表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀劍のダンピル ~人類軍のスパイとして吸血鬼学園に潜入しつつ、パワードスーツと対戦車ライフルと銀刀で任務を遂行します ※ヤンデレ妹に正体がバレそうです~  作者: ウトウ・ヤスタカ
第二章:入学~委員会活動

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/44

第19話:メクラチビゴミムシ

星曆(せいれき)一九〇七年(光分(こうぶん)四〇年)・五月:月輪皇國(がちりんこうこく)平坂(ひらさか)吸血鬼學園(ショロマンツァ)/校内


 ――入学式からあっという間に月日が流れた。

 学園での授業内容は歴史、政治、外国(ヴァラヒア)語、人間牧場(ヴィエ)の経営学、武術、軍事などだった。内容は易しく、義務教育を終えていれば(つまづ)くことはなかった。


 さて、今日は平日だが珍しく授業がない。

 というのも、今日は学園全体で一日を通して部活動や委員会活動の説明会が開かれていたからだった。

 この学園では生徒全員がなにかしらの部活動か委員会活動に所属することになっている。昔は活動における内申点が就職先に影響したため非常に重要なイベントだったらしいが、今となっては形骸化してレクリエーションとなっていた。

 委員会に入って学園の利益になるような活動をすれば内申点がもらえるが、その影響力は微々たるもので、そんなものより期末テストで10点多く取ったほうが価値がある。


 ではなぜ今も学生たちが部活動や委員会活動に積極的な参加をするのかといえば、それは『コネ作りに有効』だからである。

 上級生とのコネ、貴族の本家とのコネ、社交界のお誘いを受けるためのコネ……、吸血鬼の社会ではとにかくコネが命だった。


 新入生たちが熱心にパンフレットを読みながら、校内各地で開かれている説明会場をウロウロしている。友人ができた者たちはさっそく一団となって廊下を移動していた。

 一方で俺は『任務で事前に決められた所属委員会』があるのでアレコレ頭を悩まさずに済んだ。しかも、”(おとり)役”に降格されてるから気楽なもんだ。


 委員会は学生たちから人気がない。そのため、説明会のスケジュールが他と被らないように遅くなっている。

 とっとと説明会に参加し、さっさと寮に帰りたかったのだが……、開始時間までヒマだった。そんなわけで俺はブラブラと校内を散策している。


 すると、いきなりガシャン!と窓硝子(ビードロ)が割れる音がした。

 何かと思って家庭科室に近づいてみると、(サオリ)と知らない女学生が喧嘩していた。


「あなた知能に障害でもありますの? 料理研究部は本家のみ所属できる部活動でしてよ? 常識がなさすぎますわ」

「そうでしたか、すみません。でも、どこにもそんなコト書いてませんでしたよね?」

「それが何か? 暗黙の了解を下調べするのは当り前ですわ。下賤(げせん)(やから)は他責しかできませんの?」


 さすがに妹を助けるしかあるまい。俺は二人の間に割って入った。


「すみません、そこの娘の兄です。この度は妹がご迷惑をおかけしたようで……」

「あら、無知な妹さんに相応(ふさわ)しい蒙昧なお兄さんが出てきましたわね。どう弁償してくれますの?」

「弁償……?」

「あなたの妹さんが不勉強なせいで、(わたくし)がそちらの窓硝子(ビードロ)を割るハメになりましたわ」


 窓の方を見やると、割れた窓硝子(ビードロ)の破片の中に包丁が落ちていた。

 どうやらサオリに包丁を投げつけやがったらしい。


「それに、こちらに()()させましたわよね? 常識の教育料を払ってくださいまし。ざっと百万(せん)。格安すぎたかしら?」


 その台詞を聞いて、取り巻きの女子学生たちがクスクスと笑う。教員や上級生は目を背けてこちらに関わらないようにしている。


 なんだコイツら……。頭おかしいんじゃないのか?

 俺は困惑して立ち尽くす。――すると、若い男の大声が廊下に響いた。


「おい、何やってる!」


 声のしたほうを見ると、教室で顔を見たことがある男子学生が颯爽とこちらに歩いてきた。正義感が強いだけの新入生が来ても頼りにならないぞ……と思ったが、その男子を見た気性の荒い女子学生は顔を(しか)めた。


「チッ、石橸(いしだる)か……。盲禿芥虫(メクラチビゴミムシ)はさっさと死んでくださいまし~。それでは、ごきげんよう」


 そういうと、気性の荒い女子学生は取り巻きの輪の中へと帰っていき、先輩と共に人間型録(カタログ)をめくり始めた。新入生歓迎会のお茶会で使用する食材(にんげん)を品定めしているようだ。

 男子学生は優秀な助け船だったらしい。俺は胸をなでおろした。

 近づいてきた男子学生が話しかけてくる。


「大丈夫か?」

「大丈夫だ。ありがとう」

「キミ、同じ()組だろ? いったん教室に戻ろう。窓硝子(ビードロ)はそのままでいいさ」


 俺はすぐさまサオリに駆け寄って手を引き、男子学生と共に家庭科室から出た。

 そのまま()組の教室に向かうべく、男子学生の後ろをついていく。


「サオリも大丈夫か? ケガは無いか?」

「うん、大丈夫。……ごめんね、お兄ちゃん巻き込んじゃった」

兄妹(きょうだい)だろ。なにも問題ない。……アイツはそのうち殺しておく」

「え……?」

「ハハッ……、なんてな。冗談だ」


 俺はあわてて作り笑いを浮かべた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ