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奪うようなキスをされて、笑うことはもう出来なかった。
舌は熱いし、反対の手は私の背中に回されて身動きも出来ないし…
ひたすらにドキドキして、心臓が落ち着かない。
小麦畑の土の上でキスするなんて。
種たちが騒がしいのは私にしか聞こえないんだろうけど、恥ずかしい。
唇をパッと離されたとき、ようやく喘ぐように息を吸ったら
「鼻で呼吸するように教えたはずだが」
と言ってまたすぐ唇を塞がれた。
もう…こんなことして、最後まで出来ないのはつらいのに。
だけど嬉しいし、どうすればいいのかわからない。
今はブルーの気がおさまるまで、キスを受け止めようと思った。
朝食後に観光の為馬車に乗ってからもブルーはたくさんキスをくれたし、私から離れなかった。
またあの時の過保護なブルーに戻ったようで、これはこれで嬉しかった。
「あの…ブルーにお願いがあります…」
「お願い?」
怪訝そうな顔をしてブルーが私を見た。
もう、そんな顔をしても格好いいのだからずるい人だわ。
「まさか、また私から離れるなどと…」
「違います!一生離れません!そうではなくて…その…」
私はちょっと恥ずかしいと思いながらもブルーの手を取って私の太ももの上に置いた。
「最後まで…してほしいのです…」
「…」
ブルーはバツが悪そうな顔をすると私から視線を逸らしてしまった。
「避妊の茶葉をつくりました。」
「え?」
「子が欲しいと望んでいるわけではないのです。あれから一度も…抱いてもらえないのが悲しくて…」
「悲しい?」
「はい…」
私は睫毛を伏せた。
「悲しい思いをさせていたのか…すまない。その、女性は男性とは違って最後までは出来なくても、果てて仕舞えば満足するものだと勘違いしていた。」
「まあ、そういう方もたくさんいらっしゃると思いますが…私は違います。ちゃんと一つになりたいです。」
私はギュッとブルーに抱きつくと顔を上げて懇願した。
「抱いてください…お願いします…」
「っ…」
ブルーが顔を赤くしてまた目を逸らした。
もう、どれだけ可愛いと思わせれば気が済むのこの方は。
「怖かったら、外に出してもらったらいいですから…避妊の茶を飲んだら、今夜お願いします。」
「…わかった。」
えっ?いいの?頷いたの?
まさか了承してもらえるなんて思ってなかった。
嬉しい!
「約束ですよ?ね?今夜ですよ」
私はブルーの頬にチュッとキスをして微笑んだ。
「困ったお姫様だ…」
観念したようにそう言ったブルーも、どことなく嬉しそうだった。




