(こっちは頑張ってる)で忙しいもので、体力が持っていませんでした。
毎週日曜日あたりに投稿を目標としてますので、一応
よろしくです。