第零話 転生と混乱
この世界には神が実在している。そしてその神は一柱ではない何百、何千、何万。あるいは何億もの柱によってこの世界は30億年程支えられてきた。
その30億年もの間、まだ代替わりしていないこの世界の頂点たる神、“星零神”ニレルゼ。そのニレルゼは今、現世の日本の東京へ君臨しようとしていた。ニレルゼは自己開発した権能によって一時的に肉体を作り、それに受肉する。
神は決して全知全能ではない。しかしニレルゼは30億年の時をかけて全知全能に匹敵する程まで成長したのだ。ニレルゼは下々の者を見る目で上空から観察する。そして東京タワーの上に立つ。そして
『〈神之視点〉』
と、言い放つ。それと同時にニレルゼによって神の目が地球上の各地に具現化される。ただし、神の体をを構成している魔力や霊力を持っている者にしか見えない。当然、人間はそれらを持っていないので見ることができない。そしてニレルゼは地球の全てを見る。
(地球のエネルギーが減っていると思えばなんなのだこれは⁈やはり人間が、人間こそが地球を少しづつ破壊していたのか…!)
ニレルゼの目に映っているのは溶けかけた北極に、汚染された大気、貧困に悩む人々、無意味な紛争だ。それらにニレルゼは激怒する。そしてニレルゼはエネルギーを解放する。わずか1分足らずで地球を自らのエネルギーで侵食し尽くしたニレルゼ。そしてニレルゼは人々の脳に直接念話する。
『貴様等は地球を壊し続け、私を激怒させた!これ以上の破壊行動をやめよ!そして過ちを繰り返さぬよう、今すぐ滅びるがいい!これより〈人類滅亡計画〉を実行する!』
そう言い終わると同時に究極の魔法を発動させる。
〈超規模神聖擬似転生〉
この魔法は自らのエネルギーで埋め尽くした対象を強制的に転生させるという能力を秘めている。
神は死ぬと転生する。そして3年だけ時間が与えられ、下界で後継者を探し、“神座授与”という儀式を行うことで神の座を守り続けてきた。ニレルゼは他の神が転生するのを嫌という程見てきた。そして転生の原理を正しく、正確に理解し、転生を再現し、擬似転生と名付けた。その擬似転生を改造し続けることでこの魔法を作り出した。
そしてそのエネルギーは地球全体を覆い尽くした。そして対象が宇宙となったところでニレルゼはその魔法の本領を発揮する。やがてその膨大なエネルギーは宇宙ごと転生させるための性質へと変化する。そして天の川のような虹色に近い光となり地球を擬似転生させた。そして地球は“魔の楽園”と化したのだった。
⚫️
俺の名は緑川諒一。大阪に住んでいて、高校3年生で帰宅部だ。
この世に平等などない。誰かが得をすると誰かが損をする。この世界は建前上の正義によって建前上の平和が貫かれていた。地球が擬似転生するその日までは。地球が“魔の楽園”と化すその日までは。
世界は混乱した。当然だ。人間の敵となる魔物が生まれたのだから。魔物は宇宙が擬似転生したことによって空気中に出現した魔力がが変質してできたある種の生物だ。ただし、ごく稀に魔物にも人間の味方となる魔物もいる。ほかにも人間の味方となる霊力でできた天使、精霊などもいるのだが圧倒的な魔物の量によって世界は危機的状況に陥っていた。
地球が“魔の楽園”と化して2年が経過したある日、特殊な能力や魔法を操ることのできる人間が出現した。世界はそれを見逃さず4年間、能力者をかき集め、大阪府に特殊防衛組織“エビルドル”を結成した。
そして俺も能力に目覚め、特訓を始めた。
しばらくしたある日、俺が特訓しているところを“エビルドル”の1人、死頭矢不練というデザインのない怪しい黄色い仮面をつけた身長2メートルほどの男に出会った。やがて俺はその人を師匠とし、2年ほど修行を重ねて今に至る。
死頭矢師匠は“エビルドル”の最高司令官から「お前はヴィーストの因子を持っている」と告げられたらしく、限りなく不死に近いらしい。よって師匠は“エビルドル”を支える程のエリートとなっている。なので師匠の訓練は厳しく、かなりハードだ。だがそのおかげで人間の気迫を限りなく進化させた“気”を操れるようになった。
気には6種類あり、“覇気”、“闘気”、“妖気”、“神気”、“霊気”、そしてそれらの全ての能力を集め、限りなく強化された“自色気”というものがある。俺は神気と自色気以外の気を操れるようになった。
そして今日俺は“エビルドル”へ入るための試験の日だ。そして今日を境にエビルドル対神の戦いが激しくなり、激動の時代を迎えるのだった。
こんにちはかづっぴです。中学生なので毎日投稿などはできません。冬休みや夏休みにはたくさん投稿できます。
これからも地球転生をお願いします。