1pt評価ってどういう意味?
「小説家になろう」におけるポイント評価システム。
ユーザは独自の判断基準において、読んだ作品に対して『文章』と『ストーリー』へ5段階評価(1pt~5pt)の得点をつけることができる。
その合計得点はそのまま日々のランキングに反映され、作品へのアクセス数や読者獲得などに直結する――これは「小説家になろう」における最重要要素と言っても過言ではないだろう。
可愛い自作品へのあまりの評価のされなさ具合に、時として作者はポイント並びに読者への飢えからダークサイドに堕ちてしまうこともあったりなかったりと囁かれる、言わずと知れた業の深いシステムである。
兎角この世界は恐ろしい競争社会であるに違いはないので、ここでシステムの是非は問いません。
「相互」とか「水増し」とか、そういった単語にピンと来た方は、一年以上前に『相互評価ってそんなにおいしいの?』というエッセイを書いておりますので、興味があればそちらもご覧ください。
さりげなく宣伝を織り交ぜたところで、閑話休題。
おそらく今回のエッセイのタイトルにしているネタについては、既にあらゆるエッセイがあると思われます。
このような今更感がある話題にも関わらずに書こうと思ったのは単純な話で、私自身の作品に文章、ストーリーともに1pt評価があったからです。
一般的に考えて、5段階評価の1は通知表で言うと最低評価です。残念ながら、お世辞にも良い評価とは言えません。
「最低評価をつけられて腹が立つ」「1pt評価なんてない方がマシ」「嫌がらせかよ」などなど、自作についた1pt評価についてお嘆きの作者の方々の声はたまに目にすることがあります。
ですが、ちょっと待って欲しいのです。気持ちは分かりますが、少し落ち着いて欲しい。
最低評価というのはそうじゃない。最低なのは、何の評価も得られないこと……つまりは0ptこそが最低であることに目を向けてみてはいかがでしょうか。
通知表ならばどれだけ悪かろうが必ず最低1がつきます。しかし、この世界には評価対象外というものもあるのです。
少なくともあなたの作品は、点をつけた方にとって評価の対象に成り得たのです。
1ptを嘆くよりも、改めて「この1ptにはどういう意味なのか?」を考えた方が有意義なのではないでしょうか。
ちなみに「小説家になろう」公式は評価基準を用意してはおらず、最初に書いた通り、評価はあくまでユーザ独自の判断基準によるものです。
なので極端な話、
5:すごく面白かった
4:面白かった
3:普通
2:つまらなかった
1:すごくつまらなかった
のような人もいれば、
5:ネ申
4:超絶面白かった
3:すごく面白かった
2:まあまあ面白かった
1:面白かった
といった、そもそもつまらなければ評価しない人もいるということです。(可能性は0ではない)
全て読み終えてから再評価するために、最初はとりあえず1ptにいれるという方もいると耳にしたこともあります。
点のつけ方に明確な基準がない以上、その内容の意図するところまでは決めつけできないということですね。
まあ、そんなことを言ってもやっぱり1ptは悔しい。一般論として、5段階評価をつけられるものに、あえて1というのはネガティヴな印象がついてしまう側面も否定はできません。
「単純につまらない」「読んで損した時間返せ!」「展開についていけない。もう見限ったから餞別として」的な意味合いのものかもしれない。もっと言えば「気にくわないから嫌がらせ」といった悪意に染まったものかもしれません。(だとしたらマイナス評点がないのは救いですね。形はどうあれ1ptは1ptでプラスなのですから)
実際、私が自分の作品に1pt評価をつけられて真っ先に過ぎった考えは「つまらなかったのだろうな」「不愉快にさせてしまったのかな」というマイナス方向なものでした。
ただそれでも「評価が入った」ということには価値があると思い直しました。それがこのエッセイを書くに至った動機でもあります。
作者を凹ましてやろう的な個人攻撃の意図でもない限り、読んでもいない作品に無差別に1pt評価をつける人なんてそうそうないでしょう。いたとしたらとんだ愉快犯もいたものですが、一応は読んだ上で評価をつけてくださったと考えるのが妥当なのかなと。
小説に限らず創作を公の場で発表する動機として、やっぱり共感して欲しいから、というのは前提としてあると思うのですよね。
自分が考えた世界に触れてもらうことで、楽しんでもらいたい。悲しんでもらいたい。怒ってもらいたい。何かしらの訴えに対して考えてもらいたい。可能ならば心を動かしてもらいたい。
そういう思いは少なからずあるのではないでしょうか。
個人的に一番怖いのは誰からも見向きもされないことなのだと思います。だからこそ、先に挙げた評価の例の前者における「すごくつまらなかった」の1ptにだって価値は十二分にあるでしょう。
つまんないの1pt。不快なものをお見せしてすいませんでした。でも触れて頂いてありがとうございます。精進します。
面白かったの1pt。ありがとうございます。より良いものをお見せできるよう、精進します。
形はどうあれ、あなたの作品に触れてくれた証である1ptは意味を持つのではないのでしょうか?
少なくとも最低評価だからと、見栄えが悪いからと考えるのは勿体ない。
その評価の意図はどうあれ、活かすも殺すも与えられた側のとらえ方次第だと思うのです。
と、長々と語りましたが、煎じ詰めれば基準は人それぞれなのだから、一喜一憂するよりも前向きに捉えて頑張ろうということで。
駄文、失礼しました。ここまでお読み頂きありがとうございました。