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「おはようララ」
目が覚めると、大好きな人の柔らかい笑顔が目の前にあった。
昨夜、愛する人と結ばれた。
前回は無理矢理だったけど、今回は合意の上だった。
しかも愛してるって言ってもらえた。
これは期待してもいいのかな。
本当に私を好きなんだって思っていいのかな。
ブルーがウソをついてるせいで、心から信じ切ることができない。
かと言って今さら″記憶喪失のフリをしてました″とは言いにくいし…
いっそのこと、思い出したってまた嘘を重ねようかな。
「おはようございます。早くに目が覚めたんですか?」
「それが、ララが可愛くてずっと寝顔を見ていたいなあと思ってたら朝になってた」
「えっ…寝てないんですか?」
「まあそうなるかな」
閣下は笑うと、ベッドからおりてガウンを羽織った。
「昨日約束したからね」
そして執事が用意したであろうお湯が入った容器を持ち上げて、茶器に注いでくれた。
「今朝バトラーが、茶器をもってきてくれたよ。ララがくれた茶葉はティーカップに注ぐよりも茶器の方が相性がいいんだって」
「本当ですか?とっても楽しみです」
私もあわててシュミーズドレスを着てブルーの側にいった。
「そんなに興味があるんだね」
「はい!茶葉も植物も大好きですから!」
「へえ。なんか妬いちゃうな」
クスクス笑って茶器を私の目の前のテーブルの上に置いてくれた。
″じゃあ終わったら淹れなおしてあげる″
嘘はつくのに、約束は守ってくれるのね。
両手で包んでもちあげて、口につけたらちょうどいい熱さで、美味しく頂けた。
私が熱すぎると飲めないから、こんな気遣いをしてくれるのね。
どうして優しくしてくれるの?
どうして愛の言葉を口にするの?
抱き方も優しくて溶けてなくなってしまいそうだった。
胸が痛いくらいにドキドキしちゃう。
「美味しいです。ありがとうございます。」
私は茶器をテーブルに置くと、座ってるブルーの背後にまわって後ろから抱き付いた。
「やっぱり、小麦の前に茶畑に行きたいです」
「おや?どうしたの?婚約破棄の用紙をもらうんじゃなかったの?」
「…それは後からでいいです。」
もしかしたらこの関係は終わってしまうかもしれないから。
少しでも時間稼ぎをしてブルーとの思い出を刻みたい。
その間に、妊娠もできるかもしれない。
もしもピリオドを打たれてもお金だけもらって子供と生きていく。
愛する人との子を産むことができたら、別れが来てもきっと立ち直れるし生きていける。
私は着たばかりのシュミーズドレスを脱いで床にバサっと落とした。
「朝もしたいです…」
裸のまま抱きついて、ブルーを誘った。
もっと子種がほしい。




