第六話 入隊前戦その5 〜決着〜
おお、なんやかんやでスブレット食えたわ。コイツも神だからエネルギーは多いんだよな。
《【還元】でエネルギーも能力もテメェのモンにすりゃあいいじゃねぇか》
【還元】を発動した瞬間自分の力が上昇したのを感じた。河合とかいうクソ野郎にも勝てる気がする。いや、慢心はやめた方がいいな。
《いや、今のお前なら確実に勝てるぞ。スブレットと河合どっちが強いと思う?》
そりゃあスブレットに決まってんじゃん。
《お前はスブレットの能力が使えるだろ?じゃあ勝てるじゃねーか》
うーん。確かにそうだな。
『チィ、めんどくせぇなぁ!』
あ、なんか久しぶりな感じだな。
『〈金属銃〉ォ!』
遠いな。これじゃあアイツ食えないわ。ヴィーストが物理的に食ってる感じだから少なくとも触れないと【混食】できないんだよな。エネルギー的なアレを飛ばして【混食】とかできないかな?まぁそれは今度考えるか。
「[混食刀]作成、〈黒連斬〉!」
[混食刀]ヴィーストを刀に取り憑かせることでできる。それで河合の右腕、左横腹、左足、右腰を切る。【形状変化】は低コストで使えるので使い道が多そうだ。まず、俺の右手からヴィーストを出して斧見たいなヤツを作る。
「えいっ」
避けられたが、地面に食い込んだので多分強いだろう。次は針みたいなのを作る。そしてヴィーストを縄状にして伸びるようにする。変幻自在の攻撃ができるようになった。すぐにそれを自由に振って、左腕を切る。
「さーて、お遊びも終わりだな。〈重力反弾〉」
【還元】で手に入れたスブレットの能力は重力操作だ。俺はそれを“触れたモノ全てを弾く”という目的で中心から重力で押し出し、モノを弾くという器用なことをしている。
『ハァ⁉︎』
河合は腹にそれが当たり、後方へと50メートルくらい飛んだあたりでグラルの〈混崩〉で追撃する。文字通り死にかけ。
『クソがクソがクソがクソがクソがァーーーッ!死ねこのグズどムォッ!ッガハッ、グフゥ、ア…ふー』
しゃべってる途中だが、グラルが河合を殴る。
「死ね――【混食】」
そして河合はエネルギーとなって俺の中に取り込まれた。
河合を食った1分後くらいに、エビルドルの隊員はきた。その隊長的なヤツが言う。
「君の活躍は見せてもらったよ。グラルくんもありがとねぇ。」
短髪で黒髪、身長180ちょいのメガネをかけた30歳くらいのおっさんだ。
「君が食った河合くんを始末してくれてありがとう。実はその子が隊員を無差別攻撃し始めてね、隊員に追いかけられてる時に死頭矢くんとあって戦いになったんだよ。まぁ君は河合くんを倒してくれた。お礼としてエビルドルの正式入隊を許可する。どうかね?」
「んなもん、やるに決まってるだろ!」
その瞬間狙撃銃の弾がグラルへと向かう。グラルは結界を張っているので当たらなかった。
「高井さん、何やってんですか⁉︎神ですよ、そいつ!」
「いいのだよ。河合くんを倒してくれたこの子の協力者なのだから。」
「いくら元最高司令官とはいえ、それは許されない!」
〈超高熱砲〉が高井へ迫る。しかし彼は手で銃の形を取り、エネルギーを撃つ。そしてそれは〈超高熱砲〉を相殺、いや貫いて狙撃者へと向かう。減速もエネルギー減少もほぼない。最初と変わらぬ威力で狙撃者を仕留める。
「すっげ」
思ったことがそのまま口に出た。
《力のほとんどを失った俺でも勝てるぞあんなん》
黙れ!うざいんだよ!あ、そういえば【還元】してなかったな。発動――【還元】!
「ってあれ?」
能力ゲットできなかったんだけど。なんで?
《アイツ食われる直前に自分を完全に金属化してたぜ。完全じゃねーからエネルギーだけは取り込めたっつうわけだ。》
うっざ!死んじまえ!
《もう死んでるぞ》
黙れ!わかってるから言わなくていいの!
「愉快な子だねぇ。さて、我らの基地へと向かおうじゃないか。まずは施設案内からだ。その後に君が入るグループを紹介しよう。」
グループかぁ。ヴィーストのこととか言わなきゃダメかなぁ?
「大丈夫だよ。ヴィーストくんのことは公表しないから」
「⁉︎」
「ふふふ、なんで知ってるの?って顔だね。実は私は【読心】という能力を持っているのだよ。もちろん、制限はあるがね」
そりゃあすげぇ。敵の位置とか丸わかりじゃねーか。
「じゃあ高井さん、よろしく!――お願いします……」
「無理に敬語を使わなくてもいいよ」
「よしっ!じゃあお言葉に甘えて。よろしく!」
「本当に愉快な子だ。とりあえずついてきてね。あとここの後始末はこちらが負担するからね」
「あざす」
こんにちは!かづっぴです!学校が始まって時間が取れず、投稿できませんでした。これで入隊前戦が終わりました。なので次回、参考ブック的なヤツ(説明書)を投稿しようと思います。なので少し時間をください。