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それから、ララは娘として甘えるようになった。
夜になると手を握って眠って欲しいと言われた。
生まれた時から父親がいないから、きっと″幼い頃から父親にしてほしかったこと″を私に求めてしまうのだろう。
手に触れた途端、あの夜を思い出して反応してしまいそうになったが、なんとか自分を抑えて良い義父であることに神経を注いだ。
ララは仕事熱心だった。
執事に家計簿の書き方やマッサージを教わったり庭師と花を咲かせたり、メイドたちと仲良く談笑して、男爵夫人になる努力をした。
健気で見ていられなかった。
自分が息子の育て方を誤ったせいで、罪のない14歳の女の子を深く傷つけてしまったのだから。
リビーが帰ってくるまで、罪悪感に苛まれる日々は続くと思っていた。
だが日に日にララは生き生きとしていった。
リビーがいなくて寂しく感じるだろうと思ったのに、男爵家で過ごす日々を心から楽しんでいるように見えたし、私との会話も弾んでいた。
彼女専用の茶葉コーナーなんていうものも作ったから、趣味を謳歌できて充実しているのかもしれないなんて呑気に思ってしまった。
それが間違いだと気付いたのは、ブレックファーストティーを一緒に嗜んだ時のことだった。
ララが何度もお腹をさすっていた。
痛いのかと心配になったが、とても嬉しそうな表情をしていたので飲みすぎたのかななんて思っていた。
しかし、立ち上がった後すぐにうずくまって血で床を汚したことで、病気や怪我ではないかと心配になって狼狽した。
医者を呼ぼうとしたら、月のものだと言われて、妊娠しなかった事実を知った。
″良かった″とまず初めに思った。
あの″間違い″で妊娠なんてことになったらララは目的は果たせたとしても、きっと心のどこかでは後悔すると思ったし、子供に対しても罪悪感をもつと思った。
世間に嘘をついて″リビーとの子供″だと公表するつもりだと言っていたから。
だから妊娠しなくて本当に良かったし、心の底から安堵した。
ララは大きな悲しみに包まれたように見えたけど、これで良かったと後々思えるはずだ。
まだ14歳なのだから、いくらでも明るい未来は待っている。
私が奪ってはいけない、そう思った。




