冒険者
武具作るの本当楽しい。あの後、思いつく限りの武具を作った。ハンマーに斧、槍、杖、刀、弓などを作った。武具作成スキルで武具を作ると、その武器に合った特殊効果が付いた。ハンマーや斧なら重量増加などの一撃粉砕をするための効果。槍や刀は、切れ味を活かすための特殊効果。杖と弓は少し特殊で、杖は魔法の威力を上げる特殊効果、弓は自身の魔力で矢を作成する効果などだ。
武具作成が一段落付いてから、武器が強すぎて使えないという問題が発生したが、それすらもスキル作成で解決が出来た。剣術スキル、ハンマースキル、斧スキル、杖術スキル、弓スキル、ついでに格闘スキルを獲得したことによって、力の加減を覚えられた。オリハルコンをスパスパ切れる刀を使っているのに、そこら辺のスライムすら切れない光景は自分でも驚く。
朝早く起きて、農作物の世話をして、適当に魔物を狩って食糧調達をして、後はスキルレベルを上げるだけの生活をして6年が経った。8歳から山暮らしを始めて、今では15歳。山の豊富な幸により、身長が175cm、体重は91㎏にまで成長した。体重が随分重く感じるかもしれないが、かなり筋肉が付いている影響なので仕方ない。男なら細マッチョよりはゴリマッチョだろ。だいたいここは異世界ですよ。細マッチョが許されるのは、日本という安全な世界だけですよ。異世界転移した奴らが冒険者ギルドで煽られるのは絶対そこが原因だと思うんだよね。遠くまで行って、魔物と戦って、戦ってから報酬のためにギルドに戻る生活。しかも出来高制なので、高ランク冒険者以外の殆どは毎日働いているような、ゴリッゴリの肉体労働。そんな生活をしているのだから当たり前のように筋骨隆々な冒険者たち。そんな中に現代日本で育ったなよっなよな日本人が入って来たら、そりゃ冒険者稼業舐めんなヒョロガリって怒られるわな。顔がブスではないけどカッコ良くはない顔なので、確実に新人冒険者に絡みに行くタイプの輩にしか見えない。
何年も山暮らしなので、さすがに飽きてきたので冒険者生活をやってみたい。というより、最近この山では、魔物が強くなってきているのだ。原因ははっきり言うと俺なんだけどさ、元々この山にはスライム、ワイルドボア、一角ウサギといった魔物が生息していた。暮らし始めた時の強さは、
スライム
レベル1
体力:3
魔力:2
力:1 素早さ:1 耐久:1 持久力:1
こんな感じの雑魚な感じだったのだが、最近だと、
ポイズンスライム
レベル15
体力:105
魔力:74
力:61 素早さ:51 耐久:46 持久力:56
所持スキル:毒レベル2
こんな感じで、強くなっているのだ。なぜかと言うと、魔物は普通に繁殖をして増えるパターンと、自然界の魔力が多い地域で勝手に生まれてくる2パターンが存在している。魔力は使い切ると魔力保有量が増えて魔力が高まるといった性質があるので、バンバン魔力を使い切って今では他のステータスが800台なのに魔力だけ2000を超えてる。その影響で、この山の魔力濃度が高まり魔物の平均レベルが上がってしまったのだ。ちなみに、この現象は弱い魔物の中に一体だけ強い魔物が存在した時にも起こるが、同じ強さの魔物集団の中では起きない。よって俺がこの地を去れば、魔物の平均レベルの上昇が止まるのでこれ以上平均レベルが上がるということはない。このまま俺がここに居ると、魔物の平均レベルが上がって魔境と化してしまうので離れざるを得なくなったというわけだ。
俺は、最寄りの地方都市ベルフォードに行くことにした。ここで冒険者生活をする為に色々準備をした。耐久力だけ無駄に高くしたハンマーを作って、その上を鉄でコーティングして普通の鉄製のハンマーに見せかけて、いかにもな冒険者スタイルだ。ちなみになぜハンマーかと言うと俺が重量武器のが好きなだけである。そして現在、ベルフォードの外壁部分で都市に入るための行列に並んでいる。ここで通行量を払い、犯罪歴がないか審査してからでないと都市に入ることは出来ない。
「次。」
待つこと10分程で俺の番が来た。やべっ、俺人と話すの7年ぶりじゃん!ちゃんと話せるか?
「ベルフォードに来た目的は?」
「冒険者になる為。」
「そうか。では、この魔道具に手をかざしてくれ。ふむ、犯罪歴は無し。では通行料の3000ガルを。」
この国の貨幣価値は、普通の市民なら1日500ガル程で生きていけるくらいだ。食堂とか行くと一食200ガルくらい。
「すいません。ここに来るまでに、魔物に襲われて荷物を落としたので金を持ってない。このナイフを売って通行量にしたいんだが…」
「そうか。そのナイフを貸してみろ。どうやら3000ガルの価値はありそうだ。良いだろう。ただ、身分証明が必要になるのでギルドカードを出してくれ。作ってないようなら、ギルドに紹介状を出すので明日までに持ってこい。」
「分かった。持ってないので紹介状をお願いする。」
ふーっ。特に問題なく中に入れた。早いところギルドに行かねば。
ベルフォードの冒険者ギルドまで来た。外観は、3階建ての建物で、テンプレよろしく1階部分に酒場と受付がある。受付が7番窓口まであり、今開いている4番窓口へと行く。
「いらっしゃいませ。本日はどのような御用で?」
窓口のお姉さんが、話しかけてくる。年齢は16くらいで、水色の長い髪をしたクールそうな人だ。
「冒険者登録で。こちら紹介状で。」
「分かりました。それではこの魔道具に血液を一滴垂らしてください。針をどうぞ。」
言われた通りに行動する。
「はい。ありがとうございます。ユウキさんで年齢は15歳。レベルは2で問題ないようですね。」
何の問題も無く、完了したらしい。えっ?俺のレベル28だろって?馬鹿め!強いのがバレて一躍高ランク冒険者になるなんて展開予想できたから対策済みだ!スキル作成さんで隠蔽と偽造スキルつくったわ!
「それでは冒険者の説明に入らさせてもらいます。Gランクから始まり、Aランクで最高です。ランクアップはギルド側で、依頼の達成率や達成件数を考慮して昇格試験をしてそれに合格したら上がることになります。受けられる依頼につきましては、自分のランクから2つ上までのランクの依頼を受けることができます。ただし失敗された場合は、ギルドから低評価と見なされランクアップに響くので自己責任でお願いします。何かご質問は?」
「いいえ、ないです。」
「それでは初心者冒険者の方には初心者講習を受けてもらいます。丁度一時間後の午後1時半にギルド地下の訓練場で行われますので参加してください。本日は、あなたの担当アドバイザーのミナが受付しました。ありがとうございます。」
ラッキーだったな。担当アドバイザーが美人で良かった。男性職員もいるからそっちにならなくて良かったよ。
訓練場に行くと、男が2人、女が1人いた。歳は男達が17くらいで、女が13くらいか?若いな。赤い髪を肩くらいの位置で揃えたおとなしそうな美少女だ。男2人に対して女の子が明らかに距離を取ってるので、どうせナンパに失敗でもしたんだろ。
そうしていると教官らしき男がやってきた。歳は40くらい。いかにもベテランって感じの男だ。
「おしっ!今日の参加者は4人だな。俺はお前らを担当する教官のアンソニーだ。4人だから早速2対2の訓練を始めるぞ。薬草の採取とか教えることは山ほどあるがまずは力がないとどうしようもないからな。ルールは相手が降参させるか戦闘不能と判断されるまででもちろん殺しや後遺症になるような攻撃は禁止だ。2分後に開始する。」
男2人が友人同士でくっ付く事になったので女の子の方とコンビになる。
「俺の名はユウキ。えー名前を聞いても良いか?」
「…ユイ。」
「分かった。ユイさん。俺の得意武器はハンマーなんだけど、得意なこととかある?」
「火属性魔法。」
「そうか魔法使いか。じゃあ近接戦闘は苦手なタイプか。じゃあ俺があの2人をそっちに近づけないように惹きつけるから行けるっと思ったタイミングで撃って。」
「…いいの?当たっても知んないよ?」
「大丈夫だよ。後衛の魔法使いを最大限に活かすのが前衛の役目だからね。」
「分かった。」
「勝負始め!」
「ふん!女の前で良いところ見せようっていうのか?」
「二対一で敵うわけないだろ!」
「何言ってる?魔法使いは後衛が基本だぞ。それに二対一で大丈夫だからこうだとは考えないのか?」
「減らず口をっ!怪我しても後悔すんなよ!」
そう言って攻撃してくる2人。2人とも装備は、片手剣に盾の基本的なスタイルだ。以外と筋は良いな。片方が攻撃してる間にもう片方は、俺の死角に入るように移動してくるし、攻撃が途切れそうになったらすかさず攻撃して常に二対一という優位性を活かした戦い方をしている。
「へっ!やっぱ防戦一方じゃねーか!そのハンマーはお飾りか?」
少しだけムカッと来たので、ハンマーでなぎ払いの構えをする。反応して盾で防御しようとする男A。
俺は、防御の上からハンマーを叩きつける。重量武器を真っ向から受けようなんて馬鹿だろ。受け流さないとダメだろ。ハンマーを受けて体勢を崩して、地面に転ぶ男A。
「貰った!」
俺が、ハンマーを振り抜いたのをチャンスと思ったのかすかさず攻撃してくる男B。しかし、その攻撃は後ろから火球が飛んできたことにより当たることがなかった。ユイによる魔法攻撃だ。試合が始まってから、罵り合ってる間に、小声で発動させていつでも撃てるようにしていた物だ。
「ぶべらっ!」
吹っ飛ばされて気を失うB。俺は、まだ倒れているAにハンマーを振り下ろそうとすると、
「降参だ。」
Aが負けを認めたので、俺らの勝ちとなった。
「お疲れ。」
「そちらこそお疲れ。ナイス援護だった。」
「ありがとう。」
「良かったらなんだけどさ、パーティ組まない?」
「良いよ。あなたは使えそう。」
「じゃあ明日からよろしく。ユイさん。」
「ん。」
こうして俺の冒険者生活1日目は、パーティを組めたという最大限の成果で終わった。
ちなみに偽装ステータス
レベル2
体力:15
魔力:13
力:14 素早さ:13 耐久:14 持久力:11
本当のステータス
レベル28
体力:840
魔力:2030
力:840 素早さ:810 耐久:830 持久力:800
スキル:スキル作成レベル7、火属性魔法レベル10、土属性魔法レベル10、水属性魔法レベル10、風属性魔法レベル10、空間魔法レベル10、探知魔法レベル10、武具作成レベル10、農業レベル4、料理レベル3、剣術レベル10、杖術レベル10、ハンマーレベル10、斧術レベル10、弓レベル10、隠蔽レベル10、偽造レベル10、レベルアップ時成長率補正、スキルレベル成長率補正、スキル消去
スキルレベルがない能力は、特殊スキルでスキル作成ポイント10で得られます。レベルがあるスキルと違う点は、火属性魔法が炎弾魔法、火炎魔法など幾つかの技能が覚えられるのに対して、特殊スキルはそのスキル名の効果しかありません。レベルが上がってないのは、この世界のレベルはレベルが上もしくは自分より強い敵を倒さないと上がりません。ぶっちゃけるとスキル作成が7なので今までの間毎日スキルを作っていたとしたらとんでも無いスキル数になって安○院さんみたいなことになるので、その時に必要なスキルだけ出します。