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長時間の馬車移動を連続でしてしまったこともあり、あまりにも疲れて泥のように眠った。


朝起きたら、シャーロットとお母様と元皇子が楽しそうに朝ごはんを作っている声が聞こえてきた。


ツーっと、涙が頬を伝って一粒流れていった。


もうブルーのことは忘れないといけないのに、ブレックファーストティーも、同じベッドでアーリーモーニングティーも楽しめないと思うと寂しくて苦しくなった。


″ララがいれたお茶じゃないと目が覚めないよ″

なんて、思ってくれていたらいいのに。


ブルーが私を恨んでいたかどうかは、はっきりわからない。

復讐として私と恋人ごっこをしたのかもしれないし、もしかしたら本当に結婚したいと思っていたかもしれない。


抱いてもらったときの暖かさや優しい眼差しは本物だったと思って、これから生きていけばいいよね…。



「おはようございますお母様。それと…ええと、なんて呼べばいいでしょうか」


「お父様でいいんじゃない?この人は訳あって籍は入れられないけど…ほら、王族は何かとややこしいじゃない?でも結婚したと思って暮らしてるのよ。だからこれからは父親と思えばいいわ。ね?」


「ああ、そう呼んでもらえると嬉しいな」


母の…夫?はまたあのキラースマイルを向けてきた。

輝かしいブランドヘアも、白い歯も高い鼻梁も薄ピンクの唇も、いかにも王子様って感じだわ。


それにしてもなんだか仕草に既視感があるようで違和感があるのよね…。


私からしたら雲の上の存在のはずなのに親しみやすいオーラもあるし…。


まさか、私の本物の父親?

まさかね…。


「では、お父様。これからよろしくお願い致します。」


お父様か。

私もブルーのことをそう呼んでいたなあ。


お父様って呼ぶと嬉しそうに微笑んでくれたのよね。


いけない、すぐにブルーのことを考えてしまうわ。忙しくしないとね。



「お母様、今日は街へ行って茶畑の材料を買いに行きたいです。こんな広大な土地があるんですもの。栽培しないともったいないですわ」


「あなた本当に好きね…。まあいいわ。好きなようになさい。ゆくゆくは茶葉屋を開きたいのよね?」


「はい!」


笑顔で頷いた私に、お母様はため息をつくと

「農夫でお金持ちいたかしら…」

と考え込み始めた。


「別に探さなくて大丈夫です。あ、シャーロットには手伝ってほしいけど。2人でできるから、結婚相手も農作業に慣れてる人もいらないです。」


「奥様、私が精一杯お嬢様のお仕事を手伝いますから大丈夫ですよ」


私の言葉に、シャーロットも笑顔で賛同してくれた。


お父様は「まあいいじゃないか」と穏やかに笑っていた。



それから1ヶ月後、私は苗の植え付け作業の途中で猛烈な吐き気と眩暈に見舞われて倒れてしまった。

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