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「シャーロット、ここから一週間経ってもこなければ、街へコッソリでかけて医者に診てもらいましょう。もしも子が宿っていたら、男爵家のメイドと執事に、実は婚約前に卿と関係をもっていたと嘘をつけばいいのよ。みんな私の味方だから籍を入れる前に初夜を迎えていても祝福してくれるはずだわ。」


「お嬢様、油断は禁物です。期待しすぎることも私は心配です。喜ぶのは一週間後にしましょう。…さて…久しぶりに編み物を再開しないと、手袋や靴下が必要になりますから…」



私を注意しておいて、シャーロットの方が浮かれているわ。

ベビーソックスなんて、まだまだ先の話なのに。

私たちは妊娠していることを微塵も疑っていなかった。








3日後、軽い足取りでブレックファーストティーを飲みに閣下と食堂へ行った。


淹れるまでの間の話が弾んでしまう。


私は閣下には見えないようにお腹をさすった。


これからは紅茶を控えて、妊婦にも飲める茶葉に切り替えないと。


さすがに自分で栽培は間に合わなかったからね。

でも妊娠しながら育てればいい…楽しみだわ。

私の手に叶えばどんなお茶の葉も美味しく育つんだから。


「お父様、今日は部屋までエスコートしてくださいませんか?」


私は座ったまま閣下へ手を伸ばした。


「可愛い娘の頼みだからね」


閣下は笑顔で了承すると私の側まできて手を取ってくれた。


もう娘じゃなくなるわよ。

嫁にはなれないけど、閣下との子供を産んで、母親になるんだからね。


私は腰を上げると、突如襲ってきた鈍い痛みに立ち上がりきることができず、変な体制のまま固まった。


「ララ?どうした?ララ…」


痛みが続いたまま、ツーっと足の下をつたって何かが流れていくのを感じた。


「きゃあああああ」



私は閣下の手を払って床にうずくまった。


「シャーロット…シャーロット助けて…」


飛んできたシャーロットが持っていたひざかけで私を包んだ。


「旦那様申し訳ございません、床の掃除をしたいので…」


メイドから主人へ出ていけとは言えないので察してもらえるようにシャーロットは訴えかけてくれた。


「ララは大丈夫なのか?医者を呼ぼう」


でも閣下は病気とでも思ったのか、あわてて執事へ侍医を呼ぶよう声をかけた。


「やめてください」


私はメイドたちや執事がいる前ではっきり言った。


「月のものがきただけです。汚してしまい申し訳ありません。みんな、悪いんだけど掃除してもらえるかしら。ごめんなさい」


そして閣下の顔を見上げた。


なんてこと。

そんな安心した顔をするのね…!


こっちはもう消えてしまいたいくらいに悲しいのに。

私との子を望んでいないのね。

わかっていたことだけど、心が粉々に砕けてしまいそう。


″心臓が壊れるなんて思ったけど、それ以上だった。

幸せで、熱くて、破裂してしまいそう。″



本当にあの夜に破裂してしまえばよかった。

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