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つながる世界  作者: hyrot
こんにちわ異世界
12/30

11


 再起動した新は、急遽ダズに講義をして貰って、この世界の強さについて常識を学ぶ事になった。


 その過程でダズも人界から見れば十分おかしなレベルである事に気づいた。


 まず人界の基準として、マーセナリーと呼ばれる者達がいる。

 彼らの仕事は、人界の中の危険な場所での護衛、魔物狩り、薬の原料の調達などで、魔物がいるこの世界では戦闘力が必要だ。



 まず、そもそも身体強度を限界まで鍛える者がほとんど居ない。


 瀕死から復活すると防衛本能から体内魔力エナの保有量が一気に増える。

 が、人がそう何度も瀕死になる訳もないく、鍛錬でそこまで追い込むことなど狂気の沙汰だ。

 この為に、エナの保有量は自然増加で増やすのみ。

 だから生まれつきエナ保有量が高い者は魔技を得意とする魔術師に、逆にエナの保有量が少ない者は戦技を中心に戦う前衛とに分けられる。

 

 新の現在の魔力量は150300

 ダズの魔力量は215500

 (さすがに死にそうになった回数は負けんとダズは笑っていた。)


 人界の魔術師の魔力量2500~4000


 仙頸漆花流

 使用者戦闘能力測定不能の為戦技ランク外。

 (この使用者とはダズの師匠の事である。)


 新の使う魔技の平均ランク1級~特級

 (ダズの見立て)


 人界の魔技の平均ランク4級〜3級


 マーセナリーにはランクがあり、ダズが人界にいた頃は1級。

(ダズ曰く、あの頃は弱かった。)


 この森の魔物ランクは全て特級

(ダズ曰く人界のある程度の戦力が何名も集まって戦えるレベルが1級。つまり特級以上は、強さを把握出来ない。)

 

 さらに、この森の獣は人界の魔物レベルなら捕食するらしい。


 




 ダズは少し自慢げにこれらの事を新に教えた。


 新は闇雲に帰る方法を探すより、タクナの情報を元に人界で900年前にあった事を調べようと思っていた。


 しかしこれでは、明らかに浮く。

 まさに化け物だ。

 その事をどうにかするのが先決だった。


 その為に取った手段がこれだった。



 身体強度制限5つ

(両腕に2つずつ、首に1つ)

 魔力制限15個

(両腕に2つずつ、両足首に5つずつ、首に1つ)


 これで身体強度はこの世界に来たばかりの新より少し強くて、反射速度がかなり早い状態。

 魔力量は300(制限1つでおそよ10000の魔力量制限。)



 恐らくマーセナリーの中では、能力に限れば新人レベルである。




 また、一番困ったのはタクナだった。

 どうしても新に付いて行くと聞かなかった。

 置いていって後から人界で見つかった場合、国が滅ぶレベルの被害が出る恐れがあるとダズに言われ、泣く泣く連れて行く事になった。


 タクナは身体変化の魔術を使えると言うので、小さくなって腕に巻きつける事にした。

 外見は悪趣味な蛇の装飾品である。


 あとは、ダズのお下がりで落ち着い色のシャツ幾つかと厚手のズボン、それから所持品を詰めるバックパックをもらった。

 食料は現地調達、水は魔術でどうとでもなる。


 ちなみに、この世界に来た時に着ていた制服は綺麗に保管してある。戻るまで大切にしたいと思っていた。







 これで出発する準備は整った。

 タクナが新の僕になった事で、ダズも自由に動ける様になったが、人界にはしがらみが多く見つかると面倒な事になるらしく、別行動をとる事にした。






 ダズはこの森以外の領域の調査。

 新は人界へ歴史の調査。


 出発は早い方がいいという事で、明日にも出発する。










 夜、ダズと新はリビングに集まって話をしていた。


「この洞窟はどうするんだ?」


「俺の時空魔術で持っていく。もともとその為に作ったもんだ。」


 新は時空魔術を習得出来なかった。

 時空魔術や他の幾つかの魔術は適正が必要らしく、新にはその適正が無かった。


「やっぱり羨ましいな、その魔術。」


『ご主人、時間に干渉する事は世界の理に反する。やめておけ。』


「人界でもこれは禁術に分類されてる。制限も多いし、アラタが習得出来なくてホッとしてるぜ。」


「そっか…。」


「何、しんみりしてんだ?あ、さては寂しいだな?このガキ!クハハッ」


「なっ!?そんな訳ねぇし!」


「最初は殺す殺す言ってたのにな。クハハッまさか15年で超えられるとは思って無かったぜ。」


「人界の強さを知った時には、軽く殺意わいたわ!」


「ハッ強くなって損はねぇ。別にいいだろ?それから…」


「なんだよ?」


「旅の途中で、穴が目の前に空いたら迷わず飛び込めよ?」


「っ…」


「なんつう顔しやがる。あれが空くのは文字通り一瞬だ。迷ったら無理だぞ?」


「…分かってる。」


「気にすんなよ。アラタが居なくなっても、俺は別になんともねぇ!ガキが余計な事考えんな。」


「あぁ、ありがとう。」


「さて、今日はもうお開きにして明日に備えるか。」


「分かった。おやすみ、ダズ。」


「おう、おやすみ。」










 次の日の朝



 洞窟の前に立つ新に、ダズが声をかける。


「初めてのお使いで浮かれんなよ?」


「分かってるわ!」


「あと寄り道すんなよ?」


「俺はガキか?!」


「ガキだろ、まだ。クハハッ」


「ったく、もう行くぞ!じゃな、ダズ!」


「あぁ…体に気を付けろよ?」


 ダズは一言言うと、背中を向けた。


「分かっているっての。――――――――












行ってきます、オヤジ!」




 それにダズは片腕を上げるだけで答える。

 それを見た新は少し笑って走り出した。
















 新が去ってから、少しして――


「行ってこい、クソガキ。」


 その頬は少し濡れていた。

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