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つながる世界  作者: hyrot
その頃、世界
14/30

その頃、世界2


 彼女には幼馴染がいた。


 彼女の家庭は普通の家庭で、幼馴染とは幼稚園から一緒だった。

 幼馴染も普通の男の子だった。


 彼の家庭は少し変わっていたが彼女の家族と仲が良く、彼女を連れて旅行に連れて行ってくれたりした。


 幼馴染と彼女は幼稚園からはずっと一緒で、それが当たり前だった。

 幼馴染は同年代の男の子と比べて少し大人しかったが、本当に普通の男の子だった。



 そんな中、幼馴染の父が死んだ。

 彼はとても悲しんだが、彼女が一緒にいる時は安心した様に胸の内を話してくれた。


 幼馴染は色んな事で彼女に相談をした。

 家事が出来なくて困っている。

 妹との関係をどうしたら良いか分からない。

 そんな時、彼女は普通に言える事を言っただけだ。

 それでも彼は微笑んでありがとうと言った。


 高校受験で幼馴染が彼女と同じ高校を受験する事を聞いた時は少し驚いた。

 幼馴染はそんなに勉強が出来る方では無かったから。


 それと同時に、嬉しかったのを覚えている。


 無事2人とも高校に合格した。

 それを2人で喜んだのも覚えている。


 卒業式の日、幼馴染は彼女に好きだと言ってきた。

 少し驚いたが、とても嬉しかったのを覚えている。

 彼女はよろしくお願いしますと言った。

 そう、彼女は幼馴染が好きだった。


 それから2人は付き合う事になった。


 高校に入ってからも幼馴染は家の事で忙しくて余り遊べなかった。


 ただ勉強を頑張っている様で、初めてのテストで彼はとても良い成績だったのを覚えている。


 その頃、同じ部活の男の子が私に告白をして来た。

 私は断ったが、友達からでもと言われ連絡先を交換した。


 幼馴染には言えなかった事を覚えている。


 夏休みは幼馴染と初めてデートに行った。

 とても楽しかったし、初めてしたキスは彼女の中で感じた事がないほどドキドキした。


 幼馴染は家計を気にして携帯を持っていない。

 だから夏休みに会ったのはこの時だけだった。

 本当はもっとたくさん会いたかったが、幼馴染の事情もあり我慢した。


 そんな時は男の子から連絡が来た。

 少し会えないかといわれたが、彼女は断った。

 それでもどうしても話たい事があるといわれしょうがなく会うことにした。


 その時は伝えられたのは、幼馴染が虐められている事だった。


 理由は、彼が虐めをしている子の彼女に手を出したからだと言われた。


 最初は信じなかった。

 幼馴染に話を聞こうかと思ったが何故か怖くて聞けなかった事を覚えている。


 その間も男の子が連れて来た友達から話を聞いたが、言ってくる事は男の子と同じだった。


 彼等は彼女に別れた方が良いと言い出した。

 最初は断ったが、彼女に言い続けた。


 そのうち彼女は幼馴染ではなく男の子の言う事を信じる様になった。

 幼馴染はとても悲しんだが、男の子は同じ部活と言う事もあって事ある毎に慰めてくれた。



 夏休み明け、幼馴染の顔を見た時嬉しいと思った事を覚えている。

 また強い怒りを覚えたことも。


 男の子にハッキリしないともっと裏切られて傷付くだけだと言われた。

 その時、別れようと思ったのだけは覚えている。



 彼女は幼馴染に別れを切り出した。

 何を言ったのか取り敢えず別れるための嘘をついた。


 しかしその時の幼馴染の顔は覚えていない。

 







 そして幼馴染を自殺した。



 2日間学校に来なかった時は自業自得だと思った。

 もっと傷付けばいいと思った。



 そして全校朝会が開かれて幼馴染が自殺をした事を知った。


 彼女はその関係性を知られていた事もあり、聞き取りをされた。

 その時何故か部活の男の子も聞き取りをされていた。







 自殺を知った彼女は、幼馴染の家に行ったが死体は見つかっていない事しか教えて貰え無かった。

 彼の家族は別れた事を知らなかった。

 彼が自殺した日は彼女と別れた後だと知った。


 そして彼女は事実を知る。


 幼馴染を虐めていた子達は男の子と仲が良かった事。

 男の子に頼まれて虐めていた事。

 その虐めがとても酷い暴力を伴っていた事。

 また幼馴染に彼女と別れろと迫っていた事。



 そして幼馴染が手を出したと言う女の子などいない事。



 全く意味が分からなかった。



 男の子は彼女の所へ来て幼馴染の文句をいった。

「あいつのせいで俺の人生めちゃくちゃだ。葵がさっさと俺と付き合ってれば良かったのに!」



 狂っていると思った。


 そして狂っているのは彼女自身も同じだったと思った。


 何故幼馴染を信じられなかったのか。

 一言話していれば、すれ違いも無かった。

 幼馴染に真実を聞く事が怖かったのは、最初から彼を信じていなかったからだと。


 そして思い出せない別れると言った時の幼馴染の顔。


 どうしても思い出せない。


 自分はあの時なんと言ったのか。


「他に好きな人が出来た。ホント、ごめん。」







 彼女は後悔をした。

 とても大きく自分を許せないほどの後悔。


 涙を流しながら、自分には泣く資格など無いと思った。




 彼女は裏切ったのだ。

 彼女自身が好きだった彼を。




 それから彼女は人も自分も信じなくなった。








 そして彼女はよく海に行くようになった。

 幼馴染の飛び込んだ川がつながる海はいつまでも彼女を責めているような気がした。




 彼女は海を見ながら思い出す。

 もう好きだとも言う資格ない彼女が好きな彼女が殺した幼馴染を。



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