閣下の真実
初めて会った時、ララは美しくも可愛らしい少女だった。
純粋無垢で、お花を大切に育てる心の優しい女の子だった。
貴族に憧れているのか、小さい体には合わない大きな宝石をたくさん身につけていて、そんなところも可愛らしいと思った。
″女の子は誰しもお姫様になりたいと思う生き物ですから″
ララの母親に言われて納得した。
何もつけなくても大きな瞳が宝石のように輝いていて美しいのに、お姫様は自分の美に気付かない生き物らしい。
プレゼントをするたびに喜ぶから、どんどん高価なものを与えたくなった。
そして14歳を迎えた時、私の息子と婚約をすることになった。
素直に嬉しかった。
体つきはもう立派な女性で、時折私に向けてくる蠱惑的な目に動揺はしたけど、母親から仕草や目線を教育されたのかなと思えば受け入れられた。
母親は男性の扱いに丈けている。
私を性の方向で誘惑してきたことは一度もないが、上手いこと婚約できるよう取り計らってきた。
ララがこれから男爵家に婚約者として同居することになるのだから、決していけない感情を向けない様に気をつけなくてはと自分に言い聞かせたし、後妻も本気で考えなくてはと思った。
貴族同士の結婚に、恋愛感情は必要ない。
私も妻も親同士が決めた結婚を受け入れた。
妻には他に恋人がいたけれど、結婚後はきっぱりと別れてくれ、私と子作りに励んで後継者を育てることに尽力すると言ってくれた。
私にはもともと恋人はいなかったし、恋愛感情に疎かったように思う。
男性は仕事をして跡取りのための道をつくればいいと本気で思っていた。
ただ、いくら恋愛感情がないとはいえ家族である妻が出産と共に亡くなった時は本当にショックだったし、命と引き換えに産んでくれたのだから、これからの人生は仕事よりも息子を育てることに懸けようと思った。
リビーは、手先が器用で頭も良く、要領のいい子だった。
剣術や乗馬など、体を動かすことは苦手で、頭を使うことが得意だった。
ただ、男爵になるのだから一応その二つは出来るようにならないと困るかもしれないと思い、王宮騎士の練習風景を一緒に観に行った。
そこで感動したようで強く興味を持つようになり、努力を重ね、剣術も乗馬も一通りできるまでになった。
″私に才能があれば王宮騎士になりたかった″
と、まだ若いにもかかわらず夢をあきらめていた。
″ゆくゆくは宰相になれるまで勉強を頑張りたい″と言ったから男爵としての仕事は手伝い程度にして、そちらを目指すのもいいと思ったし自由にさせようと思った。
その結果、結婚よりも恋愛を選ぶことになるとは思いもしなかった。




