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近況報告と出会い

『神様の言うことによると、私は勇者召喚に巻き込まれて死んだらしいです。』のイディオンお兄様のお話です。

僕、イディオン・グリゴロールが血の繋がらない妹シグレに失恋してから10年。

父上とその妹は順調に愛をはぐくみ、今や6歳になる娘のアカリが可愛くも生意気ざかりである。


他のシグレを好きだった男達の近況報告をさせてもらえるなら、勇者は早々に神様であるディオプロセフ様に土下座して元の世界に帰してもらっていた。

イチャイチャする父上と妹を見たら泣いてしまうからと、泣きながら帰っていった。


王子は政略的な意味を持つ隣の国の姫君を嫁にもらい美しく完璧な姫君にいつしか心奪われてしまったが姫君は心を開いてくれておらず毎日姫君を口説いている。

夫婦なのに~っと王子は騒いでいるが、姫君自体はあれで王子の事が子供の時から好きなのだ。

照れているだけだと早く気がついてくれと切実に思っている。

両方の愚痴を聞かされている僕はお互いに僕の方が相手と仲が良くてズルいと訳の解らない嫉妬を向けられる。

勝手に二人でやってほしいものだ。


騎士団長だったポレマオは下町の食堂をやっているナルと言う女性に胃袋と心を掴まれアッサリ騎士団を辞めて食堂の手伝いをしている。

おしどり夫婦と言う言葉が似合う二人は何時までもあのままで居てほしい。


スキロフは相変わらず我が家の執事をしている。

変わったことがあるとすればケーシーと結婚した事だろう。

スキロフとケーシーに恋心があったようには見えなかった。

理由を聞いたら、お互いに一番好き人はシグレで一生代わることは無いらしい。

お互いにそれを許しあえ、共有できるから楽なのだと言っていた。

愛には色々な形があるのだと二人に気付かされた。



そして、僕は未だに1人である。

イチャイチャする父上と妹を見ないようにするためにがむしゃらに仕事をしていたら宰相なんてものになってしまったが基本なんら変わった事はない。

彼女に会うまでは………



彼女と初めて会ったのは、父上と妹の子供であるアカリの4歳の誕生日会だった。

家族だけの集まりに彼女はひっそりとまざっていた。


「お兄様~‼」

「アカリお誕生日おめでとう。プレゼントを気に入ってくれると嬉しいんだけどな?」

「お兄様のプレゼントがハズレな訳がないわ‼お兄様大好き!」

「大好きかい?じゃあ、アカリは僕の奥さんになってくれるかい?」

「お兄様知らないの?血が繋がってる家族は結婚出来ないのよ‼私はルーニベルグ様の息子のルノアール様と結婚するのよ‼お兄様は私には負けると思うけど、素敵な奥様が見つかるはずよ‼」


生意気だと解っていても可愛いと思ってしまう僕は、小さな妹を抱き上げて言った。


「それは残念。僕は妹にフラれてばかりだね。ルーニベルグの息子の素行調査をしないとな。」

「………お兄様、余計な事しないでね!」


アカリは僕に呆れた顔をして見せた。


「イディオン、漸く帰ってきたね!………ああ、紹介しよう!彼女は魔法局局員のマイルズの娘さんで、ダリア!アカリの家庭教師をしてもらっているんだ!」


父に紹介された女性は普通の一般女性にしては、背が高く藤色の髪の毛を高い位置にお団子にした綺麗な人だった。

魔法局のマイルズは子沢山で有名な人物だ。


「魔法局勤務ウルドリール・マイルズが長女ダリアと申します。イディオン宰相様、御初に御目にかかります。以後お見知りおきを。」


堅苦しい挨拶。

普通のご令嬢であれば今頃、狩人か肉食獣のごとき視線をむけてくるが彼女は違った。


「ダリア姉様!」

「アカリ様………毎日言っていますが゛姉様゛は色々な誤解をうむのでお止めください。」

「私の心の姉様なんだもん!ねぇ、家族といっしょの時だけだから許して‼」

「………私には了承しかねます。」

「お父様もお兄様も良いでしょ?お願い!」


アカリのお願いに弱い父上と僕はニッコリと笑って頷いた。


「良いって‼これからダリア姉様だからね!」

「………了解しました。」


ダリアさんは困った顔で仕方なく了承した。




アカリの家庭教師のダリアはとっても優秀だった。

マナーレッスンも授業も解りやすくてアカリの成長が素晴らしい。

僕は本当に感心してしまった。


「お兄様!ダリア姉様とお庭を散歩するから一緒に来て‼」

「良いよ。」


アカリはかなりダリアを気に入っているらしい。

屋敷の庭を歩く二人の後について歩いていると二人は植物の勉強を始めた。

小さな花の名前を目を輝かせて聞いているアカリは本当に可愛い。

そんな時ダリアが自然にバランスを崩した。

要はコケたのだ。

僕は慌てて彼女の腰に腕をまわして抱き寄せた。


「………ごめんなさい。ヒールになれてなくて………」

「ヒール?」

「うわああ!耳元で喋らないで‼くすぐったい!」


彼女の耳が真っ赤に染まる。

………面白い。

僕はついつい彼女の耳に口を寄せて言った。


「ごめんね。」

「ふあああああ。」


ヤバい!面白い!


「お兄様!ダリア姉様を苛めないで‼」


アカリに注意されて漸く自分が何をしているかに気がついた。

僕はゆっくりとダリアを離してあげた。

ダリアは恨めしそうに僕を睨んだ。


「ごめんね。あまりに可愛くて。」

「か、か、かかかかかかわ………」


なんだろう?この子可愛い?


「からかわないで‼お、男の人にかかか可愛いなんて言われたことない!」

「可愛いよ。」


彼女の顔は一気に真っ赤になりそして意識を失った。

僕は彼女を素早く抱き抱えた。


「お兄様!ダリア姉様が可哀想だわ。」

「僕は可愛いって言っただけだよ?」

「女性をからかうなんて子供のすることよ‼」


僕の小さな妹は自分の方が歳上の様な気持ちになってしまったのかも知れない。


「本気で可愛いって思ったんだよ。」


僕の呟きに小さな妹は呆れたようにため息をついたのだった。

アカリはアリアンロッドの生まれ変わりです!



解らない方は『神様の言うことによると、私は勇者召喚に巻き込まれて死んだらしいです。』を読んでください。

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