遠縁の人
ある日突然、施設の先生から、
「あなたを引き取ってくれる人が現れそうよ」
と言われた。
そのすぐ翌日に、施設の部屋で若い夫婦に引き合わされた。
奥さんの方は、私とは"遠縁の親戚"というものにあたるらしい。
親戚の子が施設に入っていることを知って、引き取って育てていけないかと、少し前から動いていたみたいだ。
そうして今日、私のところにまで来た。
夢みたいだった。私にそんな親戚の人がいたなんてまったく知らなかった。
夫婦は、見たところ怖そうな感じは全然しなかった。
この二人なら、問題なく家族になれるかも。
そうとなったら、私を早く二人の娘にしてもらいたかった。
でも、親戚の子を引き取る、といっても、色々と手続きやら何やらがあるみたいだった。私に会いに来たのも、その"手続き"のうちだった。
「私たちがあなたの家族になりたいって言ったらあなたはどう思う? 私たちの娘になってくれる?」
その質問に「嫌」と言ってしまえば、話が消えてしまうことはわかっていたから、私は食い気味に、
「すごく嬉しい! 絶対に娘になる!」
と答えた。
帰っていく夫婦を見送りながら、私は二人が一度も笑わなかったことを思い出していた。
それでも私は、私にもようやく愛してくれる親ができるんだ……と有頂天になっていた。
私にできることは、あんまりなかった。
何度か宇佐さんというその夫婦と会いはしたけれど、他に私の方から何をしなければならない、ということはなかった。
宇佐さん夫婦は、キリッとした大人の人って感じで、いかにもしっかりしてそうだった。
引き取って自分の子のように育てたい……とまで言っているのに、私に対してあまり笑わないところを私は変だとは思わずに、クールな人たちなんだなあ……と思っていた。
手続きは無事にすんで、私は一週間後には施設を出て、宇佐さんの家に行くことになった。
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