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拉致・のち、放置&放浪記  作者: 七草 折紙
『憤怒の山』編
25/30

Another side 協力者

今回、めっちゃ短いです。

 ザンダルの山を囲む森の一角に、赤人達の野営地があった。

 この森は、自然のまま伐採などは行われておらず、太陽光を遮断し山の熱を逃がす役割を持っていた。

 その深い木々の幕が、彼らを外界から覆い隠していた。


 点在するテントには、全部で百人近い赤人の集団がおり、今は就寝中である。

 その中で唯一話し声が聞こえてくるのは、中央の大テントのみ。

 松明を灯せず薄い月明かりに頼り切っている状況で、今後の方針を決めるために、代表格の赤人達が会議をしていた。皆一様に真剣な表情をしている。


「それでいつ実行できるんだ?」


 大テントの円卓に、人を威圧するような野太い男の声が響いた。

 赤人の中で一際違和感を放つ唯一人の灰人。そのふてぶてしい態度の男は、周囲に向かって単刀直入に問いかける。どうでもいい、といった口調だ。


「明後日、決行しようと思っています」

「いよいよか」


 緊張に満ちて恐る恐る決意表明をするリーダー格の赤人に対して、灰人の方は慣れたものだった。アルコール度数の高いザンダル産の酒を豪快にあおりながら、淡々と計画を確認していく。


「ほ、本当に大丈夫なのでしょうか?」

「前回で奴らの出方は分かった。なぁに、ちょっとばかし腕っ節が強いだけの頭の悪い連中だ。俺達を信じろ」

「わ、分かりました」


「それよりも、だ。そっちこそぬかるなよ。おめぇらが失敗したら、俺たちゃあの村に入ることもできねぇんだ」

「それは心得ています」


 今まで襲撃したのは二回。

 最初の奇襲は作戦もなく力押しで行なったが、その結果は惨憺たるものに終わった。


 無様にも逃げ帰ってきた後、失意のどん底にいた赤人達の前に、どこからともなく来訪した灰人の集団が協力を持ちかけてきた。

 彼ら灰人集団の意図は不明であり、また信用できるかも怪しかった。

 それに他人の手を借りることはプライドが許さなかった。


 だが今の環境では、日に日に女子供が疲弊していき、最近では病に倒れるものまで出始めた。もはや一刻の猶予もならない。

 やむなく灰人集団の提案を飲むことにした。


「だけどアイツの問題はどうするんだ。作戦伝えてねぇんだろ?」


「前回の襲撃で警戒が厳重になっている。もはや連絡を取るのは不可能だ」

「アイツなら自力で何とかするだろう」


 前回の襲撃は只の様子見。頭の回る灰人集団に、現状を把握させるためだけの軽いものだった。

 その軽さが仇となったのだろうか。以降、余計に警戒されるようになった。

 そのため、作戦を伝えるべき者に接触できなくなってしまったのだ。


「囮として二組みに分けた襲撃部隊で挟み撃ち。その間に救出部隊が人質を奪還して、下手すりゃそれも囮。本当の狙いはマットゥの中心部だ」

「ええ、そして貴方達を引き入れる」

「あとは俺達が何とかやってやらぁ」


 手に入れた情報を元に灰人に練られた作戦。

 各々が役目を果たすべく、入念に脳内で復唱する。

 赤人達は淡い期待に縋り、真実が見えていなかった。眼前の灰人がかすかに浮かべる笑みの意味も……。


「まあ、そう肩肘を貼るな。気楽に行こうぜ」

「ところで他の方々はどちらへ?」


「アイツらはかたっくるしいのが嫌いでな。そこら辺をブラブラしてるんだろうさ」

「あの、あまり目立つ行動は……」

「ハンッ、心配すんな。見つかるようなヘマはしねぇよ」


「そ、そうですか。それと、できれば夜のお世話などもご遠慮願いたいのですが……」

「あぁ? 何訳の分かんねぇこと言ってんだ。そんな真似するか」

「あ、ありがとうございます」


 齢を感じさせる赤人のリーダーは、あからさまにホッとした表情をした。

 それを内心不機嫌に見つめながら、灰人のリーダー格は「鱗女に欲情するか」と悪態をつく。


「じゃあ、準備を整えておけ。俺は仲間に詳細を報告してくる」

「はい、よろしくお願いします」






 野営地の端、赤人のテントから少し離れた場所に灰人が寝泊りしているスペースがあった。

 そこに足を歩める灰人のリーダー格は、夜番をしていた女性に声を掛ける。

 灰人は灰色の髪が殆どである中、その女性は珍しい黒髪をしていた。


「今日はお前が担当か」

「ええ、人数も少ないからしょうがないわ」


「他の連中は相変わらずか」

「そうね」


 女性は服装も一風変わっていた。

 身に纏うその見慣れない衣服は、不思議と女性にマッチしており、美しさを強調していた。


「決行は明後日だ。お前も頼むぞ」

「ええ、やるわ。やってやるわよ」


「その代わり、食料はきっちりと頂くわよ」

「ああ、問題ない」


 漆黒の視界を開くのは、空に浮かぶ雲間から漏れる月光。

 それが精悍な顔付きの女性を映し出した。

 月の光が一皮剥けたその美貌に反射して、女性を女神の如く際立たせている。


「お前のその"妙な球(・・・)"の力、期待しているぞ」

「任せて」


 女性は凛とした面持ちで、この先の決意を表す。


「頑張るわよ。生きて絶対に元の世界に戻ってみせるんだから」


 夜の沈黙に、人を魅了するような可憐で力強い女性の声が響いた。


作者の限界?

5000文字くらいはいきたかった……。


文章、端折りすぎ感ありますが、手抜きではないです。

そういうことにしてください。

気が向いたら加筆の方向で。

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