透視能力が欲しいですか?
森の中に迷い込んだ青いワンピースを着ている少女は息を切らしていた。
困った顔をして辺りを見渡す少女だが、次の瞬間、いきなり霧が立ちこみ先程までなかったはずの赤い屋根の6畳ほどしかないレンガの家が目の前に現れた。
「えっ、あんなの先程まではなかったはずなのにどうして?」
少女はゆっくりと窓の外から中を覗くが太陽の光の眩しさに邪魔をされる。
仕方がなく玄関に回り込み恐る恐るトントンとドアを叩いてみる。
返事がない。
少女はゆっくりとドアノブを捻り家の中に入ると、大きなテーブルの後ろに座る老婆が少女を待っていた。
「道に迷ったお嬢さんよ。あなたが何に困っているのか当てて見せようか?」
「えっ」
足が竦み歩き出そうとしていた足が止まる。
「あなたはね、付き合っている恋人との喧嘩に悩んでいるのね」
「すごい!どうしてわかるのですか?」
得意げな顔で微笑む老婆。
「そりゃあ私が透視能力を持っているからだよ。あなたにも分けることだってできるわ。でもそれを決めるのはあなた次第」
「もちろん、ほしいです!」
「そうかい!いいわ。じゃあお前にやるよ。手をこちらに出して」
少女は両手を合わせ、掌を老婆に差し出す。
老婆の袖からするすると赤い玉のような錠剤が一粒少女の掌に落ちる。
「これを飲み込むとどんな相手でも本音がわかるのよ」
少女は驚きつつも嬉しそうにその赤い玉の錠剤を飲み込み、森を下って恋人の家へ駆けていった。
恋人がドアを開けると、いつも通りの笑顔で少女を迎える。
少女は彼の笑顔から受けるいつもの安心感がないように見えた。
同時に上を見上げると、階段を上がったところにある彼の部屋に腕を組み待っているショートカットの女の子がカリカリしているのが見えてしまった。
あれっ。わたしにぞっこんじゃなかったの?
わたしの他に本命が居るの?
もしかして、わたしってただの都合のいい女?
少女は玄関先で座り込む。
少女を心配する男。
その2人の様子を大きな水晶玉から覗き込み「力には代償がつきものなのよ」と軽く微笑む。




