第5話
「おはよう。いい朝ね。昨日雨だったから気持ちよかった?あんまり吸いすぎも良くないわよ。ほどほどにしてね」
「今日はあなたにがんばってもらうからね。ああ…大丈夫よ。茎ごと抜いたりしないから。葉っぱを抜くだけならいいわよね?」
「ふふ…そうそう。今日ついに作戦を決行するの。あなたは優秀だからね。効き目抜群のはずだわ。頼りにしてるわよ。」
「もう、ヤキモチやかないの。みんな大好きだし、ちゃんと力になってくれてるから、ね?いつもありがとう」
私は植物たちと楽しく会話し終えると…(と言っても花や草の声は出ないから側から見たら独り言なんだろうけど)植物を手に包んだまま立ち上がって、庭から部屋に戻った。
採ったばかりの植物で茶葉を作ると、そっと小袋にしまってメイドにドレスを着せてもらった。
「ついにこの時が来たわよシャーロット」
「お嬢様。私が必ず成功させてみせます。」
「ありがとう。あなたもお花たちもみんな頼もしいわね。子供ができたら一緒に育てましょうね、シャーロット」
「今から楽しみで仕方ありません」
お母様が1人だけ雇ってくれたメイドが、シャーロット。
私が幼い頃から乳母と一緒にそばにいて助けてくれた家族。
家事はもちろんのこと、植物を育てる作業も一緒にしてくれた。
だいぶ年上だけど、時には友人となって話を聞いたり遊んでくれた。
婚約後も一緒に男爵家へついてきてくれるので心強い味方だわ。
「お嬢様、縫い終わりました。」
誰にもバレないようにドレスの内側に先ほどの相棒たちが入った小袋を縫い付けてもらった。
ようやく、結ばれるのよ…!
これさえあれば、あのお方と一つになれる。
はあ、どうしましょう。
もうすでに心臓が壊れてしまいそう。