君と僕
夢を見たんだ……。別に、怖い夢だとか、魔法を使った夢とかじゃない。多分、声に出して話す内容でも無いし、話した所で聞く側からすればいい迷惑だろう。
「──だからこそ、君に話を聞きたい」
分かってる。君は今日も、僕と会話をしてくれないんだろ。
冷めきった目で僕を見つめて、体は頑なに僕を拒む。
いいさ、僕が勝手に話を進めるよ。この部屋は、本当に殺風景だし、独り言を言ってたら外に響くんだよなあ。だから、出来れば君も会話に参加して欲しいんだけど……。ダメ、だよね。まあ、仕方ない。
「君は、僕を嫌っていたし、僕も君を嫌っていた。なのに、なんで夢の中で僕と君は、楽しそうに笑っていたのかな」
この部屋には、君と僕しかいないのに、君はいつまでたっても口すらきいてくれない。昔からこんな仲だったっけ。いいや、きっと違う。きっと、夢の中で見た事が現実なんだ。夢が現実で現実が夢。
わかった。そうだよね。なら、元の世界に戻ればいい。
「君と僕は、同じ血を流せるんだから」