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濁った雪

作者:

日本の現代社会のストレスからの逃避。人には様々な生き方がある。

最近、調子が悪い。

週末に病院に行くとストレスとの意見をもらい

心療内科を進められる。


いつからだろう?


不安には思わなかった。

病院の外へでると季節は冬で粉雪が舞っている。

粉雪が頬にあたり雫となりつたう。都会の空気で汚れた雪は濁っている。雫をぬぐうと再び歩き始めた。風がいつもよりも冷たく感じる。


俺は負けたのか?帰る途中の車の中ではその様なことばかり考えてた。まわりには自分の様にストレスに蝕まれこんな真似するような人は見当たらない。早く普通の生活に戻りたいと願った。


家に帰ると有給を一週間ほどとった。年末の忙しい時に迷惑かつ仕事に早く戻りたいとも思ったがこの状態を引きずって長引いても困るので、実家が危篤とだけ伝えて休むことにした。


思うとしばらくぶりの連休であった。

自分は連休が続くと普段はだれてしまい、調子を戻すのに時間がかかるので極力避けていたのだ。


そう考えるとただ一週間過ごすのはよくないと思い海外にでることにした。

海外に最後にいったのは学生時代にAustraliaに一ヶ月間研修にいったきりだ。

準備もそこそこにし、航空券を予約する。目指すのはAustralia。時期がまわりの帰省ラッシュより早かったためか席はたやすくとれた。


朝の早い時間に家をでて空港についた。

手荷物検査もすんなりとぬけ、乗り込む。

不思議なことにくるまでの景色は覚えていないが学生時代の懐かしいなんとも言えぬ気持ちに襲われ心地よかった。

機内の中は暖かく、客室乗務員にブランケットを頼み、ケアンズまでの道のりを思いながら深い眠りについた。


ケアンズに着いてからの夜は早かった。ホテルに荷物を置き、夜の町にでる。

ケアンズの町は日本にはあまりない原色のネオンがそこかしらで輝いて目に嬉しい。

最近の東京などの都市に輝くLEDには生気を感じないからだ。


近くのカフェでビールを腹に流しポテトをむさぼる。日本の自分にはぬるすぎるテイストとは違う環境。

人々の目はまるで気にならず常に気にしていた自分が馬鹿の様にも思えた。


自分は今、被り物を被っていない。偽っていない。この国に建前は存在していなかった。


無意識の中、そう不意に思うとすぐにかすれ、

男は立ち上がりまた夜の町に消えて行くのであった。







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