先輩のアドバイスを鵜呑みにして名曲(?)を作っちゃったミュージシャン
俺は、プロのミュージシャン。
デビュー曲は、そこそこ売れたのだが、その後ヒット曲がなく、このままいくと≪一発屋≫の称号がちらついてくる。しかし、そんな俺を音楽の神様は、見捨てなかった。ドラマの主題歌の話が舞い込んできたのだ。このチャンスを逃す訳にはいかない。この曲をヒットさせて、売れっ子アーティストの仲間入りをしてやるんだ。
しかし、気持ちが空回りして、納得できる曲が、なかなか作れない。俺はスランプに陥った。藁にもすがる思いで、お世話になっている、先輩のミュージシャンに相談してみることにした。
「思い切って、他の人の曲をカバーするのもありなんじゃないか?」
カバー曲か。その発想はなかった。確かに、誰もが知っている曲なら、馴染みやすく、ヒットする可能性もある。自分なりの個性を詰め込めばアリかもしれない。
「あと、曲の長さは、短い方がいいぞ。」
確かに最近の曲は、短い。一昔前の曲に比べ、最近はギターソロなどが省かれた曲が多い。平均1曲5分前後だった曲の長さも、最近は3分前後にまで短くなっている。原因は、音楽の聴き方が、CDからサブスクへ移ったという背景がある。リスナーが特定のアーティストを追いかけるというより、曲調やカテゴリーで、選曲されることが増えてきたことに、起因するらしい。
作品の方向性は決まった。名曲のカバーで、なるべく短くまとめる。そして、俺の新曲が完成した。
≪Happy Birthday to You≫
ハッピーバースデー トゥーユー
ハッピーバースデー トゥーユー
ハッピーバースデー ディア フフフーン
ハッピーバースデー トゥーユー
ドラマの主題歌は、別のアーティストの曲に差し替えられた。




