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いかにも後悔している、というような声色で。
「私は昨夜…なんてことを…!」
「しっ!」
閣下は私を黙らせると、部屋にいたメイドと執事を部屋の外に出してくれた。
「すまない、2人で話をさせてくれ」
その言葉にシャーロットも頭を下げて部屋を出た。
閣下は、私をソファーに座らせると対面に座った。
そして水をガラスコップにいれると私に差し出してくれた。
「あ…あの…昨夜…私はどうかしていました…。オリバー卿に拒否をされて、女としての自信をなくしてしまったからとは言え…よく眠れるお茶を出した後に、抵抗できない閣下にあんなことをするなんて…!なんとお詫び申し上げればよいか…」
「いや、謝らないで」
ううっと大袈裟に泣くふりをしている私を、閣下は優しく抱きしめてくれた。
閣下のいい香りに、昨日の情事を思い出して顔が赤くなってしまう。
「謝らなくてはいけないのは私の方だよ。まさかリビーに恋人がいたなんて…何も知らなかった私は父親失格だ。」
いや、知れる訳がないわ。
同性同士の結婚は認められていないもの。
誰にもバレないように上手くやっていたところを、たまたま私が見てしまっただけ。
きっと知らなければ、卿は私を抱くことはないまま外に妾を作る体にして、彼と逢瀬を続けるはずだったんだと思う。
私との結婚を隠れ蓑にして。
私だって最初はシャーロット以外には誰にも言うつもりなんてなかった。
婚約者の父親に恋をしてるなんて、言える訳がなかった。
卿と結婚したあとは、恋心を隠して卿の笑顔や声を密かに閣下に重ねて抱かれようと思っていたのだから…。
「あんな決断をさせてしまって…すまなかった。私が動けたらなんとしてでも止めたのに」
ズキン、と胸が細い針で刺されたように痛んだ。
私と、したくなかったからよね…
「ララの初めてを散らしてしまったなんて…。ララがそこまで跡取りを考えてくれていたことに気付けなくて申し訳なかった。」
もう、それ以上聞きたくない。
泣くふりだったのに、本当に涙がでてしまいそうで、声が震えてしまった。
「閣下…いえ、お父様。私は男爵家との子を生みたいです。養子ではなく、自分の子がほしいのです。もしも妊娠していた場合は、産ませてください。お願いします。」
「それは…どうして?」
閣下は私を抱きしめたまま問うてきた。
「男爵家に入りたいのなら、君を養子として迎え入れてあげるよ。息子と結婚させてあげれないせめてものお詫びとして」
私はせっかく閣下が抱きしめてくれていたのに腕を振り払ってしまった。
「違います!いやです!娘なんて!やめてください!」
最後は金切り声になってしまった。
涙も、ついに出てしまった。




