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「ブルー、早く抱っこしてください、早く!運んで!」
翌朝、予想通りクタクタなまま朝を迎えた。
何回も絶頂を迎えると疲れてしまうのに、ブルーが手加減しないせいでコレよ。
「早く小麦を観に行きたいから!畑まで私を連れてってください!早く!」
「…まったく、朝に強いお姫様だ…」
だって昨日からずっと気になってたんだもん。
夜に観に行かせてくれないからこうなるのよ。
体は疲れてても頭が起きて覚醒してしまってる。
ブルーは起き上がると、私が淹れたモーニングティーを飲んだ。
ごくっと飲み干す時の喉仏にときめいてしまうなんて…
私ったら結婚して1年以上経ってるのにまだ恋してるのね。
「…かわいそうに…そうだったの」
畑の状態を見て、なぜこうなったのかすぐに分かったけど、一人一人に耳を寄せて声を聞いていった。
「何が原因かわかったの?まだ生えてすらないのに、土に聞いたの?」
ブルーは不思議そうに聞いてきた。
「はい。種と会話できますから。まず、種を蒔いたあとの麦踏みが少なかったことと、」
「ん?麦踏みとは…?」
「ああ、すみません。踏むことによって根張りを良くして耐寒性を高めるんです。だいたい二週間置きに2〜3回必要なんですが、一回しかしてないそうです。」
「ほう…」
「あとは野草の除草も甘いです。今日私たちで抜いてしまいましょう。」
幸にして、まだ間に合う時期だった。
種を蒔いてから日が浅い。
育ち切る前に来れて本当に良かった。
「お腹が空いては作業できませんから、朝ごはんを頂きにいきましょう。ブルーの好きなパンがたくさん用意されているでしょうね。」
「リビーにそんな気配りはできないだろうし、期待しないでおくよ」
「私が手紙で伝えましたから。5種類はあるはずですよ。ブルーの好きなイングリッシュマフィンに、ソーセージロール、スコーン、ホットクロスバン、クロワッサンなど…」
「お姫様は、聡明で献身的な夫想いの植物博士だったらしい。」
「姫って…出産したんですから、夫人と呼んでくださいな。」
「なんだかこうも歳が離れていると、ずっとお姫様のように思ってしまうのだよ」
「もう、そもそも平民でしたのに」
笑って言ったけど、満更でもないのよ。
やっぱり女の子扱いしてもらえるのは嬉しいし、産後も変わらなかったことがありがたい。




