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部屋に戻ったあと、ひとしきり泣いたら私はデスクに紙と羽ペンとインクを置いて座った。



″必ず上手くやるのよ、私の可愛いお姫様″


ごめんなさいお母様。

私、上手くやれなかった。

たった一夜のチャンスだったのに。

あの日、せっかくオリバー卿へ提案したのに。


妊娠しやすい日を婚約日にして、逃避行している間に閣下に子種をもらって妊娠して、オリバー卿との子供として育てるから結婚生活を上手く続けようって。

卿の恋人とは自由に会っていいし、私も憧れていた閣下との子なら喜んで育てられるから家を頻繁に空けても良いと言って。



「私はお母様のようにはなれないみたい」


男1人、手玉にとれなかった。

お母様ならきっと、一夜限りでは済まさずに妊娠できるまで相手をその気にさせられるんだろう。


私はペンにインクを染み込ませると一文字一文字、丁寧に綴っていった。

手紙を書き終えたころには頬もデスクも濡れていた。


「シャーロット知ってる?1番つらいことってなんだか」


「…愛する人の死でしょうか」


「そうね。じゃあ生きてるうちに、つらいことって何だと思う?」


「そうですね…色々あってわかりません」


「私はね、最愛の人に私の愛を″負担″と思われることよ」


私は封をすると立ち上がって、ハンカチで頬をぬぐって言った。


「今から私の言う通りにして」



解放してあげるわ閣下…いやお父様。


あなたの苦しむところは見たくないからね。

憎いくらいに愛おしい人。

私の人生でたった一度の大恋愛だったわ。

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