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「いえ…申し訳ございません。もったいないお言葉をいただいたのに…。ずっと閣下にはお父様になってほしいと思っていたのに、ごめんなさい。今は混乱しています。
なにせ、婚約者が出て行ってしまったものですから…」
私もお母様もお金が大好き。
昔から貴族に憧れていた。
だけど、本当に欲しいものはそれじゃないの。
今言ったって困らせてしまうから言えないだけ。
昨日口走ったことが、私の心からの願いなの。
お詫びがほしいんじゃない、男爵令嬢になりたい訳じゃないの。
「すぐに、答えは出せなくていいから。よく考えてごらん。全く…リビーは、愛人を作る訳でもなく、でていくなんて…一体どこに…?」
愛人に、できないからね。
貴族なら愛人を囲うのはよくある話らしいけど、だったらなぜ閣下はつくらないのだろう。
亡くなった奥様に操をたてるつもりだったのかしら。
だとしたらかわいそうにね。
私に無惨にも犯されて。
「とにかく、子ができたら生ませてください。別に閣下の子と言わなければいいだけの話です。似た顔の子が生まれるでしょうし、オリバー卿との子だと公表すればいいだけです。あとオリバー卿がどこに行ったかは知っていますのでご安心を。すこしの間だけでも好きにさせてあげてください。やっと想い人と結ばれるのですから…」
「ララはそれでいいの?つらくないの?」
あら、まさか私の心配をしてくれるの?
「はい。オリバー卿のことは好いていますが、恋ではありませんので。私は男爵家との子を作ることができればそれでいいんです。それでは失礼します。」
暖炉の火を尻目に私は閣下に背を向けた。
もう香りは残ってないはずなのに、閣下といるとまた体が熱くなり始めたから、それを知られたくなかった。
望みのない恋なのに。
でも、大丈夫。
なんたって私はお母様の血を受け継いでいるんだから。
妊娠するまでの間に好きにさせてみせる。
領地で愛を育んでいるオリバー卿のことを、閣下は執事やメイドたちに
″領地経営で急な用事が入ったから、しばらく帰ってこない。その間ララは寂しい想いをするだろうから丁重にもてなすように″
と説明した。
男爵家がもっている領地は一つではなくたくさんのため、どこにいるか目処はつかないと思う。
私は二週間後にくる月のものがこなければ成功したと手紙を送るつもり。
だからまだチャンスがある。
夜になるとシャーロットと共に閣下の部屋を訪れた。




