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VS.魔法少女  作者: 興 -kyo-
3/3

2章 2人の魔法少女


 シルバーアッシュに輝く長い髪は、サイドの部分だけが左右非対称にカ


ットされていた。ルビーのような瞳は攻撃的、かつ矮小な存在を蔑むよう


に紅く輝き、こちらを見下ろしている。

 

 

 数メートルほど宙に浮いた≪魔女≫は、殺意満点の視線で射貫くゼーベ


ルカ等お構いなしといった感じで、努めて明るい調子で言い放つ。



「水持ってるってことはー、虫けらが固まってる場所があるってことね☆


久々に『眼』の足しになりそ」



 カイオはそれを聞いて体温が一気に冷える感覚がした。こいつは何の躊


躇いもなく自分も、ゲットーも壊し、殺し、蹂躙し尽くすのだろう・・・


惨憺たる未来を想像し目の前が暗くなりそうでいると、もう一人から声を


かけられる。



「カイオ、行って!こいつはわたしがやる」



 それを聞いて驚きに目を見開く。


「こいつ、お前の仲間じゃないのかよ!?」


 ≪魔女≫同士で争うなんて聞いたことがない。奴らは集団で現れ、人を


痛めつけて嬲り殺すことに快楽を見出す。まるで競うように。そんなイメ


ージをしかなかったからだ。

 

 カイオの疑問に対してゼーベルカは、



「私とあいつはまだ≪魔女≫じゃなくて≪魔法少女≫なの」


「魔法・・・少女?」



 なんだそりゃ・・・何が違うんだ?


 ゼーベルカが口を開きかけたところで、今度はもう一人のほうが割り込


んできた。



「≪魔法少女≫が真の≪魔女≫になるためには、他の≪魔法少女≫を喰う


必要がある――ってことなわけよ、虫けら君♡  ってことで、」


セリフを遮り、ゼーベルカが叫んだ。



「カイオ、早く!!!!!!」


 ほとんど同時に、シルバーアッシュの髪をした≪魔法少女≫がとてつも


ないスピードでこちらに突進、いつの間にか握られていた長い細剣を突き


出した所でゼーベルカがかろうじて目の前に立ちふさがる。それらの流れ


をカイオが認識できたのは、何秒も経過した後だった。


「っっ・・・!」


「お、おい・・・・!!」



 なおもゼーベルカは自分を守ろうとしてくれる。


「わたしもそんな長く持たないから・・・お願いっ・・・!!」


「っ、すまねえ!!!!」

 

 

 カイオはもつれそうな足を必死に動かし、走り出す。


 すぐにムラの人たちと、帰りを持っている姉に伝えなくてはならない。


 自らに好意を向けた少女の顔が、慙愧の念となって足にこびりつくよう


だった。





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