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翌朝、ブルーが起きるより先に私は服を着て、1人で小麦を見に行った。


ブルーったら何度も果てたから、なかなか起きなくて寝顔に癒されてしまったわ。


高い鼻梁も、薄い唇も彫刻のように綺麗だった。

目を開けると深い藍色に吸い込まれそうになるけどね。

あの一見冷たそうに見える目や、眉間に皺を寄せて怒ったように見える表情が、私にはたまらなく素敵に思えてしまうの。



「おはよう。調子はどう?」


男爵夫人らしからぬ行動とまた言われてしまいそうだけど…

畑にごろんっと横になって、耳を土にそっと預けて種たちの声を聞いた。


「ふふふ。そうでしょう。ブルーったら、ぎこちない動きで可笑しかったわね。男爵閣下なのだから、麦踏なんてしたことなくて、ああなるのは当然よ。許してあげて。」


「ああ、わかるわ、眉間に皺を寄せて一生懸命除草した時でしょう?そうなの。とっても可愛い方なの。わかってもらえて嬉しいわ」


ずいぶん長い間(側から見たら)1人で笑って小麦畑にいたと思う。


ブルーが血相を変えて走ってきた頃にやっと、あっ!しまったと思い、即座に体を持ち上げた。


「おはようございます。小麦の種とお話して、楽しくて時間を忘れてしまいました。」


ブルーは笑顔の私を見ても硬い表情を和らげずに、私をきつく抱きしめた。


「心臓に悪いからやめてくれ…」


「ご、ごめんなさい」


「また、いなくなったのかと…」


ああ、前に私が逃亡した時のことを思い出させてしまったのね。


「君は植物のこととなると私なんて二の次になってしまうのだね。」


「え…?そんなことは…」


ブルーが何より1番好き。


朝、起きるまで待ってたら昨夜のことを怒られそうで、逃げてきただけなんだけどなあ。


「頼むから、声をかけてからにしてくれないか。私も一緒に起きて行くから」


「ありがとう…ございます?」


どことなくムッとした表情をしていて、もしかしてこれはと期待してしまう。


「植物に妬いたのですか?」


「…」


プイッと顔を逸らせて、唇をキュッと結んだブルーが、とんでもなく…


「可愛い…」



「は?」



心外とばかりにブルーが目をカッと開いて私を見た。


「今なんと?」


「あ、失言でしたね。だって…ふふ…嬉しくって…ごめんなさい。」


「どの口がこんな年上を相手に、可愛いと?」


まだ怒っていることに笑いをこらえきれない。


大きな声ではしたなくも笑ってしまった私を咎めるように、ブルーは片手で私の両頬をグッとつかんだ。

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