Another side 協力者
今回、めっちゃ短いです。
ザンダルの山を囲む森の一角に、赤人達の野営地があった。
この森は、自然のまま伐採などは行われておらず、太陽光を遮断し山の熱を逃がす役割を持っていた。
その深い木々の幕が、彼らを外界から覆い隠していた。
点在するテントには、全部で百人近い赤人の集団がおり、今は就寝中である。
その中で唯一話し声が聞こえてくるのは、中央の大テントのみ。
松明を灯せず薄い月明かりに頼り切っている状況で、今後の方針を決めるために、代表格の赤人達が会議をしていた。皆一様に真剣な表情をしている。
「それでいつ実行できるんだ?」
大テントの円卓に、人を威圧するような野太い男の声が響いた。
赤人の中で一際違和感を放つ唯一人の灰人。そのふてぶてしい態度の男は、周囲に向かって単刀直入に問いかける。どうでもいい、といった口調だ。
「明後日、決行しようと思っています」
「いよいよか」
緊張に満ちて恐る恐る決意表明をするリーダー格の赤人に対して、灰人の方は慣れたものだった。アルコール度数の高いザンダル産の酒を豪快にあおりながら、淡々と計画を確認していく。
「ほ、本当に大丈夫なのでしょうか?」
「前回で奴らの出方は分かった。なぁに、ちょっとばかし腕っ節が強いだけの頭の悪い連中だ。俺達を信じろ」
「わ、分かりました」
「それよりも、だ。そっちこそぬかるなよ。おめぇらが失敗したら、俺たちゃあの村に入ることもできねぇんだ」
「それは心得ています」
今まで襲撃したのは二回。
最初の奇襲は作戦もなく力押しで行なったが、その結果は惨憺たるものに終わった。
無様にも逃げ帰ってきた後、失意のどん底にいた赤人達の前に、どこからともなく来訪した灰人の集団が協力を持ちかけてきた。
彼ら灰人集団の意図は不明であり、また信用できるかも怪しかった。
それに他人の手を借りることはプライドが許さなかった。
だが今の環境では、日に日に女子供が疲弊していき、最近では病に倒れるものまで出始めた。もはや一刻の猶予もならない。
やむなく灰人集団の提案を飲むことにした。
「だけどアイツの問題はどうするんだ。作戦伝えてねぇんだろ?」
「前回の襲撃で警戒が厳重になっている。もはや連絡を取るのは不可能だ」
「アイツなら自力で何とかするだろう」
前回の襲撃は只の様子見。頭の回る灰人集団に、現状を把握させるためだけの軽いものだった。
その軽さが仇となったのだろうか。以降、余計に警戒されるようになった。
そのため、作戦を伝えるべき者に接触できなくなってしまったのだ。
「囮として二組みに分けた襲撃部隊で挟み撃ち。その間に救出部隊が人質を奪還して、下手すりゃそれも囮。本当の狙いはマットゥの中心部だ」
「ええ、そして貴方達を引き入れる」
「あとは俺達が何とかやってやらぁ」
手に入れた情報を元に灰人に練られた作戦。
各々が役目を果たすべく、入念に脳内で復唱する。
赤人達は淡い期待に縋り、真実が見えていなかった。眼前の灰人がかすかに浮かべる笑みの意味も……。
「まあ、そう肩肘を貼るな。気楽に行こうぜ」
「ところで他の方々はどちらへ?」
「アイツらはかたっくるしいのが嫌いでな。そこら辺をブラブラしてるんだろうさ」
「あの、あまり目立つ行動は……」
「ハンッ、心配すんな。見つかるようなヘマはしねぇよ」
「そ、そうですか。それと、できれば夜のお世話などもご遠慮願いたいのですが……」
「あぁ? 何訳の分かんねぇこと言ってんだ。そんな真似するか」
「あ、ありがとうございます」
齢を感じさせる赤人のリーダーは、あからさまにホッとした表情をした。
それを内心不機嫌に見つめながら、灰人のリーダー格は「鱗女に欲情するか」と悪態をつく。
「じゃあ、準備を整えておけ。俺は仲間に詳細を報告してくる」
「はい、よろしくお願いします」
野営地の端、赤人のテントから少し離れた場所に灰人が寝泊りしているスペースがあった。
そこに足を歩める灰人のリーダー格は、夜番をしていた女性に声を掛ける。
灰人は灰色の髪が殆どである中、その女性は珍しい黒髪をしていた。
「今日はお前が担当か」
「ええ、人数も少ないからしょうがないわ」
「他の連中は相変わらずか」
「そうね」
女性は服装も一風変わっていた。
身に纏うその見慣れない衣服は、不思議と女性にマッチしており、美しさを強調していた。
「決行は明後日だ。お前も頼むぞ」
「ええ、やるわ。やってやるわよ」
「その代わり、食料はきっちりと頂くわよ」
「ああ、問題ない」
漆黒の視界を開くのは、空に浮かぶ雲間から漏れる月光。
それが精悍な顔付きの女性を映し出した。
月の光が一皮剥けたその美貌に反射して、女性を女神の如く際立たせている。
「お前のその"妙な球"の力、期待しているぞ」
「任せて」
女性は凛とした面持ちで、この先の決意を表す。
「頑張るわよ。生きて絶対に元の世界に戻ってみせるんだから」
夜の沈黙に、人を魅了するような可憐で力強い女性の声が響いた。
作者の限界?
5000文字くらいはいきたかった……。
文章、端折りすぎ感ありますが、手抜きではないです。
そういうことにしてください。
気が向いたら加筆の方向で。




