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シャーロットは、ベッドで横になっている私の布団をかけ直してくれると、暖かいお茶を注ぎながら話してくれた。
「私は子を産めない体です。ですから、奥様からララお嬢様のお世話を乳母と私に託された時は、両手を挙げて喜びました。」
ああ、ずっと母親のようだと思っていたシャーロットは、本当に母親だったんだわ…。
妊娠しているからか、シャーロットの想いが身に染みて涙が出た。
泣いてばっかりの毎日ね…。
「それが、まさか死ぬまでに孫までお世話させてもらえる人生になるなんて…もういつ死んでも悔いはありません。もう一度この手で、赤子を抱けるとは…」
シャーロットは両手で顔を覆って泣いた。
「何言ってるの?ベビーソックス編んでくれるんでしょ?私楽しみにしてるんだからね。こんな吐き気がするくらいだから一緒に毛糸は選びにいけないけどごめんなさいね。色は一緒に考えましょう」
シャーロットは頷くと笑いながら泣いていた。
私の子もきっと幸せになるわね。なんせこんな優しい祖母が一緒に遊んでくれるんだから。
しかも美しい祖母も美しい祖父もいるしね。
毎日が愉快で賑やかで楽しくなりそう。
穏やかな日々を想像して眠ったけれど、翌朝毛糸を買いに行ったシャーロットが怪我をして家に駆け込んできた。
「奥様、大変です。追手がきたようです。お嬢様と旦那様と逃げてください。私が囮になります。」
お父様を亡き者にしたい遣いの者に居場所が見つかった…?
どうして?廃皇子になったからもう追いかける必要はないんじゃないの?
殺さないといけない何かがあるの?
「シャーロット何を言ってるの?怪我をしてるじゃない!あなたの治療が先よ。」
お母様はそう言うと自分のドレスを破って血が出ている肩を止血のために縛りつけた。
お父様の居場所を聞くために、斬りつけられたなんて…。
シャーロットは斬られたあと買った編み棒を相手の目に刺してなんとか走ってここまで来たらしい。
「見つかるのは時間の問題です!お嬢様を抱いて逃げてください、お願いします!」
お父様は剣を抜いた。
「本当にすまない。君はララとシャーロットを連れて逃げてくれ。奴らの狙いは僕だし、僕が表に出れば大丈夫だ」
お父様はお母様の返答も聞かずに家を飛び出して行った。
何がどうなっているの?
「お母様…」
「ララ、大丈夫よ。私が守ってあげるから。シャーロット行きましょう」
お母様はそう言うと私とシャーロットを連れて家を出た。




