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私は花瓶を抱えるように持って閣下の部屋をノックした。
執事が開けてくれて、私は仕事中の閣下へ手紙
を渡した。
「直接言うのは恥ずかしいので紙にしたためました。いつもの感謝の思いです。あと、こちらの花瓶…婚約祝いに私がねだったものですが、覚えていらっしゃいますか?」
手紙を受け取ると閣下はありがとうと言った。
執事はその様子を微笑ましく見守っていた。
「もちろん覚えているよ。植物が大好きな君にぴったりではあったけど、高価なものをあげたくて宝石をたくさん埋め込んでもらったんだ」
「嬉しいです。キラキラ輝いていてとても綺麗です。一生大事にします。
今から庭師と一緒に花を選んでこの花瓶にいけます。お父様お仕事頑張ってください。では。」
私は挨拶を終えるとシャーロットと共に部屋を出た。
螺旋階段を降りていって最後の一段で止まると、近くにメイドや執事がいないか確認した。
さっき挨拶をしてくれたメイドが廊下の窓をふいていたけど、背中を向けているからバレないし大丈夫。
小声で
「シャーロット、頼んだわよ。なるべく大きな声を出してね。お父様に聞こえるように。」
シャーロットが頷いたのを確認すると、私は一生大事にすると言った花瓶を思いっきり床に叩きつけてやった。
大事にするわよ、宝石はね。
お金も宝石も大好きだった頃の私に戻るから。




