(94)やる気が出てきた伯爵令嬢
「えっ!?えーーーーっ!?ティ、ティーナ!?
お、お、お嫁に行きたいの!?もう?うそっ!早いよ!まだデビューもしてないのにっ!」
「はい、お父様。今すぐに」
「えっ!?今?すぐ?誰かに結婚を申し込まれたのっ!?」
「いいえ?誰にも申し込まれてはおりません。(寧ろ騙されて失恋したところだっちゅうの!)お父様とお母様にお勧め頂ける方が良いと思っております。
結婚が駄目なら婚約だけでも。もし無理なら修道院に」
「だっ、ダメダメダメー!!ティーナは修道院に行ったら絶対に、ダメー!!僕と会えなくなっちゃうじゃない!絶っ対に、許さないからねっ!」
「…………(………子供かな)」
「あなた!だから言ったでしょう?ティーナは自分で考えて行動するとても賢い子だから、あなたもしっかりと先を考えておかないといけないって」
「エレン!だ、だ、だって!」
「お父様。では、婚約も修道院も駄目だと言うことですね?」
「う、うん。ティーナ、あと二年でデビューなんだよ?きっとその後すぐにティーナは捕まってお嫁に……行っちゃう……んだ……よ……ぐすっ」
「…………(…………捕まって??)」
「寂しいよお……ぐすっ……だから、もう少しお父様のそばにいでよお……ぐすっ」
「…………(言われなくたってまだいます)」
「そうね、あなた。……ねえ、ティーナ。今すぐに婚約者を見つけるとなると、やはり急過ぎてなかなか難しいわよ?根回しも出来ず、中身がわからずに問題大アリな酷い男性を選んでしまうかもしれないわ」
ギクッ!
確かにそうだ。
焦ってテキトーに選んで結婚して、中身がヤバい男性だったら確かに最悪!
前世の時にネットでよく見たありがちな話だわ。
この世界、離婚はかなり難題だし……。
危なかったわ。さすがお母様。
………そうだ。
うっかり忘れてた!
我が家に合ったほどほどの家格の優しい旦那様と結婚をして、子供を産み、ラファイエリ家と嫁ぎ先の為に生きていくという、私の当初の予定を!
こうなったら残りの二年でしっかりと自分を磨き上げて、更に結婚相手を自分でも見極めよう!
今の私でも出られるお茶会に片っ端から出て、未来の旦那様探し&情報を集めて、予定通りに最高に普通な旦那様をゲットしようじゃない!!
あんな、最低最悪嘘つき黒髪ロリコンDVタラシ野郎よりも幸せな結婚をしてやるんだから!!
私だけを大切に想ってくれる、嘘をつかない男性を見つけるわよ!
よおっしゃー!!やる気出て来たー!!!
「あれ?なんか、ティーナ、静かだけど、目に気合い入ってる?」
「あら。婚活に火を点けちゃったかしら?うふふ」
「え?どういう事?お嫁に行っちゃうの?行かないの?」
「大丈夫よ。後二年はティーナは私達の元にいるわ。
あの方との約束もあるし、とりあえずはもう少し待っていないとね。その間にティーナにぴったりな最高のお相手が出てきたら、その方に娶っていただきましょう」
「ほんと!?良かったー、後二年あるんだね!僕もティーナを変な誘いから守るよ!ああ、君のお陰だよ、エレン!愛しているよ!」
「私もよ、カール」
心の中で『エアー雄叫び』を上げる私の横で、
ラブラブな両親は二人の世界に入って行った。
この時はすっかり忘れていた。
お父様が『顔だけ伯爵』であることを。
※クリスのママ、エレンが実は一番猛者かもです笑
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